オルガン入りギター盤の秀作です
グラント・グリーンは、ほとんど「ブルーノートのお抱え」ギタリストと思って良いと思う。グラント・グリーンの秀作は、当時のブルーノート・レーベルに集中している。ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンが、グラント・グリーンのギターの個性について、いかに造詣が深かったか、が非常に良く判る。
Grant Green『Street of Dreams』(写真左)。1964年11月16日の録音。ブルーノートの4253番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Bobby Hutcherson (vib), Larry Young (org), Elvin Jones (ds)。グラント・グリーンのギターと、ボビー・ハッチャーソンのヴァイブがフロントの、オルガン入り変則カルテット。ベースはラリー・ヤングのオルガンが代替している。
オルガン入りのグリーンのリーダー作。まず、グリーンのギターはシングル・トーンでありながら、音がとても太い。普通、シングル・トーンのギターは音が細くて、オルガンの太い音色に負けることが多いのだが、グリーンのシングル・トーンはとても太いので、オルガンの太い音色に負けず、オルガンと対等にフレーズを奏で、ユニゾン&ハーモニーを奏でることが出来る。
しかも、オルガンは、当時、新進気鋭のラリー・ヤング。いわゆるオルガンの新主流派、と形容される、スマートな音色が個性。つまり、従来のオルガンの様に、例えば、ジミー・スミスなどの様に、ファンクネスが濃厚では無い。そんな「オルガンのコルトレーン」と形容されるヤングが、ファンキー・ジャズなオルガンを弾きまくる。
これが「ミソ」で、グリンのギターとオルガンが絡む時、グリーンの持つ濃厚なファンクネスが前面に推し出てくるのだ。ヤングのオルガンにも、そこはかとなくファンクネスは漂うのだが、この盤での濃厚なファンクネスは、絶対のグリーンのギターから醸し出るファンクネスなのだ。
ハッチャーソンのヴァイブの存在も見逃せない。ハッチャーソンのヴァイブも、いわゆるヴァイブの新主流派、と形容されるモーダルでスマートなヴァイブが身上。例えば、ファンキー・ヴァイブのレジェンド、ミルト・ジャクソンのヴァイブだと、グリーンのギターの濃厚なファンクネスと相まって、オーバー・ファンクな演奏になって、確実に「耳にもたれる」。
が、ハッチャーソンのヴァイブだとそうならない。逆にハッチャーソンのスマートなヴァイブがグリーンのギターの持つ濃厚なファンクネスを際立たせる効果を産んでいる。グリーンのファンクネス濃厚なギターの音色を、洗練したスマートなファンクネスの音色に変化させ際立たせる。ハッチャーソンのヴァイブの存在も、この盤での「キモ」である。
あとは、リズム&ビートを推進するドラマーの存在。この盤では、エルヴィンがいつになくファンキーなドラミングでバンド全体の演奏をコントロールし鼓舞する。この盤でのエルヴィンのファンキーなドラミング。エルヴィンって器用で引き出しの多いドラマーなんだ、ということを再認識する。
グリーンのファンクネス濃厚でホーンライクな弾き回しも魅力的で、バンド全体のリラックス度の高い、ファンキーな演奏も、このメンバーでは異色。ジャケットも良好。実にスマートでリラクゼーション溢れる、グルーヴィーなオルガン入りギター盤の秀作です。
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