『Sing, Sing, Sing』のドラム
レコード・コレクターズ 2025年2月号の特集は「この曲のドラムを聴け! ジャズ/フュージョン編」。これは実に興味深い特集だ、と思う。ジャズ/フュージョンにおけるドラムの位置付けは、リズム&ビートのキープ役が主だが、実は、このドラムの立ち回りによって、ジャズ/フュージョンの演奏内容がガラッと変わる。
演奏の「音」を決める重要要素の一つを担っているのが「ドラム」。そんなャズ/フュージョンにおける「ドラム」にスポットを当てて、楽曲評論をする。これは僕もやったことが無い。ということで、僕もやってみることにした。
Benny Goodman & His Orchestra『Sing, Sing, Sing』(写真左)。1987年のリリース。演奏自体は1930年代後半の演奏。ちなみにパーソネルは、Benny Goodman (cl) がリーダーの "Benny Goodman & His Orchestra"。今回、注目のドラマーは、Gene Krupa (ds)。ベニー・グッドマン楽団の「要のドラマー」であり、史上初の「スター・ドラマー」である。
「King of Swing」、スイングの多様、ベニー・グッドマンと彼のオーケストラのオムニバス盤である。演奏の基本は「スイング」。迫力あるダイナミズム溢れる、高速にスイングするビッグバンドは圧巻。ムード満点に印象的にバラード展開するビッグバンドは流麗。そんなビッグバンド演奏のリズム&ビートをガッチリ支えているのが、ジーン・クルーパ(写真右)のドラム。
通常はどの曲でも、ジーン・クルーパは演奏の基本である「リズム&ビート」をしっかりと支え、ソロイストのパフォーマンスを鼓舞する正確無比で判り易いドラミング。バンド全体にしっかりと「リズム&ビート」を供給し、その叩きっぷりで、バンド全体に「躍動感」を与えている。
そして、お目当ての「Sing, Sing, Sing」である。この曲だけは、ドラムのジーン・クルーパは、バンド演奏のリズム&ビートを支える役割を超えて、ソロイストとして、躍動感溢れるドラムを叩きまくる。
史上初の「スター・ドラマー」というが、確かに、ジャズの歴史を振り返って、ソロイストとして、ドラムという楽器をたたきまくり、ドラムという楽器の音を強烈にアピールする、というパフォーマンスは、クルーパが初めてではないか。演奏途中のドラムソロも躍動的でビートが効いて相当に印象的。史上初の「スター・ドラマー」の面目躍如である。
この「Sing, Sing, Sing」のジーン・クルーパのドラミングを聴くだけで、ドラムは、ジャズ/フュージョン演奏の「音」を決める重要要素の一つを担っていることが良く判る。
元々のオリジナルの演奏はボーカルがメインの大人しめの小曲だったらしいが、それをこんなに躍動感溢れるインスト・ナンバーに変身させ、ビッグバンドの演奏に耐えるリズム&ビートを供給する。ジャズ/フュージョンにおけるドラムの位置付けは、意外と奥が深い。
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