夏はボサノバ・ジャズ・その34
ボサノバ・ジャズの「歌姫」は、アストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)。アストラッドは、1940年3月生まれ。つい昨年、2023年6月に83歳で亡くなった。1959年にジョアン・ジルベルトと結婚、ブラジル国内での情勢不安、軍事政権による圧力などもあって、1963年にアメリカ合衆国に移住。
アルバム『ゲッツ/ジルベルト』に参加し、アストラッドの囁く様な、気怠くアンニュイなボーカルで唄う「イパネマの娘」はヒットし、グラミー賞の最優秀レコード賞と最優秀女性ボーカル賞ノミネートを獲得している。1964年にジョアン・ジルベルトと別居、1965年に『The Astrud Gilberto Album』でソロ・デビュー。以降、米国での「ボサノバ歌手」としての地位を確立している。
『The Astrud Gilberto Album』。1965年の作品。ちなみにパーソネルは、Astrud Gilberto (vo), Antônio Carlos Jobim (g, vo), Joe Mondragon (b), Bud Shank (as, fl), João Donato (p), Stu Williamson (tp), Milt Bernhart (tb), with Guildhall String Ensemble。ボサノバ分野と米西海岸のジャズマンがメインの編成。西海岸ジャズの優れた編曲者、マーティ・ぺイチによるアレンジ。
ストリングス・アンサンブルの入った、ドラムレスのボサノバ・ジャズ向けのバックバンド。そんなイージーリスニング志向のボサノバ・ジャズ向けアレンジをバックに、アストラッドが唄う。このバックバンドの編成とアレンジが、アストラッドの囁く様な、気怠くアンニュイなボーカルにバッチリ合っていて、アストラッドのボーカルが映えに映える。
アルバムの内容としては、ジョビンなどのボサノバ系ミュージシャンの伴奏が効いていて、英語の歌詞ではあるが、本格的なボサノバ曲集になっている。もちろん、バックのリズム&ビートは「ジャズ」志向で、本格的なボサノバ演奏では無い。あくまで、ボサノバ・ジャズの範疇での優秀盤である。実際聴いてみると判るが、本格的なボサノバは、リズム&ビートがもっと「ボサノバ独特」なものになっている。
癒し系のボサノバ・ジャズ・ボーカル盤。これがジャズか、と訝しく思われるジャズ者の方々もおられるだろう。が、フュージョンやスムースが「ジャズ」として成立していること、そして、この盤のバックバンドのリズム&ビートは「ジャズ」であること。そういう観点から、このアストラッドの初ソロ・アルバムは「ボサノバ・ジャズ」の範疇と解釈して差し支えないだろう。
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