リトナーの1980年代の代表作
去る6月21日に、やっと梅雨入りした関東甲信地方。梅雨入り当初は、ドカ雨、梅雨の中休みの晴れ、が交互に来て、梅雨らしくないなあ、と思っていたら、この6月最終週半ばあたりから、とにかく湿度が高く、天気は愚図つく曇り空。そして、雨が降る時は「まとまって」降る。体調的にも堪える天候にへばっている。
こういう「へばった」状態になると、ハードなジャズはしんどくなる。フリーやスピリチュアルなんてもっての外。速いテンポもちょっとしんどいし、トランペットのハイノートなんて辛抱できない。よって、耳あたりの良い、ゆったりとしたテンポのジャズ盤を選びたくなる。そうなると、フュージョン&スムース・ジャズの好盤にも手が伸びたりする。
Lee Ritenour『Festival』(写真左)。1988年の作品。GRPレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、主だったところでは、Lee Ritenour (g), Robbie Kondor (syn), Dave Grusin, Bob James (key), Joao Bosco (g, vo), Marcus Miller, Anthony Jackson (b), Omar Hakim (ds), Paulinho da Costa (perc), Ernie Watts (ts), etc.。
この盤のテーマは「ブラジリアン・フュージョン」。パーソネルには、フュージョン畑とブラジル音楽畑のミュージシャンが大集合。エリア的には、ニューヨーク、ロサンゼルス、ブラジルのミュージシャンによるコラボレーション。
1960年代のボサノヴァ・ブームの折にも、こういったコラボ・セッションはあったが、意外と綺麗に融合せずに、どちらかの音楽性が勝ったりしていた。が、この盤の録音年は1988年。フュージョンの大ブームを経て、フュージョン&スムース・ジャズは進化〜成熟した。
この盤での「ブラジリアン・フュージョン」は、米国フュージョン・ジャズとブラジル音楽が何の違和感もなく、綺麗に融合し、「ブラジリアン・フュージョン」と呼べる、一つの演奏トレンドを確立している。
リトナーは、米国フュージョン・ジャズとブラジル音楽の融合に、ナイロン弦アコギで攻める。これが良い音してるんだよな。ブラジル音楽特有の「爽快感・清涼感」をリトナーのアコギが的確に表現している。
1970年代のデビュー当時と比較すると、リトナーのギターは進化している。アコギはニュアンスの表現が微妙に難しい楽器だが、リトナーはこの難物のアコギをバッチリ弾きこなしている。余裕あるフレーズの弾き回し。痺れる。
面白いのは「ブラジリアン・フュージョン」の音世界の中、リズム&ビートを司るリズム隊は、マーカス・ミラー、アンソニー・ジャクソン&オマー・ハキムの米国隊がメイン。そこに、ブラジル出身のパウリーニョ・ダ・コスタがパーカッションでサポートに入っている。米国隊がメインの「ブラジリアン・フュージョン」のリズム&ビート、これがまた違和感が全く無いから立派。
とにかくリトナーのアコギの弾き回しが凄く良い。ブラジル音楽の雰囲気を様々なニュアンスで表現し、しっかりとフュージョン&スムース・ジャズにアダプトしている。バックを司るメンバーも皆、良い音出していて、1980年代後半、その時代の最新の「フュージョンとブラジル音楽」の融合の成果がこの盤に記録されている。1980年代のリー・リトナーの代表作でしょう。良いアルバムです。
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