ブラウニーのジャム・セッション
ブラウン~ローチ・クインテットの始動後、『Clifford Brown & Max Roach』と『Brown and Roach Incorporated』の直後、同一日、同一メンバーでのジャム・セッションの『Clifford Brown All Stars』と『Best Coast Jazz』は、ブラウニー(クリフォード・ブラウンの愛称)にとって、1954年8月のロスでの、怒涛の「名演の録音月間」の成果であった。
Clifford Brown『Jam Session』(写真)。1954年8月14日、ロスでのライヴ録音。1954年のリリース。ちなみにパーソネルは、Clifford Brown, Maynard Ferguson, Clark Terry (tp), Herb Geller (as, tracks 1, 3 & 4), Harold Land (ts), Junior Mance (p, tracks 1, 3 & 4), Richie Powell (p, track 2), Keter Betts, George Morrow (b), Max Roach (ds), Dinah Washington (vo, track 2) 。
ブラウニーの短い活動期間の中、この怒涛の「名演の録音月間」である1954年8月。『Best Coast Jazz』は、名演の録音月間」でのライヴ録音である。演奏形式は、トランペット3管、アルト・サックス1管、テナー・サックス1管、そして、ピアノ・トリオのリズム隊。ゲストに1曲だけ、女性ボーカルが入る「ジャム・セッション」形式。
ブラウニーはジャム・セッションに強い。相当なテクニックと音の大きさで相手を圧倒しようとするのでは無く、相手の音をしっかり聴きつつ、相手の音に呼応し、相手の優れたパフォーマンスを引き出す様な、リードする様なパフォーマンスを繰り広げる。
よって、ブラウニーとジャム・セッションに勤しむフロント管は、皆、活き活きと優れたパフォーマンスを披露する。そんなブラウニーのジャム・セッションの「流儀」が脈々と感じ取れる、内容の濃いジャム・セッションの記録である。ちなみに、このライヴ盤の音源は、Dinah Washington『Dinah Jams』と、同一日、同一メンバーでのライヴ・セッション。
この盤では、ブラウニーのトランペットが絶好調なのはもちろん、トランペットのファーガソン、クラーク、そして、アルト・サックスのゲラー、テナー・サックスのランド、皆、ブラウニーの素晴らしいパフォーマンスに引きずられて、素晴らしいパフォーマンスを繰り広げている。
そして、このジャム・セッションは、米国ウエストコースと・ジャズのメンバーがメインでのジャム・セッションで、東海岸と比べると、どこかアレンジが整っていて、アドリブ展開のブロウ爽快感抜群なのが特徴。そんなどこか爽快なジャム・セッションの中で、ブラウニーは自由闊達にトランペットを吹きまくる。
ダイナ・ワシントンがボーカルを取る2曲目のスローバラード「Darn That Dream」も絶品。このライヴ盤は、ウエストコースト・ジャズ全盛期の、優れたジャム・セッションの記録。しかし、よくライヴ録音をし、よくアルバム・リリースしましたね。エマーシー・レコードのお手柄です。
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