« 西海岸ジャズの女性ボーカル盤 | トップページ | 続 ”ハードバップのジョーヘン” »

2024年12月26日 (木曜日)

”ハードバップのジョーヘン” です

ジャズには、録音した時点では、即アルバム化してリリースされずに「お蔵入り」する音源が多々ある。そして、そんな「お蔵入り」音源が、後年、20〜30年経って、組織的に「発掘」され、リリースされることが、これまた「まま」ある。

そして、この発掘音源はどれもが、発掘のし甲斐のある、興味深い内容を持つものが多いから、絶対に無視できない。

Joe Henderson『Four』(写真)。1968年4月21日の録音。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。邦題は「フォア!~ライヴ・アット・レフト・バンク」。メリーランド州のボルチモアの「レフト・バンク」でのライヴ録音。1994年リリースのヴァーブ・レコードの発掘盤。

ウネウネ・モードの「モードの申し子」ジョー・ヘンダーソン(以降「ジョーヘン」と略)とライヴ音源である。バックのリズム・セクションに、ウィントン・ケリーのピアノ、ポール・チェンバースのベース、ジミー・コブのドラム。ジョーヘンのワンホーン・カルテットである。

ケリー、ポルチェン、コブのリズム隊はハードバップ期の最高のリズム隊の一つ。しかし、このライヴ録音は1968年。モード・ジャズが成熟期の第一段階に差し掛かった頃。こってこてハードバップなリズム隊に、ウネウネ・モードの「モードの申し子」ジョーヘンがワンホーン・フロント。どんなライヴ演奏になるのか興味津々である。
 

Joe-hendersonfour

 
聴くとこれがまあ、無理のない、自然に流れる様なハードバップな演奏が繰り広げられているのだから面白い。ジョーヘンは、モーダルな展開もするにはするが、バックのリズム隊が流れる様に自然なハードバップ志向のリズム&ビートを供給するもんだから、ジョーヘンも自然にハードバップな吹き回しで応酬している。これが実に良い雰囲気なのだから面白い。

ジョーヘンのハードバップな吹き回しについても、1950年代を席巻したハードバップ全盛期のフレーズをなぞったりはしない。モード・ジャズを自家薬籠中のものとした後の、新しい響きのハードバップな吹き回しになっている。これが、この盤のハードバップな演奏を新鮮な印象のものにしている。そこに、時々、ジョーヘン仕様のモーダルな吹き回しが入って、新鮮な印象をさらに印象的なものにしている。

リズム隊については、ケリー、ポルチェン、コブ、それぞれ、なかなか内容の濃い演奏を繰り広げている。とりわけ、ケリーのピアノが絶好調。1968年といえば、ケリーが鬼籍に入る3年前。しかも時代は、モード・ジャズが成熟期の第一段階に差し掛かった頃。

ケリーのハードバップなピアノはもう古い、と思いきや、溌剌とケリー節を弾きまくっている。ケリーのピアノは、健康優良児的なファンキーで明るいタッチ。しかし、その奥に見え隠れするブルージーな哀愁感が堪らないのだが、これが明快にバンバン出てくる。ケリー晩期のベスト・プレイかもしれない。

1968年4月のライヴ録音ながら、リリースは1994年。典型的な発掘音源であるが、この優れた興味深い内容は、発掘のし甲斐のある「発掘音源」だったと思う。こういう発掘音源はウエルカム。ハードバップのジョーヘン、意外と聴き応えがある。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4 

« 西海岸ジャズの女性ボーカル盤 | トップページ | 続 ”ハードバップのジョーヘン” »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 西海岸ジャズの女性ボーカル盤 | トップページ | 続 ”ハードバップのジョーヘン” »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー