お蔵入りに「成熟」を聴くJM
ショーターが、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ(以降、JMと略)の「新・音楽監督」として残したショーター流モード・ジャズは、モーガンのトラペット、ショーターのテナーの「2管フロント」時代と、トロンボーンのフラーを追加した「3管フロント」時代と、2つの時代に分けることが出来る。今回は「2管フロント」時代のお蔵入り盤のレビューである。
Art Blakey and The Jazz Messengers『The Witch Doctor』(写真左)。1961年3月14日の録音。1967年のリリース。ブルーノートの4258番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp, flh), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。モーガンのトラペット、ショーターのテナーが2管フロントのクインテット編成。
この1961年3月14日のセッションは、録音後、丸々、お蔵入りになっている。もともと1961年のJMはブルーノートを中心にかなりの量の録音を残している。お蔵入りになったのは、あまりの乱発になるのを防ぐ為だったのだろう。しかし、内容は一級品揃いで充実しているものばかり。お蔵入りにしっぱなしでは惜しいので、徐々に蔵出しイシューしていった。その一枚がこの盤である。
まだ3管フロントになる直前(約3ヶ月後に3管フロントになる)、2管フロントのショーター流モード・ジャズなJMである。内容はかなり充実していて、一言で言うと「2管フロントのショーター流モード・ジャズ」の成熟を聴くことが出来る好盤である。スタジオ録音後、即アルバム化された『A Night in Tunisia』が、1960年8月の録音なので、それより、7ヶ月も後なので、『A Night in Tunisia』と比較すると、やはり、「2管フロントのショーター流モード・ジャズ」は更に成熟度を増している。
特に、新・音楽監督でもあるショーターのテナーの迫力が凄い。分厚い切れ味の良いラウドな音で、本家本元のショーター流モード・ジャズのモーダル・フレーズを吹きまくっている。このショーターのテナーの吹きまくりが凄い。ショーターのテナーは意外に冷静沈着な風情のモーダル・ブロウが印象的なんだが、この盤ではエネルギッシュでバイタルでモーダルな吹きまくりが凄い。
ショーター流モード・ジャズに完全適応しているモーガンのトランペットももちろん素晴らしいパフォーマンスなのだが、それを凌駕するショーターのテナーがグイグイ前へ出てくる。クインテットのグループ・サウンズという面では、ちょっとショーターが前面に出過ぎたきらいがあるので、それがお蔵入りになった理由かもしれない。
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