ケントのアステア・トリビュート
ジャズ・インストを聴き続けた合間、耳休めに女性ジャズ・ボーカルを聴くことが多い。
もともとジャズ・ボーカルは得意では無い。流石に、レジェンド級の、低めの声で唸るような、こぶし豊かな、日本で言う「演歌系」のような本格派の女性ボーカルは得意では無い。聴くには聴くが、申し訳ないが、ジャズ・ボーカルの勉強の為に聴くことがほとんどで、ジャズ・インストの合間の「耳休め」に聴くことは無い。
合間の「耳休め」は、ナチュラルな歌い方で、ちょっとコケティッシュで、ちょっとキュートで、それでいて仄かに色気漂う女性ボーカルに限る。それも、どっぷり「ジャズ」していなくて、ちょっとポップでアーバンなボーカルが良い。
今晩は「ステイシー・ケント」。米ニュージャージー州出身、英ロンドンを拠点に活躍しながら、2007年ブルーノート・レコードと契約、国際レベルで活躍している。今晩は遡って、2000年3月リリースの彼女の4枚目のリーダー作を聴く。
Stacey Kent 『Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire』(写真左)。2000年の作品。ちなみにパーソネルは、Stacey Kent (vo, arr), Jim Tomlinson (cl, as, ts, arr, producer), David Newton (p), Colin Oxley (g), Simon Thorpe (b), Steve Brown (ds), Simon Woolf (arr)。伝説の「史上最高のポピュラーミュージックダンサー」、ダンサー兼歌手のフレッド・アステアのトリビュート盤である。
全曲、楽曲がかつてのミュージカル映画からのものなので、そもそも曲が良い。そこに、しっかりとしたアレンジが施され、その整ったお膳立ての中で、ステイシー・ケントが、ナチュラルにポップにキュートに、本格派ボーカルを聴かせてくれる。
彼女の透き通ったピュアな声、完璧なフレージング、そしてエレガントなスウィング感、実にムーディーにスインギーに、フレッド・アステアにまつわる秀曲を唄い上げる様に、どっぷりと「癒される」。
バックの伴奏が、これまた良い。正統派な純ジャズ志向のバッキング。デヴィッド・ニュートンのピアノ、コリン・オクスリーのギターが良い音を出している。この伴奏上手なピアノとギターが素敵なバッキングをしている。思わず聴き惚れる。サイモン・ソープのベースとスティーヴ・ブラウンのドラムの正確で味のあるリズム&ビートは、ケントのボーカルに、小粋な躍動感を供給する。
そして、ケントのボーカルに寄り添う様に、語りかける様に、ケントの夫君、ジム・トムリンソンがリード楽器を吹き上げる。このトムリンソンのサックスが良い。小粋で絶妙の伴奏リード楽器。ケントのボーカルの良き相棒、リード楽器で唄いかけるトムリンソンの名演が光る。
良い雰囲気の女性ボーカル盤。バックの純ジャズ志向の演奏だけでも、十分にジャズを楽しめる。そんな優れた純ジャズ志向の演奏をバックに、ケントがナチュラルにポップにキュートに、本格派ジャズ・ボーカルを聴かせてくれる。 採用した楽曲の良さも相まって、極上の「癒し」の女性ボーカル。ジャケも趣味が良い。現代の女性ボーカルの名盤の一枚。
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