« ジャズ喫茶で流したい・271 | トップページ | トミフラの個性を再認識する。 »

2024年6月24日 (月曜日)

トミフラの「職人肌テクニック」

名盤請負人の異名を持つ「トミー・フラナガン(Tommy Flanagan・以下「トミフラ」と略)」。トミフラのピアノは伴奏に回ってこそ際立つ、なんて「ピントのズレた」評価もあるが、トミフラは元々はバップなピアニスト。ビ・バップからの流れを汲む「テクニック秀逸、ばりばりピアノを弾きまくる」が、フラナガンの本質。

加えて、トミフラは応用力抜群の職人肌テクニックの持ち主でもある。「伴奏に回ってこそ際立つピアノ」は、そのフロント楽器の個性や音色、フレーズに合った、そのフロント楽器の演奏が際立つフレーズを弾き進める応用力の高さの表れだし、そのセッションの「プロデュース志向にピッタリ合った雰囲気のピアノ」を弾き進めるところも、この職人肌テクニックの賜物である。

『The Tommy Flanagan Trio』(写真左)。1960年5月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Tommy Potter (b), Roy Haynes (ds)。Prestigeの傍系レーベル「Moodsville」からのリリース。

「Moodsville」は、ジャズ・スタンダード曲をメインに収録、ムーディーな雰囲気の「聴かせるアルバム」の制作を目的としたレーベル。このトミフラのトリオ盤では「Moodsville」レーベルの音志向に忠実に、トミフラは、実にムーディーで洒脱なフレーズを繰り出して、しっとり聴かせるトリオ演奏を展開している。
 

The-tommy-flanagan-trio

 
その収録曲であるが意外と洒落ている。ジャジ・スタンダード曲が「In The Blue of The Evening」「You Go To My Head」「Velvet Moon」「Come Sunday」「Born To Be Blue」「In A Sentimental Mood」の6曲だが、有名な「ど・スタンダード曲」は選ばず、ちょっと小粋でマニアックなスタンダード曲を選んでいるところがニクい。そしてフランガンの自作曲「Jes' Fine」の全7曲。

ムーディーだからといって、トミフラのピアノは優しくはない。しっかりと芯の入った力強いタッチで、スタンダード曲のテーマを明快にメリハリ良く唄い上げる。それでも、うるさくならないのは、トミフラの職人肌テクニック。タッチは力強く、メリハリ良い弾きっぷりだが、音は耳障りにはならない弾き回し。トミフラのピアノテクニックに思わず「唸る」。

スローからミディアム・テンポの演奏で固められていて、実にムーディーで小粋なトリオ演奏である。これといった、大仕掛けな展開は無いのだが、曲毎のアレンジが良く練られていて、どの曲もじっくり聴かせる。特にアドリブ部の展開が洒脱で、コクのある香り高い珈琲を楽しむが如く、心地良い味のある小粋なピアノ・フレーズを楽しむことが出来る。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« ジャズ喫茶で流したい・271 | トップページ | トミフラの個性を再認識する。 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ジャズ喫茶で流したい・271 | トップページ | トミフラの個性を再認識する。 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー