カーラのクリスマス・キャロル
ジャズを本格的に聴き始めて、はや半世紀。ジャズに「Xmasアルバム」があるのを知ったのは、フランク・シナトラの『A Jolly Christmas from Frank Sinatra』の存在を知った時。ポップスの世界でも、ジャズの世界でも「Xmasアルバム」を作ることが「一流の証」だということも同時に知った。
ジャズの「Xmasアルバム」をサーベイしていくと、確かに「一流の証」だな、と思うものばかり。しかし、これは、と見直してしまうくらいの「異色作」もある。こんな人がXmasアルバムを作るの、と思わずびっくりする様なものもある。ジャズの「Xmasアルバム」も様々で、どれもが意外と出来が良い。
Carla Bley, Steve Swallow and the Partyka Brass Quintet『Carla's Christmas Carols』(写真左)。2008年12月の録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Carla Bley (p, celeste), Steve Swallow (b g, chimes), Tobias Weidinger (tp, flh, glockenspiel), Axel Schlosser (tp, flh, chimes), Christine Chapman (horn), Adrian Mears (tb), Ed Partyka (b-tb, tuba)。
ジャズ・コンポーザー&アレンジの鬼才、才媛のカーラ・ブレイ、ニュー・ジャズ志向の先進的ベーシストのスティーヴ・スワロー、そして、パーティカ・ブラス・クインテットとの共演による「Xmasアルバム」。あのジャズ・コンポーザー&アレンジの鬼才、才媛のカーラ・ブレイが、有名Xmasソングをアレンジする。しかも、制作レーベルが「ECM」。ちなみにプロデューサーは、スティーヴ・スワロー。
あのカーラがアレンジするXmasソングである。一捻りも二捻りもして、オーソドックスな音の重なりから、一点、ユニークな音の重なりに転じ、フロントとバックが入れ替わる。カーラのアレンジャーとしての面目躍如。手垢のついた、演奏し尽くされたXmasソングが、新しい響きを持って、新しい曲の様に響く。これぞ「カーラ・マジック」。
この盤の演奏にはパーカッションが無い。厳かで敬虔な響きを宿すXmasソングには、確かに打楽器は必要がないかもしれない。しかし、ジャズにとって大切な要素の一つ「リズム&ビート」はどうするのか。カーラは、自らのピアノ、スワローのベース、ブラス・クインテットの低音部が、交代で「リズム&ビート」担う。これが、厳かで敬虔な響きを宿すXmasソングの旋律を引き立て、演奏全体に厳かなリズム感を供給している。見事である。
そして、この盤の一番の立役者は「the Partyka Brass Quintet」。このブラス・クインテットが、カーラの小粋なアレンジに乗って、変幻自在にフロントに立ったり、バックに回ったり、アンサンブルをしたと思えば、コール・レスポンスをする。魅力的なユニゾン&ハーモニーを奏で、時にリズム・セクションに早変わりする。
とても内容の濃い、完成度の高い、とてもジャズらしい、とてもカーラらしい「Xmasアルバム」である。Xmasソングの美しい旋律は、カーラの手によって、美しく敬虔にデフォルメされ、新しい時代のXmasソングの如く響き渡る。そして、この盤のカーラのアレンジは、いつの季節でも楽しめる、普遍的なカーラの優れたアレンジである。
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