夏はボサノバ・ジャズ・その35
夏はボサノバ・ジャズが良い。特に今年の様な猛暑日の連続だと、まず「熱いジャズ」は絶対に避けたい。フリーやスピリチュアルな「激しいジャズ」も避けたい。そうすると、ほとんどの純ジャズ、メインストリーム系ジャズは避けたくなる。そこで活躍するのが「ボサノバ・ジャズ」。
Astrud Gilberto『Shadow Of Your Smile』(写真左)。邦題『いそしぎ』。1964年10月から、1965年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Astrud Gilberto (vo), Joao Donato, Claus Ogerman, Don Sebesky (arr) with Jazz Orchestra。
「ボサノバの歌姫」アストラッド・ジルベルトが、ジョアン・ドナート、クラウス・オガーマン、ドン・セベスキーの名編曲家たちの素晴らしいアレンジとジャズオケをバックに唄い上げた、セカンド・リーダー作。
収録された曲は、有名なジャズ・スタンダード曲とボサノバ曲。アストラッドの囁く様な、気怠くアンニュイなボーカルで唄うジャズ・スタンダード曲は、それまでに無い、独特の魅力を振り撒く。ボサノバ曲は言うまでも無い。アストラッドのボーカルの個性全開の秀作である。
リズム&ビートが全ての曲において、ボサノバ・ジャズのリズム&ビートを踏襲していて、演奏の基本は「ジャズ」。しかし、演奏全体の雰囲気は「ボサノバ」。切れ味の良い、爽快なボサノバ・ジャズのリズム&ビートがしっかりと効いていて、アストラッドの囁く様な、気怠くアンニュイなボーカルとの対比が「粋」。
しかも、このボサノバ・ジャズのリズム&ビートの全面採用によって、選曲が有名なジャズ・スタンダード曲とボサノバ曲の混合でありながら、アルバム全体に統一感がある。
アストラッドの囁く様な、気怠くアンニュイなボーカルを際立たせるのに、ボサノバ・ジャズ基調のアレンジが良い。ドナート、オガーマン、セベスキーのアレンジ、三者三様のアレンジではあるが、共通しているのは、アストラッドのボーカルの個性を際立たせること。アストラッドの個性を際立たせるボサノバ・ジャズなアレンジが実に見事。
冒頭の「The Shadow of Your Smile」や、4曲目の「Fly Me to the Moon」の様な有名スタンダード曲における「ボサノバ・ジャズなアレンジ」が素晴らしい。間に、ボサノバ曲「Manhã de Carnaval」が入ってきても、全く違和感を感じない。この盤は、アストラッドの個性を際立たせる、ボサノバ・ジャズ基調のアレンジの勝利である。
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