ECMニュー・シリーズの一枚
ECMレコードには幾つかの「傍系」シリーズが存在する。その一つが「ECMニュー・シリーズ」。西洋クラシック音楽の作品を収録するために1984年に創設。現代作曲家の作品をメインにリリース。多くのリリースにおいて、ECMのジャズとクラシック音楽への志向が組み合わされている。
Steve Reich Ensemble『Reich: Music for 18 Musicians』(写真左)。1978年の録音。邦題「18人の音楽家のための音楽」。ECMニュー・シリーズにてのリリース。スティーヴ・ライヒが1974年から1976年にかけて作曲したミニマル・ミュージックの作品。演奏者はタイトル通り18名で、18のパートに分かれている。
現代作曲家、スティーヴ・ライヒの作曲。スコア上では演奏時間は約55分。しかし、反復の回数が多ければ1時間を超える。「反復」演奏が基本だが、その「反復」の中で、旋律のパターンの変化、新しい演奏モチーフの開始などは、ヴィブラフォン奏者はの聴覚による合図、第1クラリネット奏者の視覚による合図(キュー)を全プレイヤーに送ることで行われる。
指揮者無しの「アンサンブル」で演奏される。ミニマル・ミュージック(音の動きを最小限に抑え、パターン化した音型を反復させる音楽)の「反復」が基本となっており、旋律のパターンやセクションの交換と変化、フェードアウトの開始、新しい演奏モチーフの開始は、プレイヤーの合図(キュー)によって行われる。
ECMニュー・シリーズの中では「クラシック部門」にあるが、クラシックの様な、完全に譜面通りの演奏ではなく、「反復」の展開は柔軟に行われるので、ある程度の自由度が与えたれた現代音楽で、厳密に言うと「クラシック」とは特性が異なる。
この盤を演奏を聴いていると、1970年代より活躍した、欧州のテクノ・ミュージック、テクノ・ロックのタンジェリン・ドリームやクラフト・ワークの演奏を想起する。タンジェリン・ドリームやクラフト・ワークの演奏展開は、この「ミニマル・ミュージック」を応用していて、そういう観点で、スティーブ・ライヒの現代音楽に通じるものがあると感じる。
このスティーヴ・ライヒの現代音楽の響きは、クラシック音楽の基本の上に成り立ち、進化していて、いかにも「欧州」らしい音に満ちている。キューによる旋律のパターンやセクションの交換と変化は、どこかクロスオーバー・ジャズの即興展開に通じるものがあって、聴いていて実に心地良い。
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