ECM流クロスオーバーの名盤
レコード・コレクターズ 2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが気に入って、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きしている。今回のアルバムは、実は初めて聴く「初聴き」盤である。
Barre Phillips『Three Day Moon』(写真左)。1978年3月の録音。ECM 1123番。ちなみにパーソネルは、Barre Phillips (b), Terje Rypdal (g, g-syn), Dieter Feichtner (syn), Trilok Gurtu (tabla, perc)。米国のジャズベーシスト、バレ・フィリップスがECMに録音した、ECM+JAPOで、通算4枚目のリーダー・アルバム。
このアルバムの印象はズバリ「プログレッシヴ・ロック(プログレ)とモード+フリー+スピリチュアル・ジャズとの融合」。リズム&ビートがはっきりしている演奏部分は「プログレ」。ボ〜っと聴いていたら「あれ、このプログレ、誰だっけ」と思ってしまうほど、プログレの要素が入っている。タブラの音が効果的、バイオリンの音の様なギター・シンセが、プログレ的な雰囲気を増幅する。
リズム&ビートの供給が途絶えた途端、今度は、フリー・ジャズ志向、スピリチュアル・ジャズ志向に展開する。この展開は、ギターを担当するテリエ・リピダルの真骨頂で、リピダルのエレギ、ギター・シンセは、縦横無尽、変幻自在に浮遊し、突進し、拡散する。パーカッションのフリーな打ち込みがスピリチュアルな雰囲気を増幅する。
そして、フィリップスのベース音がフリーでスピリチュアルな展開を規律あるものに仕立て上げているのは立派だ。プログレ的な展開も、フリーでスピリチュアルな展開も、チェンジ・オブ・ペースを促したり、ブレイクを誘ったり、調性と無調のチェンジを指し示したり、さすがリーダー、フィリップスのベースが要所要所で「いい仕事」をしている。
タイトルが「Three Day Moon」=三日月。なんかどこか、ピンク・フロイドの名盤「Dark Side of The Moon」を想起したりして、これって、ECMレコード流のクロスオーバー・ジャズなのかしら、と直感的に感じてしまう。昔々、プログレ小僧だった僕としては、この盤の内容は全く違和感なく聴くことが出来ました。ECM流クロスオーバーの名盤だと思います。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2024.08.24 更新
・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。
・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
記事をアップ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から13年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« ラヴァの『Quotation Marks』 | トップページ | ”暗黒時代の音” では無いですね »
コメント