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2024年8月 7日 (水曜日)

ビル・オコンネルの初ライヴ盤

ビル・オコンネルは、1953年8月、NY生まれのジャズピアニスト。ラテン・ジャズやハードバップとの関わりが最も深い。教育者でもあり、ニュージャージー州ラトガース大学ニューブランズウィックキャンパスのメイソングロス芸術学校でジャズピアノを教えている。リーダー作については寡作。1970年代に1枚、1980年代に1枚、1990年代に3枚。21世紀に入ってからは、2015年以降、やや頻繁に、1〜2年に1枚に割合でリーダー作を出している。

Bill O’Connell Quartet & Quintet『Live in Montauk』(写真左)。2021年8月15日、NYモントークの「Gosman's Dock」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bill O’Connell (p), Craig Handy (ts), Santi Debriano (b), Billy Hart (ds), スペシャル・ゲストとして、Randy Brecker (tp、tracks 1 & 7)。オコンネルの長い活動期間の中で、初めてのバンド・ライヴ盤。

ハンプトンズ・ジャズ・フェストでのセッションがライヴ音源として収録されている。リーダーのオコンネルのピアノ、テナー・サックス担当のクレイグ・ハンディ、ベーシストのサンティ・デブリアーノ、ドラムのビリー・ハートがメインとなるカルテット編成。1曲目の「Do Nothing till You Hear from Me」と、7曲目の「Tip Toes」だけ、ファンキー・トランペットのレジェンド、ランディ・ブレッカーが客演している。
 

Bill-oconnell-quartet-quintetlive-in-mon

 
スタイルを塗り替えたり、何か、ジャズのライヴの歴史になるような「派手な何か」があるライヴ盤ではないのだが、端正で切れ味の良いネオ・ハードバップな演奏が魅力。硬派な4ビート曲あり、ゆったりしたファンキー・ジャズな演奏あり、バンドの実力の高さが窺い知れる。躍動感もあり、スピード感も十分、整った内容のネオ・ハードバップな演奏が心地良い。

オコンネルのピアノは「総合力勝負」のピアノ。端正で適度にファンキー、破綻無くタッチは深く、少し速めのフレーズで指がよく回る。他にありそうでない、ネオ・バップな、オコンネル独特の弾き回し。ファンキー&ラテンなフレーズが魅力のオコンネルのピアノはなかなか聴き心地が良い。リーダー作は寡作のピアニストではあるが、オコンネルのピアノは一級品。聴き応え十分である。

テナーのハンディ、ゲスト・トランペットのランディのフロント2管は、躍動感溢れる、バップな吹き回しが見事。リズム隊のデブリアーノのベース、ハートのドラムも堅実で柔軟。オコンネルのピアノは、そんなフロントとリズム隊をサポートし鼓舞、ソロのフレーズは「総合力勝負」なピアノで、硬派にファンキーに、余裕の響きで弾き回す。良いネオ・ハードバップなライヴ盤。意外とヘビロテ盤。朝に昼に夜に、どんなシチュエーションにもマッチする万能なネオ・ハードバップ盤。好盤です。
 
 




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