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2024年8月21日 (水曜日)

ボサノバ&サンバ・ジャズの好盤

セルジオ・メンデス(Sergio Mendes)。1941年2月、ブラジル生まれのピアニスト、今年で83歳。作曲家、編曲家、バンドマスター。ボサノバを語る上で、欠かせないレジェンド。

1950年代後半にはジャズで活躍、そしてアントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトの影響を受け、ボサノバに転身。ブラジル国内外でボサノバを演奏。1960年代の世界的なボサノバ・ブームの牽引役となった。

Sergio Mendes『The Swinger From Rio』(写真左)。1964年12月7–9日の録音。ちなみにパーソネルは、Sérgio Mendes (p), Art Farmer (flh), Phil Woods (as), Hubert Laws (fl), Antônio Carlos Jobim (g), Tiao Neto (b), Chico de Souza (ds)。米国ジャズのメンバーと、ブラジル・ミュージックのメンバーの混成編成。

米国ジャズから、アート・ファーマー、フィル・ウッズ、ヒューバート・ロウズが参加。メンデスのピアノ、ジョビンのギターを含めたリズム・セクションはブラジリアン・ミュージックからの参加。セルジオ・メンデス初期のボサノバ&サンバ・ジャズの名盤である。

セルジオ・メンデスは、1950年代はジャズ畑で活躍していたので、ジャズについては造詣が深い。そこに、ジョビンやジルベルトのボサノバ・ミュージックとの邂逅があって、メンデスは、ブラジル側からの、ボサノバ&サンバ・ジャズの担い手となった。
 

Sergio-mendesthe-swinger-from-rio

 
この『The Swinger From Rio』を聴いていて、ボサノバのリズム&ビート、フレーズをしっかりと踏まえながら、演奏全体の志向は「ジャズ」。メンデスのピアノだって、バップなピアノでボサノバ&サンバのフレーズを上手く弾いている。

メンデスのピアノは、ブラジル側からの米国ジャズに向けてのジャズ・ピアノなので、ボサノバ&サンバのリズム&ビートを踏まえて、ボサノバ&サンバなフレーズをジャジーに弾き進めるのに違和感がない。ボサノバ&サンバのリズム&ビート、フレーズをしっかりと踏まえながら、正統派でバップでジャジーな演奏を繰り広げている。

米国ジャズからの参加、アート・ファーマーのトランペット、フィル・ウッズのアルト・サックス、ヒューバート・ロウズのフルートが、あくまで米国ジャズ基調で、ボサノバ&サンバのフレーズを吹きまくる。これが、この盤の「ジャズ」の要素をより色濃いものにしている。

逆に、ブラジル・ミュージックからの参加、メンデスのピアノ、ジョビンのギターを含めたリズム・セクションのリズム&ビートの底に、ボサノバ&サンバの本場のニュアンスがしっかり横たわっていて、米国ジャズがやるボサノバ&サンバのリズム&ビートよりもブラジル色が濃い。この「濃さ」が、この盤を「ボサノバ&サンバを基調とした純ジャズ」に帰結させている。

米国ジャズとブラジリアン・ミュージックとの素敵な融合。ブラジル側から見た「ボサノバ&サンバ・ジャズ」がこの盤にある。ブラジリアンでありながらジャジー。そんな融合の音志向が、この盤の最大の個性である。
 
 

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