ムーディーなピーターソンも良し
ジャズ盤を鑑賞する。有名盤や人気の名盤を聴き漁るのも良いが、あまり知られていない、内容充実の「小粋な」ジャズ盤を探して見つけて聴くのも良いものだ。聴いていて、ジャズの「粋」を感じ、ジャズの「心憎い」ところを感じる。そんな「小粋な」ジャズ盤を聴くのも、ジャズ盤鑑賞の醍醐味の一つである。
Oscar Peterson『Pastel Moods』(写真左)。1952年1月26日と1954年4月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Irving Ashby (g), Herb Ellis (g), Ray Brown (b)ギターは2人のギタリストを使い分けていて、1952年1月26日の録音に Irving Ashby (g)、1954年4月27日の録音に Herb Ellis (g)。
超絶技巧、超スインギーなピアニスト、オスカー・ピーターソンのリーダー作。さぞかし、いつもの様にバリバリと超スインギーに弾きまくるんだろうなあ、と思いきや、タイトルとジャケを見ると、これって、ムーディーな雰囲気の内容なのかしらん、と訝しく思う。聴いてみると、あらら、ピーターソンがムーディーな、ラウンジ風のイージーリスニング志向のピアノを弾いているではないか。
このラウンジ風のイージーリスニング志向のピーターソンのピアノが実に良い。もともと、とてつもなくテクニックに秀でたピアニストである。ムーディーにウォームに、しっかりとしたピアノを弾くのもお手のもの。この盤は、ピーターソンのピアニストとしての懐の深さ、引き出しの多さを強く感じる。
ドラムレス、代わりにギターが入る、ピアノ=ベース=ギターのオールド・スタイルのピアノ・トリオ。これが、この「ラウンジ風のイージーリスニング志向のピアノ」をさらに引き立てる。アシュリーもエリスも、これまたムーディーでウォームなギターで、ピーターソンのピアノに彩りを添える。硬質硬派なレイ・ブラウンのベースを、アクセントとアレンジに効果的に活かしている。
まるで、米国ウエストコースト・ジャズを聴く様な、と思いつつ、録音場所を見てみると、なるほど「ロサンゼルス」での録音である。ロスでの録音なので「ラウンジ風のイージーリスニング志向のピアノ」になったのではないだろうが、この盤では、ピーターソンのピアノは、「聴かせる、聴いて楽しむ」ウエストコースト・ジャズ志向のアレンジとプロデュースで、ムーディーでウォームなピアノに変身している。しかし、これもまた「乙なもの」である。
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