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2024年7月 5日 (金曜日)

米国ジャズでの「ジョンアバ」

ジョン・アバークロンビー(John Abercrombie、以降「ジョンアバ」と略)。基本、ECMレーベルのハウス・ギタリスト的位置付け。欧州ジャズらしい、彼しか出せない叙情的なサスティーン・サウンドが、とにかく気持ち良い。特に、ECMレーベルでの、ECM独特の深いエコーに乗ったジョンアバのギターシンセには、聴くたびに惚れ惚れである。

John Abercrombie『Route Two』(写真左)。1981年の作品。Landslideレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (g), Gary Cambell (sax), Jeremy Steig (fl), Dan Wall (org), Joe Chambers, David Earle Johnson (ds)。ECMを離れての、米国録音でのジョンアバのギターが聴ける。

ECMのハウス・ギタリストのジョンアバと、オルガン奏者のダン・ウォール、ドラムのデヴィッド・アール・ジョンソンによるトリオの1981年作品。

ジェレミー・スタイグのフルート、ゲイリー・キャンベルのサックスが客演、ドラムのジョー・チェンバースがサポートで入っている(ジョンソンがパーカッションを担当する時、チェンバースがドラムを代役しているようだ)。
 

John-abercrombieroute-two

 
1981年の録音なので、当時大流行のフュージョン・ジャズな内容かと思いきや、さにあらず。クロスオーバー寄り4ビートのオルガン・ジャズから16ビートのジャズ・ファンクまで、当時の米国東海岸のコンテンポラリー・ジャズが展開される。意外とメインストリーム志向、クールでホットな演奏内容にしばし感心する。

ジョンアバのギターは、サスティーンは効いてはいるものの、エレギの弾きっぷりは「流麗なバップ」。ちょっとくすんで伸びのある音で、バップなフレーズやモーダルなフレーズを流麗に飄々と弾きまくる。ECMの録音の時の様に、耽美的にリリカルに展開したり、音の広がりと伸びを活かした、知的で内省的な展開したりすることは全く無い。ジョンアバは米国NY出身のジャズ・ギタリストであることを再認識する。

米国東海岸のコンテンポラリー・ジャズに興じるジョンアバのエレギも十分にイケる。ジョンアバのジャズ・ギターの基本は他の例に漏れず、バップなギターが基本。

ジョンアバのテクニックと表現力が卓越しているが故、録音時のレーベルの音の傾向やプロデューサーの音志向に関する要望に的確に応えることが出来る、ということを再認識する。一流ジャズマンについては、その音志向は基本的にバリエーションが豊かである。
 
 

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