ウエストサイド物語の良カヴァー
アンドレ・プレヴィンは、作曲家、編曲家、映画音楽、ジャズ・ピアニスト、クラシック・ピアニスト、指揮者。どちらかと言えば、クラシックに軸足がある。2019年2月に惜しくも89歳で逝去。我が国への関わりは、2009年から3年間、NHK交響楽団の首席客演指揮者として活躍。そんなクラシックな演奏家が、こんな洒落た小粋なハードバップ・ジャズをピアノ・トリオでやるなんて。彼の経歴をライナーノーツで読んだ時、とにかく驚いたことを覚えている。
「二足の草鞋を履く男」。アンドレ・プレヴィンは、クラシック・ピアニストであり、ジャズ・ピアニストでもある。そして、どちらのパフォーマンスも一流のレベルで、こんな音楽家はそうそういない。ここでは、ジャズ・ピアニストのアンドレ・プレヴィンにフォーカスを当てる。プレヴィンは、米国ウエストコースト・ジャズを代表するピアニストでもあるのだ。
André Previn『West Side Story』(写真左)。1959年8月24–25日の録音。ちなみにパーソネルは、André Previn & His Pals = André Previn (p), Red Mitchell (b), Shelly Manne (ds)。アンドレ・プレヴィンのピアノがメインのピアノ・トリオ編成。ベースに名手レッド・ミッチェル、ドラムに名手シェリー・マンが担当している。米国ウエストコースト・ジャズの最強のリズム隊である。
タイトル通り、レナード・バーンスタインのミュージカル「ウエストサイド物語」のオリジナルスコアから8曲を選び、ジャズ風にアレンジしている。これがまあ、なんと絶品。「ウエストサイド物語」のジャズ・ピアノ・トリオによるカヴァーは、オスカー・ピーターソンのものが有名だが、そのピーターソンのカヴァーよりも、このプレヴィンの方が内容が濃い。
プレヴィンのピアノは、強烈なドライブ感が身上なのだが、クラシック出身が故、ファンクネスは希薄。しかし、ジャジーなオフビート、ジャジーなコード進行はしっかりと存在する。タッチは切れ味よく硬質、速いフレーズも難なく破綻なく弾きこなす。
ピーターソンとプレヴィンの違いは「ファンクネス」の濃淡とオフビートの強弱。ピーターソンのピアノは、ファンクネス濃厚、オフビートが強烈。その他の特徴はプレヴィンと同じなんだが、この「ファンクネス濃厚、オフビートが強烈」なところが、ミュージカル曲の様な流麗な旋律を持つ楽曲のカヴァーについては邪魔になる。流麗な旋律の「流麗さ」が、濃厚なファンクネスと強烈なオフビートに掻き消されてしまうのだ。
その点、プレヴィンのピアノは「ファンクネスは希薄、オフビートはしっかりジャジー」なので、ミュージカル曲の様な流麗な旋律を持つ楽曲のカヴァーに向いている。この「ウエストサイド物語」のプレヴィン盤を聴くとそれがよく判る。流麗な旋律を持つ「ウエストサイド物語」の挿入曲達のフレーズが、キラキラと輝くように耳に入ってくる。
そして、そんなプレヴィンのピアノを、名手レッド・ミッチェルのベース、名手シェリー・マンのドラムがガッチリ支える。これがまあ、素晴らしいベース&ドラムなのだ。ベースはブンブン胴鳴りし、弦はブンブン鋼の響き。ドラムは切れ味良く、弾ける様なパーカッシヴな打音。
しかも、さらに素晴らしいのは、この名手のベース&ドラムが、プレヴィンのピアノの邪魔に全くなっていない。逆に、プレヴィンのピアノが前面に浮かび上がってくるよう。米国ウエストコースト・ジャズのファースト・コールなベーシスト&ドラマー、恐るべしである。
「ウエストサイド物語」のジャズによるカヴァーとして、加えて、米国ウエストコースト・ジャズのピアノ・トリオとして、純粋に楽しめる名盤だと思います。プレヴィンのピアノ、ほんと、長年のお気に入りなんですよね〜。他のアルバムも聴き直したくなりました。
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