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2025年2月の記事

2025年2月28日 (金曜日)

ペギー・リーの『Black Coffee』

昨日くらいから、日中が急激に暖かくなってきた。先週来、結構強い寒波が居座っていたので、最高気温が10℃を超えると、かなり暖かく感じる。まだ2月の終わりだというのに、である。しかし、寒さが嫌いな当方にとっては、かなりお気に入りの「冬」なのには違いが無く、この冬のジャズ盤鑑賞も、意外と余裕も持った鑑賞ができている。やっぱり、ジャズを聴くには「良い気候」が必須なんだろう。

Peggy Lee『Black Coffee』(写真左)。1953年4, 5月、1956年4月の録音。デッカ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

1953年のセッション:「Black Coffee」「I've Got You Under My Skin」「Easy Living」「My Heart Belongs to Daddy」「A Woman Alone With the Blues」「I Didn't Know What Time It Was」「(Ah, the Apple Trees)When the World Was Young」「Love Me or Leave Me」の全8曲。パーソネルは、Peggy Lee (vo), Pete Candoli (tp), Jimmy Rowles (p), Max Wayne (b), Ed Shaughnessy (ds)、

1956年のセッション:「It Ain't Necessarily So」「Gee Baby, Ain't I Good to You?」「You're My Thrill」「There's a Small Hotel」の全4曲。パーソネルは、Peggy Lee (vo), Stella Castellucci (harp), Lou Levy (p), Bill Pitman (g), Buddy Clark (b), Larry Bunker (ds, vib, perc)。
 

Peggy-leeblack-coffee

 
ペギー・リー(Peggy Lee)は、1920年米国ノース・ダコタ州ジェームズタウン生まれ。ベニー・グッドマンの目に留まり、彼のバンドで2年間歌い、その後独立。1990年代まで活動を続け、2002年心臓発作にて、81歳で逝去、

「Soft & Cool」と形容された、ソフトで繊細なハスキー・ヴォイスが個性。エラ・フィッツジェラルドや、カーメン・マクレエの様な、ジャズ・ボーカルを代表する絶対的な歌唱力はないが、そのハスキーな歌声で、シンプルにクールに歌い上げる様は、ジャズ・ボーカルの一つの個性&スタイルと言って良いほど、上質なもの。

我が国では「ポップ・シンガー」と揶揄されるほど、白人ぽいというか、演歌ちっくな泥臭さが無い。そんなペギー・リーのボーカルをとことん楽しめるのが、この『Black Coffee』。ちょっと気怠い、アンニュイな雰囲気も彼女のボーカルの魅力の一つ。

女性ジャズ・ボーカルの一つの個性&スタイルを詰め込んだ傑作として、女性ジャズ・ボーカル盤の中で必聴の好盤でしょう。聴き心地の良さは抜群で、ジャズ・ボーカルを軽く聴き流したい時に重宝する「ながら聴き」にも好適な一枚
 
 

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2025年2月27日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 105

いつの時代も、我が国と米国で、大きく評価が異なるミュージシャンって結構存在する。特に、我が国でジャズが一般的になりつつあった、1960年代後半から1970年代にかけて、我が国では不当な評価に甘んじたジャズマンが結構いた(もちろん、その逆もあったのだが・・・)。

ビリー・テイラーというピアニスト。この人は、恐らく、一流と目されるジャズ・ピアニストの中で、我が国と米国で、その評価が大きく異なるピアニストの筆頭だろう。その大きく評価が異なる理由がこの盤にしっかり反映されている。

Billy Taylor『One for Fun』(写真左)。1959年6月24日、NYでの録音。アトランティック・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Billy Taylor (p), Earl May (b), Kenny Dennis (ds)。

ビリー・テイラー(Billy Taylor)は、知的で端正な黒人ピアニストである。その個性は、インテリジェンス溢れ、破綻のない、整った弾き回しにある。クラシック・ピアノの様に端正な弾き回しの底に、そこはかとなく上品なファンクネスが漂う。

冒頭の「Summertime」を聴けば「知的で端正な」そして「インテリジェンス溢れ、破綻のない、整った」弾き回し、が容易に理解出来るだろう。この超有名なジャズ・スタンダード曲を、「知的で端正な」アレンジで、「インテリジェンス溢れ、破綻のない、整ったタッチで、流麗に弾き回す。

そして、2曲目のタイトル曲「One for Fun」から、3曲目「That's for Sure」、4曲目「A Little Southside Soul」と、知的で端正で、心地良く力強く、そこはかとなく「上品なファンクネスが漂う」バップなピアノを弾き回す。6曲目の「Makin' Whoopee」などは、小粋でバップな、スインギーで唄う様な引き回しに惚れ惚れする。
 

Billy-taylorone-for-fun

 
バックのアーリー・メイのベース、ケニー・デニスのドラムのリズム隊は、堅実で端正でスクエアなグルーヴ感を湛えつつ、的確なリズム&ビートを供給し続ける。

地味で我が国では無名のリズム隊だが、さすが、ビリー・テイラーのバックを受け持つリズム隊である。彼らの供給するバップなリズム&ビートのレベルは高い。ベースなソリッドな響きも、ドラムのタイトで堅実なビートも、どれもが実に心地良い。

どうも、このビリー・テイラーのピアノの、「知的で端正な」「インテリジェンス溢れ、破綻のない、整った」「上品なファンクネスが漂う」といった部分が、当時の我が国のジャズ者の方々から敬遠された理由だろうと推察する。逆に、米国では、この部分が大いに評価されて、人気ピアニストとして、多くのリーダー作をリリースしている。

我が国では、当時、ジャズマンといえば、天才的ミュージシャンによくある「崩れた魅力」「破天荒なイメージ」「突出した才能の煌めき」などが「よしとされた」時代で、ビリー・テイラーの「知的で端正な」「インテリジェンス溢れ、破綻のない、整った」「上品なファンクネスが漂う」といった部分が敬遠されたのだと感じている。

しかし、21世紀に入って、そんな我が国のジャズマンに対するイメージも大きく変わりました。録音音源もレコード会社経由からだけの時代から、ダウンロードで世界各所からダイレクトに入手できる時代に変わりました。

自分の耳で、ダイレクトにそのジャズマンの音が聴けて、その音を自ら評価できる。そんな時代の中で、ビリー・テイラーのピアノは正当な評価を得つつある、そんなことを実感する、この『One for Fun』というトリオ盤の内容です。
 
 

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2025年2月26日 (水曜日)

ハミルトンのドラミングを愛でる

米国ウエストコースト・ジャズにおける代表的ドラマーは二人。チコ・ハミルトンとシェリー・マン。マンのドラミングは複合リズムをベースとした高テクニックなハードバップ・ドラミング。一方、ハミルトンのドラミングは伝統的なバップ・ドラミング。どちらもウエストコースト・ジャズには欠かせない資質を持ったドラマーで、甲乙つけ難い。

『Chico Hamilton Quintet featuring Buddy Collette』(写真左)。1955年8月、ハリウッドでの録音。パシフィック・ジャズ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chico Hamilton (ds), Buddy Collette (sax, fl, cl), Fred Katz (cello), Jim Hall (g), Carson Smith (b)。米国ウエストコースト・ジャズの代表的ドラマーの一人、チコ・ハミルトンのクインテット演奏。

タイトルにあるように、マルチ楽器奏者のバディ・コレットを迎えてのクインテット編成。フロント楽器にコレットのサックス、ジム・ホールのギター。ピアノレスで、リーダーのハミルトンのドラムとカールソン・スミスのベースがリズム隊。そこに、フレッド・カッツのチェロが加わる。ピアノレス、チェロ入りの異色のクインテットである。

いかにも、米国ウエストコースト・ジャズらしいユニークな編成で、ウエストコースト・ジャズの最大の個性である「ジャズを聴かせる小粋なアレンジ」が施され、いかにもウエストコースト・ジャズらしいパフォーマンスが記録されている。
 

Chico-hamilton-quintet

 
しかし、この盤のアレンジは、演奏の流麗さや楽しさを追求するより、リーダーのハミルトンのドラムが映える、そして、客演のコレットのサックスが印象に残る、そんなアレンジが施されている。

このチコ・ハミルトンのクインテットは「室内楽ジャズ」と形容される様に、演奏自体はシンプルなアレンジ。シンプルが故に、ハミルトンのドラミングが要所要所で映え、要所要所で記憶に残る様なアレンジは見事。ハミルトンのドラミングを全面に押し出す為の「ピアノレス」。打楽器の役割も担えるピアノを排除して、打楽器の生み出すリズム&ビートは一手にハミルトンが担う様に仕向けられている。

実は、この「室内楽ジャズ」なアレンジは、ハミルトンのドラムを徹底的に全面に押し出し、しっかり聴かせる、しっかり印象に残る、そんなウエストコースト・ジャズ的なアレンジだということに、今回、思い当たった次第。確かに、このアルバム、ハミルトンのドラミングの個性、優秀性がとてもよく判る内容になっている。

米国ウエストコースト・ジャズの代表的ドラマーの一人、チコ・ハミルトンの、チコ・ハミルトンによる、チコ・ハミルトンのためのアレンジが施された、チコ・ハミルトンのドラミングが映えに映えるアルバムである。
 
 

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2025年2月25日 (火曜日)

坂本龍一『サマー・ナーヴス』

振り返って、今の耳で聴く、1970〜80年代の和クロスオーバー&フュージョンは、実に味わい深い。

当時は、リアルタイムに、1970〜80年代の和クロスオーバー&フュージョンを「凄い凄い」とただ感動して聴いていただけだったが、今の耳で聴くと、米国や欧州のクロスオーバー&フュージョンとの違いや、和クロスオーバー&フュージョン固有の特質などが理解できて、とにかく聴いていて面白い。

坂本龍一&カクトウギセッション 『サマー・ナーヴス(Summer Nerves)』。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

坂本龍一 (key, vo), 小原礼 (b), 高橋ユキヒロ (ds), 鈴木茂 (g, track:1,2,4,6), 大村憲司 (g, track:3,7), 松原正樹 (g, track:4,5), アブドゥーラ・ザ・"ブッシャー" = 渡辺香津美 (g, track:3,7), ペッカー (perc, track:3,5,7), 浜口茂外也 (perc, track:1,2,4,6), 多グループ (strings) 等々。4曲目「Theme for "KAKUTOUGI"」にブラス・セクションが入り、矢野顕子、EVE、山下達郎、吉田美奈子がバックボーカルに客演している。

YMO結成以前、坂本龍一のソニーに残した1979年作品。契約の関係で、当時、若手ギターの雄、渡辺香津美が「アブドゥーラ・ザ・"ブッシャー"」の変名で参加している。パーソネルを見渡せば、和ロック畑、和クロスオーバー&フュージョン畑の名うてのミュージシャンが一堂に介して、「日本発」ならではの、和クロスオーバー&フュージョンなアルバム・セッションを繰り広げている。

といって、アルバム全体の音のトレンドは「レゲエ」。レゲエ=2拍子の世界が、この『サマー・ナーヴス』というアルバム全体を覆っている。
 

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「カクトウギ・セッション」というから、丁々発止とテクニックを駆使したインタープレイを想起するが、冒頭のタイトル曲「サマー・ナーヴス」から、レゲエのリズム全開で、思わず「およよ」と仰け反ってしまう(笑)。

和クロスオーバー&フュージョンの音世界とはいえ、この盤の音世界のポップ度は高い。しかし、高橋ユキヒロと小原礼のリズム隊のリズム&ビートが、太くてタイトなので、この盤をポップなイージーリスニングに留めていない。そう、この盤、ユキヒロ=小原のリズム隊の叩き出す、太くてタイトなリズム&ビートが「キモ」である。

そこに、坂本のキーボードとボコーダーによるボーカル、そして、大村憲司、松原正樹、変名ギタリストの渡辺香津美、のエレギが縦横無尽に飛び回る。3人の我が国屈指のクロスオーバー&フュージョン志向のギタリストが、その技と個性的な音で、ガンガンに弾きまくっている。

有名な「カクトウギのテーマ」が代表的演奏で、ファンキーなボーカル・コーラスが入っているが、ファンクネスは希薄で乾いている。オフビートのダンサフルなリズム&ビートも粘りは少なく切れ味よくタイト。フレーズはメロディアスでキャッチー。この楽曲には、和クロスオーバー&フュージョンの個性と特性が詰まっている。

ロックとクロスオーバー&フュージョンとレゲエとソウル、そしてテクノポップが「ごった煮」に融合された、坂本龍一ならではの音世界には思わず聴き惚れる。特にラス前「Sweet Illusion(スウィート・イリュージョン)」から「Neuronian Network(ニューロニアン・ネットワーク)」が大好き。

この「融合」な音世界は、米国や欧州のクロスオーバー&フュージョン・シーンでは絶対に生まれ得ない、我が国ならではの、我が国独特のクロスオーバー&フュージョンの音世界である。この、とことん突き詰めると「国籍不明」な、独特な「融合」の音世界。今の耳で聴いても、実にユニークである。
 
 

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2025年2月24日 (月曜日)

アーシーでソウルなブライアント

レイ・ブライアント(Ray Bryant)のピアノは、ハードバップの時代から、ファンクネスを湛えたブルージーなピアノが個性だったが、ハードバップ時代を越えて、1960年代の「ハードバップ多様化の時代」に入ると、ファンキー色に加えて、ソウル色の濃い、いわゆる「ソウル・ジャズ」志向の弾き回しがメインになっていった。そのきっかけが、アーゴ/カデット・レーベルへの移籍だろう。

Ray Bryant『Lonesome Traveler』(写真左)。1966年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Ray Bryant (p), Snooky Young (tp), Clark Terry (tp, flh), Jimmy Rowser (b, tracks 2, 4, 5 & 8-9), Richard Davis (b, tracks 1, 3 & 6), Freddie Waits (ds)。アーゴ/カデット・レーベルからリリースしたブライアントのリーダー作、全7作中の2枚目。

このリーダー作も、前作『Gotta Travel On』同様、ブライアントのピアノの個性とアーゴ/カデット・レーベルの音志向とがバッチリ合った、「ファンキー&ソウルフル」な内容になっている。

とにかく、ファンキーでソウルフルでゴスペルチックなブライアントのピアノが映えに映える、そんなアレンジが心地良い。加えて、この盤の演奏は基本的に「アーシー」。このアーシーな雰囲気が、ソウルフルな音志向を増幅している。
 

Lonesome_traveler 

 
有名スタンダード曲の、2曲目「Round Midnight」、4曲目「Willow Weep for Me」なども、アレンジは完璧に、ファンキー・ジャズを超えて、アーシーで「ソウル・ジャズ」志向のアレンジでバリバリ弾きまくっている。こんなに強烈オフビートでノリノリの「Round Midnight」や「Willow Weep for Me」は聴いたことが無い。この有名スタンダード曲の演奏で、腰が左右に揺れるとは思わなかった(笑)。

冒頭の「Lonesome Traveler」、8曲目のブライアントの有名自作曲「Cubano Chant」も、切れ味良く、小気味よい、ソウルフルな弾き回しが印象的だし、ラストの「Brother This 'N' Sister That」などは、どっぷりソウルフルで、もはや、これは、アーシーな「ゴスペル」なジャズである。

前作『Gotta Travel On』同様、ほとんどの曲のフロントにトランペット2本が加わるが、これは、曲の持つ主旋律をはっきり浮き立たせる為だけの役割で、特筆すべきものは無い。無くても良いよな、なんて思う。これは、明らかにオーバー・プロデュース。

このブライアント盤は、アーシーでソウルフルな弾き回しが特徴的な好盤。収録された曲自体もアーシー で ファンキー な佳曲ばかりで、ファンキー&ソウルフルなジャズがお気に入りのジャズ者の方々にはたまらない内容です。アーシーでソウルなブライアントのピアノ。僕は大好きです。
 
 

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2025年2月23日 (日曜日)

ハンクの「ソウルフルなピアノ」

アーゴ&カデット・レーベルの諸作には、レーベル・サウンドによる「統一感」がある。ちょっと癖の強い、ソウルフルな雰囲気濃厚なもの、ファンクネス濃厚なもの、どっぷりブルージーな歌心満点なもの、いわゆる「強めのファンキー&ソウルフルな音志向に統一されている。その「統一感」は見事なものである。

Hank Jones『Here's Love』(写真左)。1963年10月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), Kenny Burrell (g), Milt Hinton (b), Elvin Jones (ds)。ギターがフロントのカルテット編成。

いぶし銀なバップ・ピアニストのレジェンド、ハンク・ジョーンズのリーダー作。バックを固めるのは、漆黒ブルージー&アーバン・ギターのケニー・バレル。ベースは「ジャッジ」の愛称でも知られる、ジャズ・ベース界の重鎮ミルト・ヒントン。ドラムはハンクの弟、バップ・ドラムを叩かせても一流のエルヴィン・ジョーンズ。

いぶし銀なバップ・ピアニスト、ハンク・ジョーンズの、ダイナミックで流麗、そこはかとなくファンクネス漂う典雅なバップ・ピアノが、アーゴ&カデット・レーベルの音志向と交わると、どんなバップ・ピアノに変身するのか。このハンクのリーダー作は、そんな興味にしっかりと応えてくれている。

内容的には、1963年10月初演の、メレディス・ウイルソンのミュージカル「Here's Love」を基に製作された企画盤。このミュージカルの楽曲を基にした、ギターがフロントのカルテット演奏なんだが、ハードバップというよりは、そこはかとなくソウルフル。ミュージカルの楽曲の流麗さを活かして、ちょっとファンクネスを漂わせ、端正でソウルフルな展開が実にお洒落。
 

Hank-jonesheres-love

 
そんなソウルフルな展開を牽引するのが、リーダーのハンク・ジョーンズのピアノ。ハードバップでファンキーな、バリバリな弾き回しを、ちょっとファンクネスを漂わせ、端正でソウルフルで、ちょっと小粋な弾き回しに変えて、アルバム全体の雰囲気を「ファンキー&ソウルフル」に整える。このハンクの弾き回しの「変化」はさすがである。ハンクの持つテクニックの高さを再認識する。

但し、ハンクのピアノのファンキー&ソウルフルは、「どっぷり」なものではない。流麗で典雅な、シンプルでジャジーな弾き回しで、ハンク独特の、ハンク仕様のファンキー&ソウル・ジャズになっているところが、ハンクが超一流の証。ハンクのピアノの個性の弾き回しの中で、ファンキー&ソウルフルなピアノを追求する。これぞ「プロの技」である。

ケニー・バレルのギターは長いソロを取らないが、小粋でソウルフルなフレーズを弾きまくる。明らかに、ソウルフルなハンクのピアノに呼応している。ソウルフルなハンクのピアノとバレルのギター。そして、その「ソウルフル」は、流麗で典雅な、シンプルでジャジー。

アーゴ&カデット・レーベルの音志向に沿いながらも、自らの個性を全面的に活かす。そんなアーゴ&カデット・レーベルの音志向の中で、自分の個性をしっかりと押し出す、そんなプロフェショナルな「技」を聴くことができる。そんなハンクの好盤である。

しかし、このジャケット・デザインは無いよな〜。ジャズ者の皆さん、決してこのジャケに引かずに、このハンクのリーダー作をお楽しみ下さい(笑)。
 
 

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2025年2月22日 (土曜日)

これぞフュージョンなリズム隊

ジャズ/フュージョンにおける「ドラム」にスポットを当てて、楽曲評論をする、レコード・コレクターズ 2025年2月号の特集「この曲のドラムを聴け! ジャズ/フュージョン編」。今日は、フュージョン・ジャズに力点をおいて、これぞフュージョン・ジャズなリズム隊の一つにスポットを当ててみる。

Neil Larsen『Jungle Fever』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、Neil Larsen (key), Buzz Feiten (g), Willie Weeks (b), Andy Newmark (ds), Ralph MacDonald (per), Michael Brecker (ts), Larry Williams (as, fl), Jerry Hey (tp, flh)。プロデュースはTommy Li Puma。

リーダーのニール・ラーセンと盟友バジー・フェイトンとの再会、Larsen-Feiten Bandへの橋渡し的なフュージョン名盤。パーソネルを見渡すと、クロスオーバー&フュージョン畑の名うてのミュージシャンが大集合。そして、注目のリズム隊は、アンディ・ニューマークのドラムとウィリー・ウィークスのベース。

アンディ・ニューマークは、英国ロックンローラーたちに重宝された伝説のドラマー。スライ&ファミリーストーンへの参加も伝説だ。オフビートで跳ねるファンクネスが個性で、クロスオーバー&フュージョンの8ビートにぴったりのドラミング。手数が多い訳ではなく、音が大きい訳でも無い。それでも、どことなく高速ソウルフルな刻む様な8ビートは他に聴けない個性的なもの。

そこに、ニューマーク同様、英国ロックンローラーたちに重宝された伝説のベーシスト、ウィリー・ウィークスが絡む。このニューマーク=ウィークスのリズム隊は、抜群の名コンビぶりを発揮、2人は1970年代のミュージシャンから人気のリズム隊として活躍している。
 

Neil-larsenjungle-fever

 
そんなどちらかといれば、ロック畑のファンキーなリズム隊が、ニール・ラーセンのバックについている。これはとてもユニークな組み合わせで、どんな音世界、音志向になるのか、聴く前からワクワクドキドキのパーソネル。

冒頭「Sudden Samba」は、タイトル通り、ニューマーク=ウィークスのリズム隊が叩き出す、サンバ・ビートが心地好い、オルガンがメインのフュージョン・ジャズ。フェイトンのギターが「夏」。ブラジリアン・フュージョンな名演。

続く「Promenade」は、メロウなフュージョン・ジャズ。そして、3曲目の「Windsong」は、ニューマーク=ウィークスのリズム隊が大活躍のファンキー・チューン。

加えて、5曲目のタイトル曲「Jungle Fever」も、グイグイいくファンキー・サウンド。他の名うてのミュージシャン達もならではの演奏を繰り出して、ニール・ラーセン流のフュージョン・サウンドを展開しまくる。

他の楽曲も含めて、ロック志向のリズム隊と名うてのクロスオーバー&フュージョン畑のミューシャン達との「融合」音楽が、この盤に詰まっている。ブラジリアン、ファンク、ソフト&メロウと、ロックとジャズ以外の音要素もガッチリと含んだ、極上のフュージョン・ジャズが展開されている、それがこの盤の最大の特徴だろう。

そして、その極上の融合(フュージョン)な音世界をガッチリ支えているのが、様々な音楽ジャンルに適応力抜群、ロック志向ファンキー8ビートな、ニューマーク=ウィークスのリズム隊と、それをバックに様々なニュアンスのフレーズを叩き出す、ラーセン=フェイトンのフロント隊。フュージョン・ジャズの名盤の一枚だと評価してます。
 
 

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2025年2月21日 (金曜日)

クロスオーバーなドラミングです

演奏の「音」を決める重要要素の一つを担っているのが「ドラム」。意外と認識されていないが、ドラミングの音が、その演奏全体の「ジャンル」や「志向」を決定づける大きな要素になっている。

そんなャズ/フュージョンにおける「ドラム」にスポットを当てて、楽曲評論をする。レコード・コレクターズ 2025年2月号の特集は「この曲のドラムを聴け! ジャズ/フュージョン編」。これは実に興味深い特集。

Alphonse Mouzon『Mind Transplant』(写真左)。1974年12月、ロサンゼルスでの録音。翌年1975年のリリース。

ちなみにパーソネルは、Alphonse Mouzon (ds, vo, syn, el-p, org, arr, cond), Jerry Peters (el-p, org), Tommy Bolin, Lee Ritenour (g), Jay Graydon (g, voice bag on "Snow Bound", programming), Henry Davis (el-b)。アルフォンス・ムゾーンの初リーダー作になる。

クロスオーバー&フュージョン・ジャズは、8ビート主体のリズム&ビートがメインなので、4ビートの様に、おかずの入れ方や間の取り方などの個性を織り込むことが難しい。フィルインやポリリズムなど、叩き方のテクニックとグルーヴにその個性を求める傾向が強く、逆に、ドラミングの雰囲気によって、その楽曲の「音の傾向」や「音の志向」が決定付けられることが多い。
 

Alphonse-mouzonmind-transplant

 
リーダーのアルフォンス・ムゾーンはドラマー。ウェザー・リポート、ラリー・コリエルとの活動でも知られる、ジャズ・ロック、クロスオーバー・ジャズにおける屈指のドラマー。ムゾーンのドラミングは、ハイハットの使い方が印象的な、ドコドコ叩きまくるビリー・コブハムと同類の「千手観音ドラミング」。コブハムよりグルーヴ感が濃い。

そんなドラミングが冒頭のタイトル曲「Mind Transplant」の出だしから炸裂する。グルーヴ感濃厚の「千手観音ドラミング」。ジャジーなビート感より、ロックなビート感が強く漂い、アルバム全体の演奏の印象は、ジャズロックというよりは、明らかに「クロスオーバー・ジャズ」である。電気楽器を活用して、ジャズとロックの融合、クロスオーバーな音世界。そんな音世界を、ムザーンのドラミングが濃厚にしている。

英国ハードロックの雄、ディープ・パープルのギタリストを務めた、トミー・ボーリンの参加が効いた、明確にロック・テイストな、クロスオーバー・ファンクな「Happiness Is Loving You」や、ムザーン自身のヴォーカルが意外とイケる「Some Of The Things」など、クロスオーバー・ジャズな音志向な中でも、少しロックに軸足を移した楽曲がなかなかユニークで格好良い。

ジャジーなグルーヴは仄かに残しつつ、基本はロックに少し軸足を移した、ジャズとロックの「クロスオーバーなジャズ」の佳作と言える。そして、このアルバムの音志向を色濃くしているのが、リーダーのムザーンの「千手観音ドラミング」である。
 
 

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2025年2月20日 (木曜日)

カデットのブライアント・トリオ

アーゴ/カデット・レーベルの諸作を順に聴き進めていると、面白いことに気が付く。

ハードバップ時代にバリバリ第一線で活躍した、ごりごりハードバップなピアニストが、アーゴ/カデット・レーベルからリーダー作をリリースすると、皆、押し並べて、アーゴ/カデット・レーベルの音志向に適応して、「ファンキー&ソウルフル」なピアノとアレンジがベースのリーダー作に仕上げる。これって、アーゴ/カデット・レーベルの「プロデュース力」の賜物なんだろう。

Ray Bryant Trio『Gotta Travel On』(写真左)。1966年2月17–18日の録音。Argo/Cadetレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ray Bryant (p), Walter Booker (b), Freddie Waits (ds), Snooky Young (tp, tracks 2, 5, 6 & 9), Clark Terry (tp, flh, tracks 2, 5, 6 & 9)。レイ・ブライアントのピアノ・トリオがメインで、4曲にトランペットがフロント管として入っている。

こってこてファンキー&ソウルフルなバップ・ピアニスト、レイ・ブライアントのアーゴ/カデット・レーベル移籍後の最初のリーダー作。レイ・ブライアンとは、もともとハードバップ時代から、ファンクネス濃厚なバップ・ピアノを身上としていたのだが、1960年代に入ってからは、ソウルフルな音志向が強くなる。そこに、1960年代半ば、「ファンキー&ソウルフル」な、アーゴ/カデット・レーベルへの移籍があって、このリーダー作をリリースしている。
 

Ray-bryant-triogotta-travel-on

 
冒頭のタイトル曲「Gotta Travel On」が良い。この曲、レイ・ブライアントのソロの大名盤『Alone at Montreux』の冒頭でも、ガツンと一発かましているのだが、当盤が初演。タッチは硬質で重量感があって、とにかく、こってこてファンキー&ソウルフル、そして、ゴスペルチック。僕の好みの音志向の一つの「ど真ん中」なので、何度、繰り返し聴いても、この曲は全く飽きない。

2曲目のブライアントの自作曲「Erewhon」以降、ブライアントのピアノが、重厚かつ強靭な弾き回しで次々と、ファンキー&ソウルフルでキャッチャーなフレーズを連発して、爽快感抜群。R&B的響き、ゴスペル的響きも見え隠れして、いかにも「アーゴ/カデット・レーベルの音世界」満載、といった感じがとても良い感じ。

曲によってフロントにトランペット2本が加わるが、これは、曲の持つ主旋律をはっきり浮き立たせる為だけの役割みたいで、特筆すべきものは無い。無くても良いよな、なんて思っている。これは、オーバー・プロデュースだろう。

レイ・ブライアントのピアノの個性にバッチリ合った、アーゴ/カデット・レーベルの音世界。録音も良く、ブライアントの重厚かつ強靭な弾き回しもしっかり捉えられていて良好。ピアノ・トリオの演奏で統一されていないのが残念だが、レイ・ブライアントの名盤の一枚です。
 
 

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2025年2月19日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 104

フレディ・レッド(Freddie Redd)。1928年5月、NY生まれ、2021年3月、92歳で没。1959年にニューヨークのリビング・シアターの演劇「The Connection」の出演と音楽の作曲を担当した事で、一躍名前を知られるようになったピアニスト。

典型的なバップ・ピアニストであるが、やや地味というか、目立たないタイプで、ジャズ・ピアノ好きが多い日本においても知名度は比較的低い。結構、渋めの小粋で端正なバップ・ピアノを弾くのだが、我が国では顧みられることは殆どない。でも、聴いてみると、意外と「いい感じ」なのだから面白い。やはり、ジャズは自分の耳で聴かないといけない音楽ジャンルである。

Freddie Redd Trio『San Francisco Suite』(写真左)。1957年10月2日の録音。Riversideレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Freddie Redd (p), George Tucker (b), Al Dreares (ds)。渋めの小粋で端正なバップ・ピアニスト、フレディ・レッドのトリオ盤である。

まず、この「ジャズトリオのためのサンフランシスコ組曲」と題されたアルバム、4曲がレッドの作曲である。そして、このレッドの自作曲のそれぞれの出来がとても良い。特に、冒頭のタイトル曲「San Francisco Suite」の出来を聴いて、レッドのバップ・ピアノの腕前はそこそこかもしれないが、作曲能力は素晴らしいものあるということを十分に再認識させてくれる。
 

Freddie-redd-triosan-francisco-suite

 
レッドの書く曲って、意外と明るさと躍動感に満ちた楽曲が多いのだが、この「San Francisco Suite」は出来がとても良い。レッドのピアニストとしての腕前はちょっとイマイチなんだが、このレッドの書く楽曲の優秀性、明るさ、楽しさ、躍動感が、そんなちょっとイマイチのピアノを聴いて楽しいものにしている。

そして、このレッドの書く楽曲の優秀性、明るさ、楽しさ、躍動感のお陰で、レッドの独特のアタック感や泥臭さが、良い意味で「映える」のだから、即興演奏が旨のジャズとは言え、やはり、演奏する楽曲の質というのも、ジャズの重要な要素なんだ、ということを再認識させてくれる。

フレディ・レッドの自作曲の4曲以外、あとの3曲はスタンダード曲。「Blue Hour」や「Minor Interlude」は、マイナー調の展開だが、どこか、明るさ、楽しさ、躍動感を湛えていて、レッドのスタンダード曲の解釈、アレンジが意外とユニークなことが良く判る。

良い楽曲が主役のピアノを引き立てる、そんな言葉がぴったりのレッドの『San Francisco Suite』。リズム隊もバップなリズム&ビートを堅実に叩き出して、レッドのバップ・ピアノをしっかりと支えている。

そう、「良い楽曲、良いリズム隊が主役のピアノをしっかり引き立てる」という点で、この盤は「ピアノ・トリオの代表的名盤」の一枚として良いのではないでしょうか。
 
 

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2025年2月18日 (火曜日)

アーゴ&カデットらしいライヴ盤

アーゴ&カデット・レーベルからリリースされているジャズ盤を順に聴き進めていくと、その音作りの統一感に思わず感心する。

親レーベルのチェス・レコードが「リズム・アンド・ブルース主力」なのが影響しているのだろう、他のジャズ・レーベルと比較すると、ちょっと癖の強い、ソウルフルな雰囲気濃厚なもの、ファンクネス濃厚なもの、どっぷりブルージーな歌心満点なもの、いわゆる「強めのファンキー&ソウルフルな盤」が多くリリースされている。

Ramsey Lewis Trio『Hang On Ramsey!』(写真左)。1965年10月14–17日、米国カリフォルニア、ハモサビーチの「Lighthouse Café」でのライヴ録音。Argo/Cadet レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ramsey Lewis (p), Eldee Young (b), Isaac "Redd" Holt (ds)。ファンキー&ソウルフルな人気ピアニスト、ラムゼイ・ルイスのトリオ・ライヴ盤である。

このラムゼイ・ルイス・トリオのライヴ盤は、こってこて「ファンキー&ソウルフル」な演奏がガッツリ詰まっている。この盤の演奏を聴いていると、自然と足でリズムを取り、思わず腰が左右に動く。決して、俗っぽくなく、イージーリスニングっぽくも無い。正当なファンキー&ソウル・ジャズなんだが、とにかく、ファンクネス濃厚。どこかR&B志向も見え隠れする。
 

Ramsey-lewis-triohang-on-ramsey

 
演奏曲の中に、ビートルズ・ナンバーが2曲「A Hard Day's Night」「And I Love Her」が入っているが、このビートルズ・ナンバーが、見事なほどに、ファンキー&ソウル・ジャズ化している。

元々、ビートルズ・ナンバーは、底にR&Rやブルースの要素が流れていて、基本はオフビートの世界なのだが、曲のコード進行が独特なので、当時のジャズマンは、ビートルズ・ナンバーのジャズ化には苦心している。

が、ラムゼイ・ルイス・トリオは違和感なく、こってこて「ファンキー&ソウル・ジャズ」なアレンジを施して、これがバッチリ成功している。聴衆の熱い「ノリ」が、その証拠である。

他のジャズ・スタンダード曲も、徹底して、こってこて「ファンキー&ソウル・ジャズ」なアレンジを施して、ファンクネス濃厚、どっぷりソウルフルなパフォーマンスですっ飛ばす。もう、ハモサビーチの「Lighthouse Café」の聴衆は興奮の坩堝(るつぼ)。熱気溢れノリノリの掛け声、ハンドクラップ。

実に、アーゴ&カデット・レーベルからのリリース盤らしい、強烈に、こってこて「ファンキー&ソウルフル」なアルバム。アーゴ&カデット・レーベルの「音」に、しっかりと寄り添い、更に「ファンキー&ソウルフル」を増幅する、ラムゼイ・ルイス・トリオの、正統派なジャズ演奏もさすが、である。好盤です。
 
 

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2025年2月17日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・279

アーゴ&カデット・レーベルは、ブルーノートやプレスティッジといったジャズ専門レーベルに比べ、かなりソウル色が強い。

親レーベルのチェス・レコードが「リズム・アンド・ブルース主力」であったことが理由だろうが、ソウルフルな雰囲気濃厚なもの、ファンクネス濃厚なもの、どっぷりブルージーな歌心満点なもの、など、ちょっと癖の強い、他のレーベルにないファンキー&ソウルフル濃厚な盤が多くリリースされている。

『Sonny Stitt』(写真左)。1958年の作品。シカゴでの録音。Argoレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Sonny Stitt (as, ts), Ramsey Lewis (p), Eldee Young (b), Isaac "Red" Holt (ds)。ばりばりソウルフルなピアノ・トリオをバックにした、ソニー・スティットのワンホーン・カルテット。

ソニー・スティットは、ビ・バップなサックスが特徴。本場米国では、スティットはチャーリー・パーカーの最も優れた弟子と評価されている割に、日本ではパーカーの模倣扱いされ、アルト・サックスを聴くなら、チャーリー・パーカーを聴けば十分という偏った評論と相まって、ソニー・スティットはマイナーな存在に留まった。

しかし「パーカーのそっくりさん」という表現は酷い。スティットのサックスをちゃんと聴けば、パーカーそっくりなサックス、とは感じないだろう。判り易く形容すると「スマートでウォームなパーカー」か。パーカーのアドリブ・フレーズより、素直でシンプル。パーカーの尖った抑揚より、ちょっと程よくラウンドした抑揚。ストレートなふきっぷりも、パーカーは鋭いが、スティットは少しウォーム。
 

Sonny-stitt

 
ただ、スティットのサックスは、筋金入りの「ビ・バップなサックス」。ソウル色の強いArgoレーベルでは、どんな音世界のリーダー作になるのだろう、と興味津々。しかも、バックのリズム隊は、ラムゼイ・ルイスのピアノ率いる、「こってこてファンキーでソウルフルな」リズム隊。

一聴すると、筋金入りの「ビ・バップなサックス」が飛び出てくるので、さすがスティット、と思うんだが、ずっと聴き進めていくと、それまでのスティットの「ビ・バップなサックス」とは響きとフレーズがちょっと違うことに気が付く。切れ味よくバップなフレーズ、というより、ちょっと流麗で唄うような、ちょっとキャッチーでシンプルなフレーズを吹いている。

バックのラムゼイ・ルイス・トリオは、きっちり「ファンキーでソウルフルな」リズム&ビートを供給している。そこに、スティットの「ビ・バップなサックス」が入ると、どこか唄うように、流麗でキャッチーでシンプルなフレーズに早変わり。これ、スティット流の「ビ・バップなソウルフルなサックス」なのかもしれない。

それまでの、ちょっととっつきにくい、ハードで硬派なスティットのサックスが、ラムゼイ・ルイスのピアノ率いる、「こってこてファンキーでソウルフルな」リズム隊のバッキングに乗って、ちょっと流麗で唄うような、ちょっとキャッチーでシンプルなフレーズを吹いている。これ、なかなかイケる。実は、このスティット盤、以前からのお気に入り。良いアルバムです。
 
 

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2025年2月16日 (日曜日)

フュージョンでのドラムの重要性

演奏の「音」を決める重要要素の一つを担っているのが「ドラム」。そんなャズ/フュージョンにおける「ドラム」にスポットを当てて、楽曲評論をする。レコード・コレクターズ 2025年2月号の特集は「この曲のドラムを聴け! ジャズ/フュージョン編」。これは実に興味深い特集。

ジャズ/フュージョンにおけるドラムの位置付けは、リズム&ビートのキープ役が主だが、実は、このドラムの立ち回りによって、ジャズ/フュージョンの演奏内容がガラッと変わるのだ。これは、フュージョン・ジャズでも明確に言えること。

George Duke『Reach for It』(写真左)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、George Duke (key, vo), Charles "Icarus" Johnson (g, vo), Michael Sembello (g), Byron Miller, Stanley Clarke (b), Leon "Ndugu" Chancler (ds, rototoms, timbales, vo), Manolo Badrena (congas, bongos, perc), Raul De Souza (tb), Dee Henrichs, Sybil Thomas, Deborah Thomas (vo)。

今回、注目のドラマーは、Leon "Ndugu" Chancler(レオン・ンドゥグ・チャンクラー)。1952年7月1日、米国ルイジアナ州生まれ、2018年2月3日、65歳で逝去。一流のスタジオ・ミュージシャンとしてジャズに留まらず、ポップ、ブルースなど、音楽ジャンルの垣根を超えて活躍。特に、マイケル・ジャクソンやウエザーリポートのアルバムへの参加が有名。録音当時、フュージョン界のファースト・コール・ドラマーの一人である。

巷では「ジョージ・デュークの鍵盤が冴え渡るブラジリアン・フュージョン」盤とされる。確かに、3曲目「Hot Fire」は、トロピカルなラテン・ディスコティック・フュージョン、5曲目「Searchin' My Mind」のボーカルはどこかブラジリアン、7曲目の「Diamonds」は、明らかなブラジリアン・フュージョンではある。

合間合間にブラジリアン・ミュージック志向のクロスオーバー・ジャズが入るので、判りにくくなるが、全体の雰囲気は、あっけらかんとした「インストメインのプログレッシヴ・ロックとジャズとの融合」を基本とした、クロスオーバー・ジャズだろう。ジョージ・デュークは、決して「ブラジリアン・ミュージック」を標榜してはいないだろう。ブラジリアン・ミュージック志向は、彼の創り出す楽曲の「色付け」に活用しているに過ぎない。

それは、この盤のバックの演奏のリズム&ビートを司るリズム隊のイメージが、ブラジリアン・ミュージックでは無い、しっかりとした米国東海岸フュージョンのリズム&ビートなのだ。その米国東海岸フュージョンのリズム&ビートを供給している「要」が、レオン・ンドゥグ・チャンクラーのドラムである。
 

George-dukereach-for-it

 
この盤はジョージ・デュークのリーダー作なので、ジョージ・デュークの音志向に従うべきなのだが、チャンクラーは忠実に、ジョージ・デュークの音志向に則ったリズム&ビートを供給する。

つまりは、しっかりとした米国東海岸フュージョンのリズム&ビートの供給であり、このチャンクラーの供給するリズム&ビートによって、この盤の「ブラジリアン・ミュージック」志向は、志向に留められ、あくまで、ジージ・デュークが志向する「インストメインのプログレッシヴ・ロックとジャズとの融合」を基本とした、上質のクロスオーバー・ジャズがこの盤に蔓延している。

ラテンでトロピカルな曲が入っているから「ブラジリアン・フュージョン」盤と決めつけるのはちょっと早計がすぎる。アルバム全体では、ファンクネスはそんなに濃厚ではないし、ソウル・ジャズの要素も軽度に留まる。ジャズロックと評するには、ジャジーな要素が希薄。これはジョージ・デューク独特の、あっけらかんとした「インストメインのプログレッシヴ・ロックとジャズとの融合」を基本とした、クロスオーバー・ジャズ、とするのが一番座りが良い。

この "あっけらかんとした「インストメインのプログレッシヴ・ロックとジャズとの融合」を基本とした、クロスオーバー・ジャズ" というところが「胡散臭い」とされる所以だと思っている。まあ、最初、プログレ志向のジャズロックか、と思って聴いていたら、いきなりブラジリアン・ミュージック志向が現れ、ラテン・ディスコが現れ、プログレ志向のクロスオーバー・ジャズが展開される。

確かに「胡散臭い」訳で(笑)、それでも、リーダーのジョージ・デュークが大真面目に、"あっけらかんとした「インストメインのプログレッシヴ・ロックとジャズとの融合」を基本とした、クロスオーバー・ジャズ" をやっている。

この大真面目のところが僕には「ツボ」で、あくまで、ワールド・ミュージック志向に魂を売らない、あくまで、米国クロスオーバー&フュージョン・ジャズに軸足をしっかり残しているところに、ジョージ・デュークの矜持を感じる。こういう潔いところが、「ジョージ・デューク愛すべし」と強く思うポイントで、僕は、そんなジョージ・デュークがお気に入りだ。
 
 

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2025年2月15日 (土曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 103

個性派の幻のピアニストの一人、ハービー・ニコルス(Herbie Nichols)。1963年、満44歳で没して、生涯4枚のリーダー作しか残さなかった。

どこが個性派なのかというと、まず、ブルーノートの『Herbie Nichols Trio』(左をクリック)を聴いてみると判る。音の響きは、まるで「セロニアス・モンク」。そのフレーズのノリはモンクと同じく「スクエア」で、ところどころ不協和音を配した、ちょっと前衛的な響きのする個性的なピアノ。

加えて、ピアノの鍵盤を叩き、弾く様に弾く。ピアノという楽器の打楽器的要素の部分をフレーズの真ん中に置いている。これもモンクと同じ。しかし、その打楽器的要素は、モンクのそれと比べると、それほど複雑では無く、哲学的では無い。ニコルスのそれは、平易で判り易い「打楽器的要素」。

右手の捌きは「ビ・バップ」。モンクの様に間を活かした幾何学的なフレーズの積み重ねでは無く、モンクの間を音符で埋めた様な、饒舌なビ・バップ的なフレーズの積み重ね。僕は、このハービー・ニコルスのピアノを「饒舌でビ・バップなモンク」と評している。

Herbie Nichols『Love, Gloom, Cash, Love』(写真左)。1957年11月の録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Herbie Nichols (p), George Duvivier (b), Dannie Richmond (ds)。ハービー・ニコルス最後のリーダー作である。ブルーノートの『Herbie Nichols Trio』は、1955年8月と1956年4月の録音だったから、それから1年半後のリーダー作になる。
 

Herbie-nicholslove-gloom-cash-love

 
このアルバムを聴いて面白いのは、ブルーノート盤『Herbie Nichols Trio』で見せた独特の個性が、聴き易いタッチとフレーズのバップ・ピアノになっているのだ。ブルーノート盤『Herbie Nichols Trio』では、個性を出し過ぎた、とニコルス自身が思ったのか、ベツレヘムのプロデューサー、 リー・クラフトがそう思ったのか、かなり聴き易いニコルスに変化している。

ニコルスの個性はそこかしこには残っている。しかし、ブルーノート盤『Herbie Nichols Trio』で見せた強烈な個性は、このベツレヘム盤には無い。ビ・バップなピアノとしての個性は残ってはいるが、演奏全体の雰囲気は上質なハードバップなピアノ。ちょっと雄々しくゴツゴツしたバップ・フレーズが癖になる。強烈な個性が後退した分、この盤のニコルスのバップ・ピアノはとても聴き易い。

独特の個性はフレーズのところどころにひっそりと残っているのだが、それが適度がゆえに、ブルーノート盤『Herbie Nichols Trio』で特徴的だったかなり過激な、スケールの大きい全音階の使用も、本作では意識的に抑えられてる。しかし、それが功を奏していて、この盤、ダンディズム溢れる、端正で硬派なピアノ・トリオ作品に仕上がっているのだから面白い。

耳当たり抜群に良くて、この路線で、時々、独特の個性を見せつつ、端正硬派なバップ・ピアノを弾き進めていったら、意外と人気ピアニストの仲間入りをしていたかもしれません。この盤、たった一枚ですが、ピアニスト、ハービー・ニコルスの存在証明の様な、ピアノ・トリオの佳作が残ったことは、生前、不遇だったニコルスとしては、唯一、幸せなことだったかと思います。
 
 

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2025年2月14日 (金曜日)

ベイシー楽団のダイナミズム

レコード・コレクターズ 2025年2月号の特集は「この曲のドラムを聴け! ジャズ/フュージョン編」。これは実に興味深い特集だ、と思う。ジャズ/フュージョンにおけるドラムの位置付けは、リズム&ビートのキープ役が主だが、実は、このドラムの立ち回りによって、ジャズ/フュージョンの演奏内容がガラッと変わる。

一昨日、Benny Goodman & His Orchestra、いわゆるビッグバンドにおけるドラムについて、史上初の「スター・ドラマー」、ジーン・クルーパのドラミングについて語ったのだが、確かに、ビッグバンドのダイナミズムを支えるリズム&ビートは「ドラム」に依るところが大きい。

Count Basie『Basie Plays Hefti』(写真左)。1958年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p) がリーダーの "Cont Basie Orchestra" 。今回、注目のドラマーは、Sonny Payne (ds)。カウント・ベイシー楽団の二代目ドラマー。僕はこのソニー・ペインというドラマーを「ベイシー楽団の爆弾男」と呼んで敬愛している。

冒頭「Has Anyone Here Seen Basie」を聴けば、1曲目から「ベイシー楽団の爆弾男」の面目躍如。ホーン・セクションが一斉に吠えるテーマ部では、ペインは「爆弾を落とすが如く」叩きまくり、フロント管がソロを取ると、思いっきりバスドラを「爆弾を落とすが如く」踏み込んで、フロント管を鼓舞しまくる。
 

Count-basiebasie-plays-hefti

 
2曲目「Cute」では、ミッドテンポのゆったりした演奏の中、ペインは絶妙のブラッシュ・ワークを披露する。ほんと、これが「絶妙」で、フロント管のユニゾン&ハーモニーのバックで、キッチリとリズム&ビートをキープし、ミッドテンポの優しい演奏に効果的なアクセントを散りばめる。

繊細できめ細やかな「紳士的な」ブラッシュ・ワーク。「爆弾を落とす」だけがペインのドラミングではないことが良く判る。この辺りが、「ペインは、間違いなく最高のビッグバンド・ドラマーだ」とされる所以だろう。

以降、全編に渡って、爆弾男と紳士的な男、二つの顔で、ベイシー楽団のダイナミズムを支え、ダイナミズムをベイシー楽団の個性の一つに仕立てあげる。ベイシー楽団のダイナミズムは、このペインのドラミングに依るところが大きい。

時々、ブレイクにトリッキーなフィルインを入れて客を笑わせるユーモア溢れるドラミングもペインの個性。「爆弾を落とすが如く」叩きまくり、繊細できめ細やかな「紳士的な」ブラッシュ・ワークを披露しつつ、ベイシー楽団のダイナミズムを音にする。そういう意味で、ペインも「スター・ドラマー」だと言える。ビッグバンドには「スター・ドラマー」が不可欠である。
 
 

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2025年2月13日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 102

マリアン・マクパートランド(以降、マリアンと呼ぶ)は、女性ジャズ・ピアニストのパイオニア。スイング期からビ・バップ期を始めとして現代まで、ジャズの歴史のほとんどをリアルタイムで活躍した、本格派のジャズ・ピアニスト。

リーダー作もかなりの枚数、リリースしていて、米国では正当に評価されていた証である。が、我が国では全くの「無名」。これだけ、米国と我が国で評価のレベルが異なるジャズ・ピアニストも珍しい。しかし、自らの耳で聴いて見ると判るが、マリアンは正統派なジャズ・ピアニストである。

『Marian McPartland Plays Leonard Bernstein』。1960年4月8, 12日の録音。ちなみにパーソネルは、Marian McPartland (p), Ben Tucker (b), Jake Hanna (ds)。女性ピアノの代表格、マリアンがリーダーの、レナード・バーンスタイン作曲のミュージカル曲をメインに演奏したピアノ・トリオの企画盤。

マリアンは英国人。第二次大戦後に渡米している。当時の米国で女性のジャズ・ピアニストとして活躍していたのはメアリー・ルー・ウィリアムスくらい。1949年、52番街のヒッコリー・ハウスのハウス・ピアニストに採用され、ようやく演奏の基盤が確立。よって、彼女のピアノは「バップ・ピアノ」。
 

Marian-mcpartland-plays-leonard-bernstei  

 
このバーンスタイン曲集で奏でられるのは、バップなピアノ・トリオ。粋で洒脱で流麗なピアノ。端正だが優しげなタッチは女性ならでは。リラックスして聴き惚れる。バップなピアノでありながら、過剰な弾き回し、カンカチな硬質タッチ、叩く様な左手は皆無。弾き回しは適度な速さ、タッチは明確だが柔かく、ベースラインは堅実。

弾き回しは明らかにバップだが、フレーズの作りにはどこかクラシックの様な、典雅な雰囲気が漂う。音のエッジが少しラウンドしていて、耳当たりが良い。スケールが大きく力強いピアニスティックな弾き回し。マリアンのピアノは、バップ・ピアノのスタンダードと比べれば、明らかに個性的である。

しかしながら「I Can Cook Too」を聴けば判るが、このアップテンポな曲は、マリリンが激しいスイングにも対応でき、いつもソフトなアレンジを好んでいたわけではないことを示している。通常のバップ・ピアノにも適応している。

そんなマリリンの個性的なバップ・ピアノが、ジャジーなバーンスタイン曲を、さらに魅力的に映えるアレンジを施して、魅力的に印象的に弾き進めていく。バーンスタイン曲の持つキャッチャーなフレーズが、マリリンの柔らかいタッチで、不思議とクッキリ浮き出てくる。

魅力的なバップ・ピアノによる、上質のピアノ・トリオ演奏だと思います。仰々しい目立った立ち回りは全く無いが、堅実誠実なバップな弾き回しが耳に優しく、不思議と定期的に聴き直したくなるトリオ演奏です。
 
 

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2025年2月12日 (水曜日)

『Sing, Sing, Sing』のドラム

レコード・コレクターズ 2025年2月号の特集は「この曲のドラムを聴け! ジャズ/フュージョン編」。これは実に興味深い特集だ、と思う。ジャズ/フュージョンにおけるドラムの位置付けは、リズム&ビートのキープ役が主だが、実は、このドラムの立ち回りによって、ジャズ/フュージョンの演奏内容がガラッと変わる。

演奏の「音」を決める重要要素の一つを担っているのが「ドラム」。そんなャズ/フュージョンにおける「ドラム」にスポットを当てて、楽曲評論をする。これは僕もやったことが無い。ということで、僕もやってみることにした。

Benny Goodman & His Orchestra『Sing, Sing, Sing』(写真左)。1987年のリリース。演奏自体は1930年代後半の演奏。ちなみにパーソネルは、Benny Goodman (cl) がリーダーの "Benny Goodman & His Orchestra"。今回、注目のドラマーは、Gene Krupa (ds)。ベニー・グッドマン楽団の「要のドラマー」であり、史上初の「スター・ドラマー」である。

「King of Swing」、スイングの多様、ベニー・グッドマンと彼のオーケストラのオムニバス盤である。演奏の基本は「スイング」。迫力あるダイナミズム溢れる、高速にスイングするビッグバンドは圧巻。ムード満点に印象的にバラード展開するビッグバンドは流麗。そんなビッグバンド演奏のリズム&ビートをガッチリ支えているのが、ジーン・クルーパ(写真右)のドラム。
 

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通常はどの曲でも、ジーン・クルーパは演奏の基本である「リズム&ビート」をしっかりと支え、ソロイストのパフォーマンスを鼓舞する正確無比で判り易いドラミング。バンド全体にしっかりと「リズム&ビート」を供給し、その叩きっぷりで、バンド全体に「躍動感」を与えている。

そして、お目当ての「Sing, Sing, Sing」である。この曲だけは、ドラムのジーン・クルーパは、バンド演奏のリズム&ビートを支える役割を超えて、ソロイストとして、躍動感溢れるドラムを叩きまくる。

史上初の「スター・ドラマー」というが、確かに、ジャズの歴史を振り返って、ソロイストとして、ドラムという楽器をたたきまくり、ドラムという楽器の音を強烈にアピールする、というパフォーマンスは、クルーパが初めてではないか。演奏途中のドラムソロも躍動的でビートが効いて相当に印象的。史上初の「スター・ドラマー」の面目躍如である。

この「Sing, Sing, Sing」のジーン・クルーパのドラミングを聴くだけで、ドラムは、ジャズ/フュージョン演奏の「音」を決める重要要素の一つを担っていることが良く判る。

元々のオリジナルの演奏はボーカルがメインの大人しめの小曲だったらしいが、それをこんなに躍動感溢れるインスト・ナンバーに変身させ、ビッグバンドの演奏に耐えるリズム&ビートを供給する。ジャズ/フュージョンにおけるドラムの位置付けは、意外と奥が深い。
 
 

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2025年2月11日 (火曜日)

「個人名義のパット」の名盤です

パット・メセニー(Pat Metheny)は、僕がジャズを本格的に聴き始めた頃から、ずっとお気に入りの「現代のコンテンポラリーなジャズ・ギタリスト」である。志向・テイストが全く異なる、個人名義での「ソロでの活動」と、パット・メセニー・グループでの「グループでの活動」の二面性が、ならではの個性である。

Pat Metheny『80/81』(写真左)。1980年5月26–29日、ノルウェー・オスロの「Talent Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g), Charlie Haden (b), Jack DeJohnette (ds), Dewey Redman (ts, tracks B1, B2, C1 & C2), Michael Brecker (ts, tracks A1, A2, B2, C1, C2 & D1)。最初のリリースは、LP2枚組でのリリース。

パット・メセニー単独名義の秀作である。内容的には、自由度の高いモーダルな演奏から、フリーに展開するコンテンポラリーな純ジャズ。これが、あの欧州ニュー・ジャズのリーダー的存在、ECMレーベルからのリリースだから、ちょっとビックリする。

パーソネルを見渡してみて、リーダーのパットはともかく、ベースのヘイデン、ドラムのデジョネット、テナーのレッドマンとマイケル・ブレッカー。このパーソネルからして、ECMのニュー・ジャズにはならないだろう。

しかし、このパーソネルで、限りなく自由度の高い「モード・ジャズ、時々フリー・ジャズ」を展開、録音当時、1980年において、最先端をいくコンテンポラリーな純ジャズが展開されるとは思わなかった。
 

Pat-metheny8081

 
個人名義のパットの音志向は「フォーキー&ネイチャー」そして「フリー&スピリチュアル」の2要素の拮抗。この『80/81』では、そのパットの音志向がはっきりと判る、そして、それがこのアルバムの成功要因となっていることがはっきり判る内容となっている。

まず冒頭の「Two Folk Songs: One / Two」が絶品。パットのギターとマイケルのテナーが素晴らしい。そもそも、このセッション、キーボードレスなので、フロント楽器の自由度が限りなく高い。二人がテーマを演奏する、「フォーキー&ネイチャー」な音志向は、抜群に爽快であり、抜群に印象的である。

そして、ヘイデンとデジョネットのリズム隊が、的確なリズム&ビートを供給し、パットとマイケルのパフォーマンスの自由度を最大限に引き出している。今の耳にも、素晴らしくハイレベルな「モード・ジャズ、時々フリー・ジャズ」が展開される。これがまあ、素晴らしいのなんのって。

「フリー&スピリチュアル」志向が露わになる「80/81」や「Open」、パットが敬愛するオーネット作の「Turnaround」。この「フリー&スピリチュアル」志向がメインの演奏では、テナーについては、レッドマンが活躍する。

が、「フォーキー&ネイチャー」志向がメインの演奏でも、「フリー&スピリチュアル」志向がメインの演奏でも、フリー・ジャズに展開する場面においては、マイケルのテナーの咆哮が突出して凄い。オーネット志向を突き抜けて、完全なマイケル・オリジナルなフリーな咆哮。思わず、ゾクゾクっと「チキン肌」になる。

この盤は、個人名義のパットの音志向、「フォーキー&ネイチャー」そして「フリー&スピリチュアル」の2要素の拮抗がよく判る、個人名義のパットの「音志向の原点」の様なアルバムである。個人名義のパット・メセニーの名盤の一枚です。
 
 

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2025年2月10日 (月曜日)

ブルーノートらしさ満載の盤

ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。そんなブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく当ブログの企画。今日はその「第13位」。

Art Blakey and The Jazz Messengers『Moanin'』(写真左)。1958年10月30日の録音。ブルーノートの4003番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Benny Golson (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b), Art Blakey (ds)。サックスのベニー・ゴルソンが音楽監督と務めた、ジャズ・メッセンジャーズの最初のピークを迎える黄金メンバーの最初のアルバム。

ファンキー・ジャズの名盤中の名盤、として、様々なところで語り尽くされた盤ではあるが、このアルバムが録音されたのは1958年。アート・ブレイキー以下、バンドのメンバーが皆、「ファンキー・ジャズ」なアルバムを作るぞ、と意気込んで録音した訳ではないだろう。

のちのジャズ評論家が、このアルバムを聴いて、我が国の音楽関係者の大好きな「音楽のジャンル分け」の中で、このアルバムって、ファンキー・ジャズだよね、と分類分けして、その内容が抜群に良かったので、ファンキー・ジャズの名盤中の名盤、と後付けで評価されただけのこと。

よくよく、しっかりと聴き直すと、LPのA面の3曲「Moanin」「Are You Real」「Along Came Betty」は、コール・アンド・レスポンス、チェイス、ブルージー濃厚な音の響き、など、ファンキー・ジャズの重要な音要素がしっかり備わっている。
 

Artblakeyandthejazzmessengersmoanin

 
そして、このファンキー・ジャズの重要な音要素をさらに増幅し、ファンキー・ジャズの音の重要要素である「ファンクネス」を引き立てる「ゴルソン・ハーモニー」という、ベニー・ゴルソン独特の音の重ね方をベースにしたアレンジ手法が採用されていて、このゴルソン・ハーモニーの存在こそが、この盤を「ファンキー・ジャズの名盤中の名盤」とされる、最大の要因である。

逆に、LPのB面の3曲「The Drum Thunder Suite」「Blues March」「Come Rain or Come Shine」は、ファンキー・ジャズというよりかは、上質な、完成度の高いハードバップと評価した方が据わりが良い。

「The Drum Thunder Suite」は、リーダーのブレイキーのドラミングをフィーチャーした、優れものの組曲だし、「Blues March」はコマーシャルでキャッチーなハードバップ・マーチだし、「Come Rain or Come Shine」は、実にしっとりとした静的なハードバップの名演である。

で、この盤について、当時の「ブルーノートらしさ」を醸し出す3要素、「ルディ・ヴァン・ゲルダーの創るブルーノートの音」、「リハを積んだことによる演奏の質の高さ」、「キメのアレンジの優秀性」、この3要素を照らし合わせてみると、この3要素がバッチリ揃っている。

ジャケも、ブレイキーのどアップで趣味が悪い、という向きもあるが、僕は、このジャケ、ジャズっぽくて良い、と評価している。このアルバムには、ブルーノートらしさが蔓延している。ファンキー・ジャズの名盤の一枚とするより、ブルーノート4000番台の名盤の一枚とした方が良いくらいだ。ブルーノート盤の「ベスト100」のベストテン圏内くらい、ブルーノートらしい盤である。
 
 

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2025年2月 9日 (日曜日)

ブルーノートらしさが溢れる盤

ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。そんなブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第12位」。

Larry Young『Unity』(写真左)。1965年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Larry Young (org), Woody Shaw (tp), Joe Henderson (ts), Elvin Jones (ds)。ショウのトランペットとジョーヘンのテナーが2管フロントのカルテット編成。ベースがいないのは、オルガンがベース・ラインを肩代わりしているため。

ショウのトランペット、ジョーヘンのテナー、エルヴィンのドラム、ときて、ヤングのオルガン、とくれば、これはもう、純正中の純正「モード・ジャズ」だろう。絶対に、オルガンのブルージーな音色を活かした、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズの類では決してない(笑)。

冒頭のウッディ・ショウ作の「Zoltan」から、ラリー・ヤングのモーダルなオルガンが炸裂する。ヤングのモーダルなオルガンは、とてもストイックで硬派なフレーズ。甘さやポップさの欠片も無い。しかし、とても実直で迫力ある、ヤングならではの「モーダルなオルガン」で、このモーダルなオルガンのフレーズはヤングでないと出ない。

そして、ヤングの「モーダルなオルガン」についてのアレンジが秀逸。ラストの有名スタンダード曲「Softly, As in a Morning Sunrise(朝日の如くさわやかに)」のモーダルな崩し方など絶品である。メロディアスでスインギーなこの楽曲を、ヤングならではの「モーダルなオルガン」で換骨奪胎して再構築している。これが見事。
 

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ヤングのモーダルなオルガンを「オルガン界のコルトレーン」と形容するが、よく聴くと、コルトレーンのモード解釈とは全く異なる、ヤングが考える、ヤングならではのモード解釈がこの盤に詰まっている。

それが良く判るのが、ショウのトランペットとジョーヘンの2管フロントのモーダルなアプローチ。ショウはショウなりの、ジョーヘンはジョーヘンなりのモード・ジャズがあるのだが、この盤では、ショウもジョーヘンも、ヤングの考える、ヤングならではのモード解釈に則って、モーダルなフレーズを吹きまくっている。

これは、ブルーノートがリハーサルにも力を入れて、本番演奏に臨んでいる「賜物」だろう。リハーサルを積むことによって、他のメンバーがリーダーの目指す音を理解し、リーダーの目指す音を「的確に出す」。これは、パッと集まってパッと演奏するジャムセッション方式では絶対に出来ない。この盤では、リーダーのヤングが目指すモーダルな音を、他のメンバーが「的確に出している」。これがこの盤の素晴らしさの一つである。

まとめると、当時の「ブルーノートらしさ」を醸し出す3要素、「ルディ・ヴァン・ゲルダーの創るブルーノートの音」、「リハを積んだことによる演奏の質の高さ」、「キメのアレンジの優秀性」、この3要素をしっかり踏まえた、モード・オルガンの名盤の一つだと思う。

ただし、内容的には「モーダルなオルガン」という、かなり専門性の高い内容が詰まった盤なので、レココレ誌の執筆陣が選んだベスト100の中の「第12位」という順位には、ちょっと疑問が残るけどなあ。内容的には順位が高いと思うが、皆が聴いて楽しめるという点ではなあ。まあええか。
 
 

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2025年2月 8日 (土曜日)

ブルーノートらしさの「3要素」

レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、ブルーノートらしい「内容と音と響き」、そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第11位」。

Sonny Clark『Cool Struttin'』(写真左)。1958年1月5日の録音。ブルーノートの1588番。ちなみにパーソネルは、Sonny Clark (p), Jackie McLean (as), Art Farmer (tp), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。リーダーは、早逝の哀愁ファンキー・ピアノ、ソニー・クラークがリーダー。マクリーンのアルト・サックス、アート・ファーマーのトランペットがフロント2管のクインテット編成。

レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。1〜10位までのアルバム・タイトルを見ると、頭に「???」が付くアルバムが多かったんだが、この「第11位」にして、やっと、ブルーノートらしいアルバムが来たぞ、という思いがする。

まず、このアルバム、「音」より先に「ジャケット」が、すごくブルーノートらしい。このジャケット・デザインだけでも、ブルーノートらしさの最上位に位置すると極論しても良い。超有名なジャケットだが、確かにこのジャケットは良い。ジャケットから、芳醇なハードバップな演奏が聴こえてきそうな、最高に素敵なジャケットである。
 

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で、音は、と言えば、もうこのアルバムの音については、巷で語り尽くされた感があるのだが、この盤は、ルディ・ヴァン・ゲルダーの「ブルーノートの音」の録音が良好。少しエコーを抑えたデッドでライヴな、管楽器の音がソリッドで心地よい塊になって耳に飛び込んでくる様な、ヴァン・ゲルダーの創る「ブルーノートの音」が、とても良い感じで記録されている。

それと、演奏の質が良い。これは、当時のブルーノートはリハーサルにもギャラを払い、しっかりとアレンジを練り、リハーサルを積んで、本番の録音に臨んでいるので、演奏に破綻がなく、目立ったミスは無い。整然とダイナミックに、思い切った、ポジティヴなパフォーマンスが記録されている。リハーサルを積んだ成果が、この盤にしっかり記録されている。

アレンジも良く練られていて、複数の管のユニゾン&ハーモニーや、コール・アンド・レスポンス、そしてチェイスなど、いわゆる「キメ」のアレンジが優れている。これは、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの手腕の賜物である。

まとめると、当時のブルーノート盤は、第1に「ルディ・ヴァン・ゲルダーのブルーノートの音」。第2に「リハを積んだことによる演奏の質の高さ」、第3に「キメのアレンジの優秀性」、この3つの要素がしっかりまとまって、当時の「ブルーノートらしさ」が醸成するのだと僕は思っている。

この『Cool Struttin'』は、そんな「3要素」がしっかり出揃った、そして、演奏するジャズマンのベストに近いパフォーマンスが詰まった「名盤」であり、とても「ブルーノートらしい」アルバムだと僕は思う。
 
 

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2025年2月 7日 (金曜日)

渋いギターといぶし銀ピアノ

昨日から、全国的にこの冬一番の寒波が猛威を振るっている。今日もテレビは大騒ぎ。しかし、ここ千葉県北西部地方は、南風が冷たいが、日差しは意外と暖かい。どうも、今年の南関東の冷え込みは緩い。しかし、寒いには違いない。寒いだけではたまらない。エアコンの暖房を適温にして、静的でゆったりとしたジャズ・ギターの音色に耳を傾ける、その2日目。

『The Sound of the Johnny Smith Guitar』(写真左)。1960年 & 1961年、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Smith (g), Hank Jones (p), George Duvivier (b), Ed Shaughnessy (ds)。ジョニー・スミスのギターがリーダーの「カルテット」編成。

CDリイシュー時には、タイトルは『The Sound of the Johnny Smith Guitar』のままだが、オリジナルLPリリース時の9曲に加えて、全く別のアルバム『Johnny Smith Plus The Trio』としてリリースされていた11曲を追加している。演奏内容はほぼ同じ雰囲気なのだが、ここでは、オリジナルLPの収録曲に絞って語ることとする。

ピアノ入りギター・カルテットは、ちょっと難しい。ピアノとギターはできること、役割がよく似ている。コード弾きの伴奏が出来る。旋律を奏でることも出来る。打楽器の役割も出来るし、旋律楽器の役割もできる。役割が似ている、と言うことは、演奏上、楽器と楽器と、ピアノとギターがぶつかることがある、と言うこと。

しかし、この盤では、ジョニー・スミスのギターと、ハンク・ジョーンズのピアノが、それぞれの役割を上手に分担して、絶妙なカルテット演奏を繰り広げている。
 

The-sound-of-the-johnny-smith-guitar

 
ただし、ピアノとギターの競演と言うと、パッと「ジム・ホールのギター、ビル・エヴァンスのピアノ」が浮かぶが、彼らの様に、それぞれの楽器の自由度を最大限に活かした、有機的なインタープレイを繰り広げている訳ではない。

フロントで旋律楽器の役割に徹したジョニー・スミスのギターと、バックで、テクニック良く、小粋なバッキングの役割に徹したハンク・ジョーンズのピアノ、そんな明確な役割分担をしていて、しかもそれがしっかり成功している。

ジョニー・スミスの音の繋ぎが滑らかなレガート奏法は、次の音を鳴らすまで前の音の弦を押さえたままにしておくというテクニカルなもの。このレガート奏法が、楽曲の持つ旋律をクッキリと浮き立たせ、旋律楽器としての役割を最大限に発揮している。

そして、そのジョニー・スミスのギターが奏でる旋律を、しっかりとサポートし、しっかりと浮き立たせる。そして、ジョニー・スミスのギターのフレーズが映えに映える。

この盤は、静的なギターの粋な音色と落ち着いた弾きっぷりの、ジョニー・スミスの渋いバップ・ギターを愛でる、そして、いぶし銀の様な、小粋で典雅でバップなハンク・ジョーンズのピアノのバッキングを愛でる盤である。

ジョニー・スミスの吶々と朗々と温和に語りかけるギターに、なんと見事なハンク・ジョーンズのいぶし銀ピアノのサポート。寒い冬の昼下がりに、エアコンの暖房を適温にして、リラックスして聴くのに最適な、ジョニー・スミスの好盤である。
 
 

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2025年2月 6日 (木曜日)

寒波に「ヴァーモントの月」

全国的にこの冬一番の寒波、ということで、テレビは大騒ぎである。確かに風は冷たい。しかし、日差しは2月の日差しで、少し春の暖かさの片鱗を感じる。あと一ヶ月半ほどで春分の日。そう考えると、この寒波も耐えるかと思うんだが、寒いだけではたまらない。エアコンの暖房を適温にして、静的でゆったりとしたジャズ・ギターの音色に耳を傾けることにした。

Johnny Smith Quintet『Moonlight in Vermont』(写真左)。1952年3月〜1953年8月の録音。邦題『ヴァーモントの月』。CDリイシュー時の収録曲数が19曲。オリジナルLPより7曲多い。今回は、このリイシューCDを前提に話を進めたい。

ちなみにパーソネルは、Johnny Smith (g), Stan Getz (ts, #1-4, 9-12 only), Zoot Sims (ts, #5-8 only), Paul Quinichette (ts, #13-16 only), Sanford Gold (p), Bob Carter, Arnold Fishkind, Eddie Safranski (b), Morey Feld, Don Lamond (ds)。

実に魅力的な、静的なギターの音色。落ち着いた弾きっぷり。とにかく渋いバップ・ギター。ややもすれば「地味」扱いされるジョニー・スミスのギター。どうして、テクニックにも問題なく、歌心溢れるミッドテンポのフレーズは、冬の寒々とした風景に、柔らかく暖かく、しっとりと溶け込んでいく。
 

Johnny-smith-quintetmoonlight-in-vermont

 
ちょっとマイナーに傾倒したジョニー・スミスのギターに、サックスが寄り添う様に吹き進む。一番、印象的に寄り添うテナー・サックスは「スタン・ゲッツ」。さすがゲッツ、伴奏上手なテナーである。そして、他の二人、ズート・シムスとポール・クイニシェットのテナーも、ゲッツほどではないにしろ、印象的に寄り添うところはグッド。

ジョニー・スミスなりの ”高速” で演奏される「Jaguar」「Cavu」「Cherokee」なんかは完全にビ・バップなギターで、聴き応え十分である。

ジョニー・スミスの音の繋ぎが滑らかなレガート奏法は、次の音を鳴らすまで前の音の弦を押さえたままにしておくというテクニカルなもの。和音も左手を大きく広げる必要があって、意外と高度なテクニックを要する。美しく滑らかに耳当たり良く、ギターの音色を聴かせる工夫が随所にある。

地味なギターという評価もあるが、これはちょっと的外れな評価だろう。寒い冬の昼下がりに、エアコンの暖房を適温にして、リラックスして聴くのに最適な、ジョニー・スミスの「ヴァーモントの月」である。

ジャケはおおよそ2種類ある。現在のジャケは(写真左)だが、僕は、ちょうどジャズを本格的に聴き始めた頃の、昔の「ピンク色のジャケ」(写真右)の方が馴染みがある。
 
 

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2025年2月 5日 (水曜日)

”The Sidewinder” 再考である

ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノートらしい「内容と音と響き」。そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第10位」。

Lee Morgan『The Sidewinder』(写真左)。1963年12月21日の録音。ブルーノートの4157番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Joe Henderson (ts), Barry Harris (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。リリース当時、ビルボード・チャートで最高25位を記録し、ブルーノート・レーベル空前のヒット盤となった。ジャズ史上においても、屈指のヒット盤である。

21世紀に入った今でも「この盤は、いち早くロックのリズムを取り入れ、それに成功したジャズ盤」と堂々と書いているものもあるが、これって、2局目以降の演奏を聴かずに書いたとしか思えない。ジャズ者初心者にとって、この盤を全編8ビートの「ジャズロック」が満載だと勘違いすると、期待すると、この盤を聴き通すのは辛いだろうと思う。

この盤は「様々なリズム・アプローチを試みたファンキー・ジャズ盤」。その試みた「様々なリズム・アプローチ」の一つが「ジャズロック」である。2局目以降は、4ビートの曲もあるし、6拍子の曲もあって、様々なリズム・アプローチを試みた、音の雰囲気は「ファンキー・ジャズ」。あっけらかんとした、単純な4ビートのファンキー・ジャズでは無い。
 

Thesidewinder_2

 
そして、アドリブ展開は「モード」が基本。トランペットのモーガン、テナーのジョーヘン、共にアドリブ展開は「モード」を基本として吹きまくる。モーガンはモーガンなりの、ジョーヘンはジョーヘンなりの、聴き易い「上質のモード」を展開するので、響きは1950年代のハードバップとは大きく異なる。アーティスティックではあるが、キャッチャーでは無い。

ただし、ジャズロックを目当てに聴き込むのではなく、ジャズの「様々なリズム・アプローチ」と、「聴き易いモード・ジャズ」を体験するには最適の盤だと思う。とりわけ、8ビートに乗った「モード・ジャズ」は、テンポが速いので、聴いていて「モード」の響きやフレーズの動きを理解し易いと思う。

当時のブルーノートは、恐らく「ジャズロック」をウリにするのではなく、「様々なリズム・アプローチ」を試みたモード・ジャズをウリにしたアルバムとしたかった、のではないのだろうか。当時としては、新鮮な響きを宿した、先進的なチャレンジをしたモード・ジャズ、を聴かせたかったのではないか、と僕は思っている。

そうだとしたら、この盤、「さすがはブルーノート」という盤である。この盤は「いかにもブルーノート」らしいアルバムの一枚である。
 
 

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2025年2月 4日 (火曜日)

”Un Poco Loco” 3連発に想う

 

1939年、ブルーノートの創立以降、ジャズの潮流が変わりつつあった1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノートらしい内容、音、響き。そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第9位」。

『The Amazing Bud Powell Vol.1』(写真左)。ちなみに録音日とパーソネルは以下の通り。1951年5月1日の録音、ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), Curley Russell (b), Max Roach (ds)。1953年8月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), George Duvivier (b), Art Taylor (ds)。 バド・パウエルのピアノ・トリオ集。

このピアノ・トリオの演奏、以前から「名盤中の名盤」とされる訳だが、そうだろうか、と常々思っている。この盤の冒頭の「Un Poco Loco」3連発。これを聴いて感銘を受けなければ、もはや未来永劫、ジャズを理解することは出来ない、などと極論を述べる評論家もいた。この極論を間に受けて、「Un Poco Loco」3連発を聴き続け、結局、よ〜判らんとジャズを諦めた人もいた。

このトリオ演奏は「ビ・バップ」。バド・パウエルの「ビ・バップ」。ベースとドラムは「忠実なリズム&ビートのキープ役」。主役のバド・パウエルが、その「忠実なリズム&ビートのキープ役」をサポートを得て、心ゆくまで、即興演奏を展開する。
 

The-amazing-bud-powell-vol1
 

しかし、この即興演奏の凄さについては判りにくい。一般の人々には特に判りにくい。クラシック・ピアノをある程度極めた、ピアノを弾くテクニックの難易度が理解できる人だけが、このバドの即興演奏の凄さを体感できる。一般の人にとっては、フレーズはあんまりメロディアスではないし、変にマイナーに転調するし、一言で言って「キャッチャー」なピアノ演奏では決してない。

よって、この冒頭の「Un Poco Loco」3連発を聴いて、何にも判らない、といって、もはや未来永劫、ジャズを理解することは出来ない、なんてことは決してない、と僕は思っている。

この「Un Poco Loco」3連発は、バドの即興演奏のバリエーションの展開の仕方がよくわかるのと、やはり、ピアノを弾く、というテクニックが並外れている、ということが良く判る、優れもののパフォーマンスである。ただし、即興演奏のバリエーションの展開の仕方、ピアノを弾くテクニックが並外れている、というのは一般の人には大変判りにくい代物である。

このアルバムの存在意義は、やはり「ビ・バップのピアノ・トリオの代表的演奏の良好なサンプルの一つ」をしっかりと記録していることだろう。ビ・バップ・ピアノの祖、バド・パウエルの良好なトリオ演奏のサンプルを確認したければ、この盤を聴けば良い。そういう意味で、この盤は貴重である。しかし、ブルーノートのベスト100の「第9位」という順位については疑問が残る。
 
 

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2025年2月 1日 (土曜日)

ジミー・スミスの「ブルース集」

超一流のジャズマンというのは、やらせてみれば、様々な演奏スタイル、演奏トレンドに適応して、しっかりとした成果を残す、そんなことを、いとも容易くやってのけたりする。演奏スタイル、トレンドに関する適応力、応用力がずば抜けているのだろう。この盤を聴いて、改めてそう思った。

Jimmy Smith『Six Views of the Blues』(写真左)。1958年7月16日の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Cecil Payne (bs), Kenny Burrell (g), Donald Bailey (ds, racks 4–6), Art Blakey (ds, racks 1–3)。アルバムタイトルの日本語訳は「ブルースの6つの見方」。ブルース曲で固めた企画盤。

録音当時は「お蔵入り」。なんと、録音後の41年後、1999年にようやくリリースされた。ジャズ・オルガンのイノベーター、ジャズ・オルガンの神様、ジミー・スミスが、そんなオルガンでブルースだけを演奏している、ブルーノートには珍しい企画盤。バップでアグレッシヴで切れ味の良いダイナミックなスミスのオルガンが、渋いブルースを演奏する。こんなに魅力的な企画盤が他にあっただろうか。
 

Jimmy-smithsix-views-of-the-blues

 
演奏内容として、スミスの「極上のブルージーなオルガン」が素晴らしい。ダイナミックなプレイが身上のスミスが、しっかり抑制を効かせて、まことにブルージーにオルガンを響かせる。スミスの奏でるブルースは極上の響き。さすが、ジャズ・オルガンの神様、バップな弾き回しで、極上のブルースを我々に聴かせてみせる。

バレルのギターが、スミスのブルースを、よりブルージーにする。漆黒ギターの面目躍如。そして、意外と話題に上らないが、ブレイキー&ベイリーの、ブルースに対する効果的にドラミングが実に効いている。セシル・パインのバリトン・サックスがイマイチだが、音色的にスミスとバレルのブルースを前面に押し出し、映えさせている。

こんなに素敵な内容の「スミスのオルガンでブルースだけを演奏する」という企画盤。どうして「お蔵入り」になったのか、今でも理解に苦しむ。パインのバリサクがイマイチだったからか、そもそも、バップでアグレッシヴで切れ味の良いダイナミックなスミスのオルガンが、しっかり抑制を効かせて、まことにブルージーにオルガンを響かせることが「らしくない」と判断したのか。

ジャケもイマイチなんだが、僕はこのジミー・スミスのブルース・オルガン盤、気に入っている。
 
 

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