« ”Un Poco Loco” 3連発に想う『The Amazing Bud Powell Vol.1』 | トップページ | 寒波に「ヴァーモントの月」 »

2025年2月 5日 (水曜日)

”The Sidewinder” 再考である

ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノートらしい「内容と音と響き」。そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第10位」。

Lee Morgan『The Sidewinder』(写真左)。1963年12月21日の録音。ブルーノートの4157番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Joe Henderson (ts), Barry Harris (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。リリース当時、ビルボード・チャートで最高25位を記録し、ブルーノート・レーベル空前のヒット盤となった。ジャズ史上においても、屈指のヒット盤である。

21世紀に入った今でも「この盤は、いち早くロックのリズムを取り入れ、それに成功したジャズ盤」と堂々と書いているものもあるが、これって、2局目以降の演奏を聴かずに書いたとしか思えない。ジャズ者初心者にとって、この盤を全編8ビートの「ジャズロック」が満載だと勘違いすると、期待すると、この盤を聴き通すのは辛いだろうと思う。

この盤は「様々なリズム・アプローチを試みたファンキー・ジャズ盤」。その試みた「様々なリズム・アプローチ」の一つが「ジャズロック」である。2局目以降は、4ビートの曲もあるし、6拍子の曲もあって、様々なリズム・アプローチを試みた、音の雰囲気は「ファンキー・ジャズ」。あっけらかんとした、単純な4ビートのファンキー・ジャズでは無い。
 

Thesidewinder_2

 
そして、アドリブ展開は「モード」が基本。トランペットのモーガン、テナーのジョーヘン、共にアドリブ展開は「モード」を基本として吹きまくる。モーガンはモーガンなりの、ジョーヘンはジョーヘンなりの、聴き易い「上質のモード」を展開するので、響きは1950年代のハードバップとは大きく異なる。アーティスティックではあるが、キャッチャーでは無い。

ただし、ジャズロックを目当てに聴き込むのではなく、ジャズの「様々なリズム・アプローチ」と、「聴き易いモード・ジャズ」を体験するには最適の盤だと思う。とりわけ、8ビートに乗った「モード・ジャズ」は、テンポが速いので、聴いていて「モード」の響きやフレーズの動きを理解し易いと思う。

当時のブルーノートは、恐らく「ジャズロック」をウリにするのではなく、「様々なリズム・アプローチ」を試みたモード・ジャズをウリにしたアルバムとしたかった、のではないのだろうか。当時としては、新鮮な響きを宿した、先進的なチャレンジをしたモード・ジャズ、を聴かせたかったのではないか、と僕は思っている。

そうだとしたら、この盤、「さすがはブルーノート」という盤である。この盤は「いかにもブルーノート」らしいアルバムの一枚である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4 

« ”Un Poco Loco” 3連発に想う『The Amazing Bud Powell Vol.1』 | トップページ | 寒波に「ヴァーモントの月」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ”Un Poco Loco” 3連発に想う『The Amazing Bud Powell Vol.1』 | トップページ | 寒波に「ヴァーモントの月」 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー