まさに裏『Return To Forever』
Airto Moreira『Free』(写真左)。1972年の作品。クロスオーバー&フュージョン・ジャズの老舗レーベルのCTIにおける、当時、人気のパーカッショニスト、アイアート・モレイラのリーダー作。聴けば判るが、チックの『Return to Forever』の裏版的内容の秀作。曲ごとにパーソネルが変わるので、曲ごとに内容を見ていきたい。
最初の曲は「Return To Forever」。イントロを聴けば、あれこれって、チックの「カモメ」か、と思うんだが、それより、音がちょっと軽め。オリジナルは少し重厚感があって、ちょっとおどろおどろしい雰囲気が漂うが、このモレイラ盤では少し軽快感が漂っていて、爽快な感じがする。曲自体、名曲なんで、このモレイラ盤の演奏もとても良好。
ちなみにパーソネルは、Airto Moreira (perc), Joe Farrell (ss, fl), Chick Corea (p), Stan Clarke, Ron Carter (b), バックにブラス・セクションが付く。
2曲目は「Flora´s Song」。女性ボーカリスト「フローラ・プリム」の作曲なので、てっきり彼女のボーカルがフィーチャーされているのかと思ったら、完全インスト曲でちょっと肩透かし。ギターがシタールの様に響く、エキゾチックでエスニックな演奏に耳を奪われる。
そして、なんとキース・ジャレットがピアノを弾いている。キースのちょっとアブストラクトなモーダルなピアノが出てくると、演奏全体がコンテンポラリーな純ジャズに変身する。
ちなみにパーソネルは、Airto Moreira (perc), Joe Farrell (fl, ss), Hubert Laws (fl), Keith Jarrett (p), Ron Carter (b), Jay Berliner (g)。バックにブラス・セクションが付く。
3曲目「Free」はモレイラの作で、ブラジリアン・ミュージック志向のアーシーなクロスオーバー・ジャズの演奏が実に新しい響きに満ちている。50年以上前の録音だが、古さは全く感じない。
どころか、今の耳に新しいクロスオーバー・ジャズとして響くから面白い。モレイラの多彩で躍動感溢れるパーカションが大々的にフィーチャーされている。ブラジリアン&アフリカンなパーカッションとギターの響きが芳しい。
ちなみにパーソネルは、Airto Moreira (perc), Hubert Laws (fl), Ron Carter (b), Flora Purim (vo)。
4曲目は「Lucky Southern」。作曲は何とキース・ジャレット。出てくるピアノを聴けば、このピアノは確実に「キース」。アーシーでフォーキーなフレーズもこれは明らかに「キース」。2分半ほどの小曲だが、明らかにキースと判るピアノが実に良い。ギターは若き日のジョージ・ベンソンが担当。
ちなみにパーソネルは、Airto Moreira (perc), Joe Farrell (fl, ss), Hubert Laws (fl), Keith Jarrett (p), Ron Carter (b), George Benson (g)。
ラストの「Creek」はモレイラの作。ファレルのソプラノ・サックスが軽妙にモーダルなフレーズを吹き上げていく。この演奏はクロスオーバー・ジャズではなく、完璧にコンテンポラリーなジャズ。パーカッションが効果的に扱われていてい、演奏全体の雰囲気はブラジリアンな純ジャズと言って良いかも、と思う。弾けるパーカッション、情緒豊かなエレピの音。説得力のあるアコースティック・ピアノの調べ。
ちなみにパーソネルは、Airto Moreira (perc), Joe Farrell (ss, fl), Chick Corea (p), Ron Carter (b), Nelson Ayers (p)。
全体を通して、チックの「カモメ」をベースにした「裏カモメ」の様な内容がとても充実した、70年代のクロスオーバーな純ジャズの秀作として良い内容でしょう。
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