アーヴィンの端正で小粋な秀作
小粋なジャズ盤を探索している中で、ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)にぶち当たった。早逝のコルトレーン・スタイルのテキサス・テナー・マンなのだが、かなりしばらくの間、聴いていないのに気がついた。実は当ブログに、アーヴィンのリーダー作をそれなりにアップしていると思い込んでいたが、なんと「カテゴリー」にも、アーヴィンの名前が無かった。あれれ。
Booker Ervin『Structurally Sound』(写真左)。1966年12月14〜16日の録音。ちなみにパーソネルは、Booker Ervin (ts), Charles Tolliver (tp), John Hicks (p), Red Mitchell (b), Lenny McBrowne (ds)。 Pacific Jazzからのリリース。いわゆる米国ウエストコースと・ジャズの範疇でのリリースだが、中身は、端正で聴かせるハードバップ。アーヴィンは1970年、NYで腎臓病のため39歳で亡くなっているが、この盤は、アーヴィンの最後期のリーダー作になる。
アーヴィンのテナー・サックスは、テキサス・テナーをベースとした「コルトレーン・スタイル」。フリージャズ基調のブロウという印象が強いが、意外とオーソドックスなブロウが多い。確かに、モーダルなブロウがメインで、限りなく自由度の高いブロウが得意ではあるが、決して、フリー・ジャズの人では無い。意外と伝統の範囲内で、限りなく自由度を高めつつも、従来のジャズの枠の中に留まるブロウ。
この盤では、そんなアーヴィンのテナーが、一番、オーソドックスなブロウに寄った、端正でスムーズで聴き易いテナーでのパフォーマンスになっている。そして、そんなパフォーマンスに、テキサス・テナー志向な音を付加して、ダンディズム&力感溢れる、ジャジーなテナーに仕上げている。そんな端正で聴かせるテキサス・テナーで、「Dancing in the Dark」「Stolen Moments」「Take the "A" Train」「Shiny Stockings」など、お馴染みのスタンダード曲を吹き上げている。
モーダルなブロウがメイン、限りなく自由度の高いブロウは、短い曲の演奏の中、アドリブの一部に留まっているが、テキサス・テナー・スタイルのちょっと陽気でジャジーな吹奏は、ストレートな音色と相まって、スタンダード曲の中で映えに映える。米国ウエストコースト・ジャズの代表的レーベルでのリーダー作である。小粋なアレンジと聴かせるジャズがメインなので、フリージャズ基調のブロウは全く無い。これはこれで良い。
フロント管の相棒、チャールズ・トリヴァーも好調。色鮮やかで明るい色調のピアノのジョン・ヒックスも好調。堅実実直なレッド・ミッチェルのベースも好調。このリーダー作『Structurally Sound』は、オーソドックスなブロウに寄りに寄ったアーヴィンのテナーを捉えた「小粋な」秀作だと思う。
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