« 夏はボサノバ・ジャズ・その36 | トップページ | ボサノバ&サンバ・ジャズの好盤 »

2024年8月20日 (火曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その37

ボサノバ・ジャズとは、ボサノバの要素を取り込んだ「ジャズ」。リズム&ビートはボサノバのリズム&ビートをジャジーに仕立て直した「ボサノバ・ジャズ」のリズム&ビート。旋律はボサノバの旋律をそのまま取り込み、即興演奏は、ボサノバの持つ個性的なコード進行を取り込んで、ボサノバの響きを宿したアドリブ展開を繰り広げる。

ボサノバ・ジャズは「ジャズ」で、ボサノバでは無い。正統なボサノバを聴きたければ、ボサノバ・ミュージックの名盤を聴くことをお勧めする。

Lee Konitz & The Brazilian Band『Brazilian Serenade』(写真左)。1996年3月、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Lee Konitz (as), Tom Harrell (tp), Romero Lubambo (g), David Kikoski (p), David Finck (b), Duduka Dafonseca (ds), Waltinho Anastacio (perc)。

リーダーはアルト・サックスの即興演奏の求道者、リー・コニッツと、現代のバップなトランペッター、トム・ハレルがフロント2管、ボサノバに欠かせないアコギ、そして、キコスキーのピアノがメインのトリオがバックに控える、7人編成でのセッション。

1曲目「Favela」、2曲目「Once I Loved」、5曲目「Dindi」、6曲目「Wave」、7曲目「Meditation」が、アントニオ・カルロス・ジョビン作のブラジリアン・ミュージックの名曲。3曲目に、ボサノバ・ジャズの名曲「Recado Bossa Nova」。残り2曲、4曲目「September」はハレル作、、8曲目の「Brazilian Serenade」はコニッツ作。
 

Lee-konitz-the-brazilian-bandbrazilian-s

 
ジョビンの名曲、ボサノバ・ジャズの名曲、録音メンバーの自作曲、それぞれ、なかなか小粋な曲をしっかりと選んでいる。そして、それぞれの曲に対するアレンジも実に良い。アレンジの方針は「ホサノバ・ジャズ」。ボサノバの持つ雰囲気をしっかり踏襲しつつ、ボサノバに迎合することなく、しっかりとした純ジャズなアレンジがなかなか秀逸。

即興演奏の求道者コニッツのアルト・サックスは切れ味の良いブリリアントな音色で、決して甘くない、純ジャズ志向の堅実硬派なボサノバ・フレーズを吹きまくる。

トランペットのトム・ハレルも同様。正統派なバップ・トランペットで、バップなボサノバ・フレーズを吹き上げる。コニッツもハレルも、ボサノバ・ジャズ志向の吹奏が見事である。

キコスキーのピアノをメインとしたリズム・セクションも良い音を出している。このリズム隊の供給するリズム&ビートは、ボサノバのリズム&ビートをジャジーに仕立て直した「ボサノバ・ジャズ」のリズム&ビートそのもの。上手いなあ。

ホメロ・ルバンボのアコギも地味ながら良い味を出している。やはり、ボサノバ・ジャズにはアコギは必須やなあ。

21世紀を見据えた、ブラジリアンな、ボサノバ基調の夜曲集(セレナーデ)。1962年から、1960年代、1970年代、1980年代と弾き継がれてきた、コンテンポラリーな「ボサノバ・ジャズ」の好例がこの盤に詰まっている。

ヴィーナス・レコードだからと避けて通ってはならない。日本のレーベルが好プロデュースしたボサノバ・ジャズ盤の好盤がここにある。 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« 夏はボサノバ・ジャズ・その36 | トップページ | ボサノバ&サンバ・ジャズの好盤 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 夏はボサノバ・ジャズ・その36 | トップページ | ボサノバ&サンバ・ジャズの好盤 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー