ブルーノートらしさ満載の盤
ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。そんなブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく当ブログの企画。今日はその「第13位」。
Art Blakey and The Jazz Messengers『Moanin'』(写真左)。1958年10月30日の録音。ブルーノートの4003番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Benny Golson (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b), Art Blakey (ds)。サックスのベニー・ゴルソンが音楽監督と務めた、ジャズ・メッセンジャーズの最初のピークを迎える黄金メンバーの最初のアルバム。
ファンキー・ジャズの名盤中の名盤、として、様々なところで語り尽くされた盤ではあるが、このアルバムが録音されたのは1958年。アート・ブレイキー以下、バンドのメンバーが皆、「ファンキー・ジャズ」なアルバムを作るぞ、と意気込んで録音した訳ではないだろう。
のちのジャズ評論家が、このアルバムを聴いて、我が国の音楽関係者の大好きな「音楽のジャンル分け」の中で、このアルバムって、ファンキー・ジャズだよね、と分類分けして、その内容が抜群に良かったので、ファンキー・ジャズの名盤中の名盤、と後付けで評価されただけのこと。
よくよく、しっかりと聴き直すと、LPのA面の3曲「Moanin」「Are You Real」「Along Came Betty」は、コール・アンド・レスポンス、チェイス、ブルージー濃厚な音の響き、など、ファンキー・ジャズの重要な音要素がしっかり備わっている。
そして、このファンキー・ジャズの重要な音要素をさらに増幅し、ファンキー・ジャズの音の重要要素である「ファンクネス」を引き立てる「ゴルソン・ハーモニー」という、ベニー・ゴルソン独特の音の重ね方をベースにしたアレンジ手法が採用されていて、このゴルソン・ハーモニーの存在こそが、この盤を「ファンキー・ジャズの名盤中の名盤」とされる、最大の要因である。
逆に、LPのB面の3曲「The Drum Thunder Suite」「Blues March」「Come Rain or Come Shine」は、ファンキー・ジャズというよりかは、上質な、完成度の高いハードバップと評価した方が据わりが良い。
「The Drum Thunder Suite」は、リーダーのブレイキーのドラミングをフィーチャーした、優れものの組曲だし、「Blues March」はコマーシャルでキャッチーなハードバップ・マーチだし、「Come Rain or Come Shine」は、実にしっとりとした静的なハードバップの名演である。
で、この盤について、当時の「ブルーノートらしさ」を醸し出す3要素、「ルディ・ヴァン・ゲルダーの創るブルーノートの音」、「リハを積んだことによる演奏の質の高さ」、「キメのアレンジの優秀性」、この3要素を照らし合わせてみると、この3要素がバッチリ揃っている。
ジャケも、ブレイキーのどアップで趣味が悪い、という向きもあるが、僕は、このジャケ、ジャズっぽくて良い、と評価している。このアルバムには、ブルーノートらしさが蔓延している。ファンキー・ジャズの名盤の一枚とするより、ブルーノート4000番台の名盤の一枚とした方が良いくらいだ。ブルーノート盤の「ベスト100」のベストテン圏内くらい、ブルーノートらしい盤である。
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