バップ・ギタリストなベンソン
マイルス・デイヴィスに見出され、ウェス・モンゴメリーの後継として頭角を表した「バップ・ギタリスト」のジョージ・ベンソン。クロスオーバー&フュージョン・ブームの折には、余芸だったボーカルを前面に押し出し、「唄って弾きまくるフュージョン・ギタリスト」として一世を風靡した。
1980年代以降、現在まで「超一流のギターの巧いブラコン志向のボーカリスト」として、ボーカリストをメインに活動を継続。今では、ベンソンが、ウエス・モンゴメリー直系のバリバリのバップ・ギタリストだったことは、ほぼ忘れ去られた状態になっている。
George Benson『Love for Sale』(写真左)。1973年4月29日、ニュージャージー州プレインフィールドのカーサ・カリブでライヴ録音。ちなみにパーソネルは、George Benson (g), Mickey Turner (p), George Duvivier (b), Al Harewood (ds)。ベンソンのギターがメインのカルテット編成。ベンソンは、この時点では「唄っていない」。
この『Love for Sale』とタイトルされたベンソン盤は、ネット上で幾種類もリリースされているらしいが、僕の聴いている盤は以下の収録曲全7曲のバージョン。
1. Witchcraft (Carolyn Leigh, Cy Coleman)
2. Blue Bossa (Kenny Dorham)
3. All Blues (Miles Davis)
4. Invitation (Bronsislaw Kaper, Paul Francis Webster)
5. Love Walked In (George Gershwin)
6. Love for Sale (Cole Porter)
7. Oleo (Sonny Rollins)
ジョージ・ベンソンは当時 CTI と契約していた為、ブートとしてしかリリースされていなかった音源が、正式盤扱いでリリースされていたのに気がついた。
このライヴ盤では、若き日のウエス・モンゴメリー直系のバリバリの超一流バップ・ギタリストのジョージ・ベンソンの凄まじいパフォーマンスが記録されている。
ストレート・アヘッドな演奏で展開する有名スタンダード曲の数々。それぞれの曲で、ベンソンは長尺のソロをふんだんに聴かせてくれる。
高速弾き回しからオクターヴ奏法まで、ウエス・モンゴメリー直系のエモーショナルで切れ味の良い、バリバリのロング・ソロは圧巻である。超一流ギタリストとしてのベンソンを再認識する。
バックのターカー=デュヴィヴィエ=ヘアウッド、のリズム・セクションの演奏も、切れ味よくポジティヴな「攻めの演奏」も良い。記録通りだと、録音は1973年。ジャズの斜陽時代、クロスオーバー・ジャズ全盛の時代に、こんなに硬派でダイナミックなハードバップ演奏が行われていたとは、ちょっとビックリである。
ベンソンの出身は「ギタリスト」。そんな基本的なことを思い出させてくれる、1973年のライヴ録音。おそらく、ベンソンは、今でもこれくらいのパフォーマンスは出せると思うんだけどなあ。
これから時々は、こういった、ストレート・アヘッドなウエス・モンゴメリー直系のバリバリのバップ・ギターだけを弾き回した盤を聴かせて欲しい、と切に思う。
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