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2024年12月 1日 (日曜日)

マリガン、晩年の傑作の一枚

A&M、CTIレコードの好盤の聴き直しに戻る。A&M、CTIレコードは、クロスオーバー&フュージョンの代表的レーベル。イージーリスニング・ジャズ志向のエレ・ジャズが多く、特に「ソフト&メロウ」な音の味付けがなされたフュージョン盤は、硬派なジャズ者の方々から毛嫌いされている。

が、A&M、CTIレコードのアルバムの中には、なかなか硬派な内容の「コンテンポラリーなジャズ」のアルバムも多々あって、これが意外と聴きものなのだ。

Gerry Mulligan『The Age of Steam』(写真左)。1971年2-7月、Hollywoodでの録音。ちなみにパーソネルは、Gerry Mulligan (bs, ss, p), Tom Scott (ts, ss), Bud Shank (as, fi), Harry "Sweets" Edison (tp), Bob Brookmeyer (v-tb), Howard Roberts (g), Roger Kellaway (p), Chuck Domanico (b), Joe Porcaro, John Guerin (ds), Emil Richards, Joe Porcaro (perc)。

米国ウエストコースト・ジャズの中心人物、バリトン・サックス(略して「バリサク」)の名手、ジェリー・マリガンのCTI盤。CTI盤なので、イージーリスニング・ジャズ志向と思いきや、意外とメインストリームな、純ジャズ志向のエレ・ジャズになっているのに、ちょっとビックリする。
 

Gerry-mulliganthe-age-of-steam

 
ポップスとソフト・ロックとジャズを掛け合わせて、8ビート主体のリズム&ビートで、時にバックにブラス・セクションをつけて、ソウルフルな味付けをしつつ、1950年代の米国ウエストコースト・ジャズを、1970年代のエレ・ジャズに載せ替えた様な「聴かせるクロスオーバーでコンテンポラリーな純ジャズ」がこの盤に記録されている。

収録曲の全てが流麗な、聴き心地の良いメロディーに溢れている。その流麗なメロディーを最大限に活かして、1971年当時、最新の音作り、いわゆる「クロスオーバー・ジャズ」志向でありながら、ジャズロックには走らず、あくまでコンテンポラリーで純ジャズ志向のウエストコースト・ジャズに軸足をしっかり残した、マリガンのアレンジが秀逸。

そんなマリガンの秀逸なアレンジに乗って、1971年時点での、コンテンポラリーな純ジャズが展開される。冒頭のタイトル曲「The Age of Steam」で、すでにその意外と硬派なコンテンポラリー・ジャズが、ウエストコースト・ジャズ風な音の響きを携えて疾走する。マリガンのバリサクが炸裂する。

1970年代は、マリガンにとってはピークを過ぎた、活動後期、マリガンのキャリアの晩年の時代なのだが、この『The Age of Steam』と、もう一枚『Carnegie Hall Concert』(2017年7月13日のブログ参照)を、CTIレコードに残している。

このCTI2枚とも、コンテンポラリーで純ジャズ志向のウエストコースト・ジャズが展開されている、なかなかの内容。ネットでジャズ本でほとんど見ることの無いマリガン盤だが、内容は充実、マリガンの晩年の傑作だと僕は思う。
 
 

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