ピアノ・トリオの代表的名盤 102
マリアン・マクパートランド(以降、マリアンと呼ぶ)は、女性ジャズ・ピアニストのパイオニア。スイング期からビ・バップ期を始めとして現代まで、ジャズの歴史のほとんどをリアルタイムで活躍した、本格派のジャズ・ピアニスト。
リーダー作もかなりの枚数、リリースしていて、米国では正当に評価されていた証である。が、我が国では全くの「無名」。これだけ、米国と我が国で評価のレベルが異なるジャズ・ピアニストも珍しい。しかし、自らの耳で聴いて見ると判るが、マリアンは正統派なジャズ・ピアニストである。
『Marian McPartland Plays Leonard Bernstein』。1960年4月8, 12日の録音。ちなみにパーソネルは、Marian McPartland (p), Ben Tucker (b), Jake Hanna (ds)。女性ピアノの代表格、マリアンがリーダーの、レナード・バーンスタイン作曲のミュージカル曲をメインに演奏したピアノ・トリオの企画盤。
マリアンは英国人。第二次大戦後に渡米している。当時の米国で女性のジャズ・ピアニストとして活躍していたのはメアリー・ルー・ウィリアムスくらい。1949年、52番街のヒッコリー・ハウスのハウス・ピアニストに採用され、ようやく演奏の基盤が確立。よって、彼女のピアノは「バップ・ピアノ」。
このバーンスタイン曲集で奏でられるのは、バップなピアノ・トリオ。粋で洒脱で流麗なピアノ。端正だが優しげなタッチは女性ならでは。リラックスして聴き惚れる。バップなピアノでありながら、過剰な弾き回し、カンカチな硬質タッチ、叩く様な左手は皆無。弾き回しは適度な速さ、タッチは明確だが柔かく、ベースラインは堅実。
弾き回しは明らかにバップだが、フレーズの作りにはどこかクラシックの様な、典雅な雰囲気が漂う。音のエッジが少しラウンドしていて、耳当たりが良い。スケールが大きく力強いピアニスティックな弾き回し。マリアンのピアノは、バップ・ピアノのスタンダードと比べれば、明らかに個性的である。
しかしながら「I Can Cook Too」を聴けば判るが、このアップテンポな曲は、マリリンが激しいスイングにも対応でき、いつもソフトなアレンジを好んでいたわけではないことを示している。通常のバップ・ピアノにも適応している。
そんなマリリンの個性的なバップ・ピアノが、ジャジーなバーンスタイン曲を、さらに魅力的に映えるアレンジを施して、魅力的に印象的に弾き進めていく。バーンスタイン曲の持つキャッチャーなフレーズが、マリリンの柔らかいタッチで、不思議とクッキリ浮き出てくる。
魅力的なバップ・ピアノによる、上質のピアノ・トリオ演奏だと思います。仰々しい目立った立ち回りは全く無いが、堅実誠実なバップな弾き回しが耳に優しく、不思議と定期的に聴き直したくなるトリオ演奏です。
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マリアン・マクパートランドは本当「無名」ですね、唯一持ってるアルバムはGrate Britain'sです。
あとビル・エバンスへのインタビュー音源は中々興味深いですね。
投稿: tony | 2025年2月14日 (金曜日) 22時17分