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2024年11月19日 (火曜日)

好盤・八木のぶお ”Mi Mi Africa”

日本のクロスオーバー&フュージョン・ジャズは、米国や欧州とは異なる独自の深化を遂げてきた様に思う。まず、ファンクネスは皆無、もしくは、我が国独自の乾いた爽やかなファンクネス。演奏テクニックは高度。R&B志向、ソウル志向はほとんど無く、ジャズとロックとのクロスオーバー、ジャズとAORとのクロスオーバーがメイン。そこに、ソフト&メロウ&スムースが添加されると「和フュージョン」。

八木のぶお『Mi Mi Africa』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、八木のぶお (harmonica), 村上ポンタ秀一 (ds), 高橋ゲタ夫 (b), 安川ひろし (g), 倉田 信雄, 小笠原 寛 (key), ペッカー (perc), Rockwell Allstars (cho)。我が国を代表するハーモニカ奏者「八木のぶお」の初リーダー作。

よく見れば、兵士が肩から掛けているベルトリンクには弾薬ではなく、タイプの異なるハープ各種。そんなジャケットを見たら、何を狙ったクロスオーバー・ジャズなのか、皆目、見当がつかない。タイトルを見れば、いわゆるアフロ志向のクロスオーバー・ジャズなのかな、と思う。アフロ志向のクロスオーバー・ジャズといえば、渡辺貞夫『Kenya Ya Africa』を想起する。あの頃の渡辺貞夫は、アフリカ音楽志向だったなあ、とぼんやり思ったりする。

さて、この盤、ネットでの紹介キャッチが「母なる大地アフリカをテーマにミュージシャンそれぞれが想うアフリカを表現した企画盤」とあるように、確かに、基本、アフロ志向のクロスオーバー・ジャズの好盤である。
 

Mi-mi-africa

 
出だしは、アフリカンなグルーヴ溢れるパーカッションが出てきて、「いかにも」って感じになるのだが、すぐに、和ジャズ独特の乾いた爽やかなファンクネスと、現代のアフリカのイメージなのか、どこかアーバンな洗練されたグルーヴに乗ったリズム&ビートに変わって、それをバックに、八木のハーモニカが入ってくる。演奏全体のイメージは、やはり「アフロ志向のクロスオーバー・ジャズ」。

この冒頭のタイトル曲「Mi Mi Africa」のアフロな躍動感溢れるリズム&ビートが、アルバム全体の音志向を決定つけている。全編に渡って、情熱的な八木のハーモニカが秀逸。印象的なベースのイントロから入る、メロウ・グルーヴの「愛のテーマ」などは「アフロ志向のフュージョン」と言った趣き。

村上ポンタ秀一 (ds), 高橋ゲタ夫 (b), ペッカー (perc) からなるリズム隊が効いている。よくよく聴き耳を立てると、アフロなリズムだけでなく、ラテンのリズム、サンバのリズムが織り交ぜられている。これが、このアルバムの音世界が、どっぷり、ありがちな「アフロなクロスオーバー」に浸りきることを押し留め、あくまで、フラットな和製クロスオーバー&フュージョンのパフォーマンスに仕立て上げている。

アフロは演奏への「色づけ」にとどめ、芯は「フラットな和製クロスオーバー&フュージョン」。こんな、内容の濃い、洒落たクロスオーバー&フュージョン盤が、1979年にリリースされていたとは改めて驚く。日本のクロスオーバー&フュージョン・ジャズは全く隅におけない。
 
 

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