聴かせる好企画盤『カルメン』
シビアで硬派で「即興が命」の純ジャズを聴き続けた合間、耳休めにウエストコースト・ジャズを聴くことが多い。
ウエストコースト・ジャズは、1950年代後半から1960年代全般にかけて、米国西海岸、ロスアンゼルス、サンフランシスコを中心に流行ったジャズの演奏トレンド。ハイテクニックを駆使して流麗で聴き心地の良いパフォーマンス、聴き手に訴求するキャッチーなアレンジ。「聴かせる」ジャズを旨とした、ジャズの演奏トレンドの一つ。
Barney Kessel『Modern Jazz Performances From Bizet's Opera Carmen』(写真左)。1958年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g, arr), André Previn (p), Victor Feldman (vib), Joe Mondragon (b), Shelly Manne (ds)。ここに、8人編成の管楽器がメインのコンボが付く。ジャズ白人3大ギタリストの一人、ウエスコースト・ジャズの代表的ギタリスト、バーニー・ケッセルのリーダー作。
ウエストコースト・ジャズを代表するメンバーで、オペラでお馴染みビゼーの「カルメン」をカヴァーした作品集である。ビゼーの「カルメン」からの編曲は、ケッセル自身が行っている。収録曲は以下の通り。
1)闘牛士の歌(Swingin' The Toreador)
2)セギディーリャ(A Pad On The Edge of Town)
3)お前、おれが好きなら(If You Dig Me)
4)恋は野の鳥(Free As A Bird)
5)行進曲(Viva El Toro!)
6)花の歌(Flowersville)
7)あんたのために踊るは(Carmen's Cool)
8)母の様子を教えておくれ(Like There's No Place Like)
9)ジプシーの歌(The Gypsy's Hip)
こうやって、ジャズ化された曲を並べてみると、このビゼーの「カルメン」には、キャッチーなメロディーを持った、魅力的な曲が沢山あることが判る。また、これらをジャズに編曲した、ケッセルのアレンジ能力も素晴らしい。
演奏全体の雰囲気は明るくて楽しい内容。どこかで聴いたことのある、親しみのある、キャッチーなメロディーがジャズに乗って、演奏される。結構、俗っぽいメロディーを持った楽曲もあるのだが、優れたアレンジと演奏で、そんな俗っぽさをカバーしている。
この「カルメン」のカヴァー盤は、あくまで、ギターがメインの、ギターがフロントのパフォーマンス。管楽器のコンボがバックに付くが、ケッセルのギターの音は骨太でメロディアスなので、管楽器のコンボの音に、ケッセルのギターの音が埋もれることは無い。
プレヴィンのピアノの伴奏フレーズの妙が素晴らしい。フェルドマンのヴァイブは流麗で躍動感溢れメロディアス。マンの職人芸的、変幻自在のドラミング。バッキングを受け持つ、ウエストコースト・ジャズの名うての名手たちの演奏も優秀だが、あくまで、ケッセルのギターをサポートし、引き立てる役に徹していて立派だ。
1950年代には、米国の東西ジャズで、ミュージカルやクラシック、映画スコアのジャズ化が行われ、我が国では「キワモノ」として、硬派なジャズ者の方々からは敬遠される向きもあるが、このケッセルの『カルメン』は、キワモノとして、聴かず嫌いで敬遠するには惜しい、充実した内容をキープしている。
印象的なイラストのジャケットも良し。ハイテクニックを駆使して流麗で聴き心地の良いパフォーマンス、聴き手に訴求するキャッチーなアレンジ。「聴かせる」ジャズを旨とした、ジャズの演奏トレンド、ウエストコースト・ジャズの「好例」の一枚として、一聴をお勧めしたい好企画盤です。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2024.01.07 更新
・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
記事をアップ。
★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新
・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
の記事をアップ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« バイラークのエヴァンス追悼盤 | トップページ | 「5人組マントラ」のデビュー盤 »




コメント