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2024年12月14日 (土曜日)

恐れず聴いて満足のカーソン盤

全くの希少盤。ネット情報でも、一応、ディスコグラフィーには入っているが、Wikipedia にはその情報は無い。ジャケットも「やっつけ感」満載。リーダーのテッド・カーソン自体、マイナーなトランペッターなのに、これでは、マニア以外は、このライヴ盤に手を出すことは無いと思われる。何を隠そう私も「怖いもの見たさ」ならぬ「怖いもの聴きたさ」に、この盤を入手している(笑)。

Ted Curson『Live at La Tete De L'art』(写真左)。1962年9月15日、カナダのモントルーでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Ted Curson (tp, piccolo-tp), Al Doctor (as), Maury Kaye (p), Charles Biddle (b), Charles Duncan (ds)。長い間、その存在自体があまり知られていなかった、玄人好みの知る人ぞ知るトランペッター、テッド・カーソンのカナダでのライヴ録音。トランペットとアルト・サックスが2管フロントのクインテット編成。

初リーダー作では、モードをベースにした、自由度が高く、独創的で印象深いアドリブ展開で「ポスト・バップ」なトランペットを披露。2作目のリーダー作では「原点回帰」的な、ハードバップからファンキー・ジャズの雰囲気を色濃く反映した、温故知新なトランペットを披露。この3枚目のリーダー作であるカナダでのライヴでは、端正なハードバップとはちょっと異なる、どこかモード風でスピリチュアルなハードバップを展開している。これが意外と興味深い。
 

Ted-cursonlive-at-la-tete-de-lart

 
録音は「中の下」。モコッとした、ちょっとこもった様な音で、音の解像度は良くない。しかし、トランペットのカーソン以外、他のメンバーは知らないジャズマンばかり。だが、演奏そのものはレベルが高い。音の解像度が良くないが、このクインテットの演奏には、ジャジーでファンキーな、不思議なグルーヴ感が漂っている。これが意外とクセになる。リズム隊のリズム&ビートも明快。

カーソンのトランペットは、相変わらず、硬軟自在で縦横無尽、表現力豊か、トーンも美しく、明るく端正で誠実なトランペット。このライヴ盤では、かなり自由に、吹きたい様に、ポジティヴに吹きまくっている。意外と迫力があり、テクニックもある、聴き始めると、ついつい引き込まれてしまう様な、心地よいテンションを張った、もわっとしたモード風のパフォーマンス。

録音が良く無いので、聴き始めは「どうかなあ」と不安になるのだが、聴き続けていくと、ライヴ独特の熱気が伝わってきて、その熱気の中、ジャジーでファンキーな、不思議なグルーヴ感が耳に馴染む。カーソンのトランペットは端正で流麗で素性は確か。そんなカーソンのトランペットのライヴ感を十分に楽しみ、確認することが出来る。ほとんどネットの評論にも登場しない地味盤だが、恐れず聴いて満足の、カーソンの佳作です。
 
 

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