チックの異色盤『Septet』です
僕は「チック者」である。チックを初めて聴いたのが、1970年代半ばだったから、2021年2月9日に逝去するまで、かれこれ既に半世紀、チックをずっとリアルタイムで聴き続けてきたことになる。
よって、チックのリーダー作については、当ブログで全てについて記事にしようと思っている。現時点で、あと十数枚、記事にしていないアルバムがある。今日は、その中の「異色作」について語ろうと思う。
Chick Corea『Septet』(写真左)。1984年10月、L.A.の「Mad Hatter Studios」での録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Steve Kujala (fl), Peter Gordon (french horn), Ida Kavafian, Theodore Arm (violin), Steven Tenenbom (viola), Fred Sherry (cello)。
チックのピアノ、クジャラのフルート、ゴードンのフレンチ・ホルンに加えて、弦楽四重奏が入った七重奏団=「Septet」。ECMレーベルらしいコンセプト盤だが、この盤のプロデューサーは、ECMの総帥マンフレート・アイヒャーでは無く、チック・コリア自身。録音スタジオは、チックの「マッド・ハッター・スタジオ」。
アルバムのコンセプトはECMの理念に沿う、しかし、その音作りはチック自身に任せる。アイヒャーとしては思い切ったことをした。
しかし、この盤に詰まっている音は、明らかに「ECMミュージック」であり、アイヒャーイズムの音作りである。逆に、チックの自己プロデュース能力の高さを再認識する。
さて、その内容であるが、弦楽四重奏が入っているので、雰囲気は明らかにクラシック。しかし、それぞれの曲には、チック独特のフレーズ、チックらしい硬質でメロディアスなタッチが随所に聴くことが出来て、伝統的なクラシックの七重奏という雰囲気では無い。
とにかく、チックのピアノが映えに映えていて、この盤の七重奏は、チックのソロ・ピアノに、フルートとフレンチ・ホルンと弦楽四重奏がクラシックなバッキングをすることにより、よりチックのソロ・ピアノが引き立つ、そんな感じの音作り。クラシック風ではあるが、純粋なクラシックでは無い。
チックの個性を反映した、チックの優れた「作曲&編曲」の才能の成果がこの『Septet』。クラシック寄りの即興のピアノ・ソロに一捻り加えた、チックの考える「ECMミュージック」がこの盤に詰まっている。
ECMレーベルだからこそ成し得た、チックの考える「ECMミュージック」。アイヒャーの期待に応えたチックの「作曲&編曲」の才能。一期一会、唯一無二な音世界。チック者にとっては、外すことの出来ない「異色盤」です。
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