好盤・八木のぶお ”Mi Mi Africa”
日本のクロスオーバー&フュージョン・ジャズは、米国や欧州とは異なる独自の深化を遂げてきた様に思う。まず、ファンクネスは皆無、もしくは、我が国独自の乾いた爽やかなファンクネス。演奏テクニックは高度。R&B志向、ソウル志向はほとんど無く、ジャズとロックとのクロスオーバー、ジャズとAORとのクロスオーバーがメイン。そこに、ソフト&メロウ&スムースが添加されると「和フュージョン」。
八木のぶお『Mi Mi Africa』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、八木のぶお (harmonica), 村上ポンタ秀一 (ds), 高橋ゲタ夫 (b), 安川ひろし (g), 倉田 信雄, 小笠原 寛 (key), ペッカー (perc), Rockwell Allstars (cho)。我が国を代表するハーモニカ奏者「八木のぶお」の初リーダー作。
よく見れば、兵士が肩から掛けているベルトリンクには弾薬ではなく、タイプの異なるハープ各種。そんなジャケットを見たら、何を狙ったクロスオーバー・ジャズなのか、皆目、見当がつかない。タイトルを見れば、いわゆるアフロ志向のクロスオーバー・ジャズなのかな、と思う。アフロ志向のクロスオーバー・ジャズといえば、渡辺貞夫『Kenya Ya Africa』を想起する。あの頃の渡辺貞夫は、アフリカ音楽志向だったなあ、とぼんやり思ったりする。
さて、この盤、ネットでの紹介キャッチが「母なる大地アフリカをテーマにミュージシャンそれぞれが想うアフリカを表現した企画盤」とあるように、確かに、基本、アフロ志向のクロスオーバー・ジャズの好盤である。
出だしは、アフリカンなグルーヴ溢れるパーカッションが出てきて、「いかにも」って感じになるのだが、すぐに、和ジャズ独特の乾いた爽やかなファンクネスと、現代のアフリカのイメージなのか、どこかアーバンな洗練されたグルーヴに乗ったリズム&ビートに変わって、それをバックに、八木のハーモニカが入ってくる。演奏全体のイメージは、やはり「アフロ志向のクロスオーバー・ジャズ」。
この冒頭のタイトル曲「Mi Mi Africa」のアフロな躍動感溢れるリズム&ビートが、アルバム全体の音志向を決定つけている。全編に渡って、情熱的な八木のハーモニカが秀逸。印象的なベースのイントロから入る、メロウ・グルーヴの「愛のテーマ」などは「アフロ志向のフュージョン」と言った趣き。
村上ポンタ秀一 (ds), 高橋ゲタ夫 (b), ペッカー (perc) からなるリズム隊が効いている。よくよく聴き耳を立てると、アフロなリズムだけでなく、ラテンのリズム、サンバのリズムが織り交ぜられている。これが、このアルバムの音世界が、どっぷり、ありがちな「アフロなクロスオーバー」に浸りきることを押し留め、あくまで、フラットな和製クロスオーバー&フュージョンのパフォーマンスに仕立て上げている。
アフロは演奏への「色づけ」にとどめ、芯は「フラットな和製クロスオーバー&フュージョン」。こんな、内容の濃い、洒落たクロスオーバー&フュージョン盤が、1979年にリリースされていたとは改めて驚く。日本のクロスオーバー&フュージョン・ジャズは全く隅におけない。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2024.08.24 更新
・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。
・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
記事をアップ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から13年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« ジャズ・ベース2本のデュオ名盤 | トップページ | グリーン後期の名盤『Visions』 »



コメント