日野皓正の『City Connection』
月刊誌「レコード・コレクターズ」2024年6月号の特集が「フュージョン・ベスト100 邦楽編」を眺めていて、久しぶりに「日野皓正」の存在に気がついた。
元々は、限りなく自由度の高いモード・ジャズ志向のエモーショナルなバップなトランペットで、ブイブイ言わせていたのだが、いきなり、NYに渡って、思いっきりイメージチェンジ。フュージョン・ジャズに転身して、何枚かのヒット盤をリリースした訳だが、そういえば、当ブログで、日野皓正の盤については、しばらく扱ってこなかった。
日野皓正『City Connection』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、主だったメンバーとして、日野皓正 (tp, cornet, flh), David Spinozza (g), Leon Pendarvis, Harry Whitaker (p, rhodes), Anthony Jackson (el-b), Howard King (ds), Naná Vasconcelos (perc, conga) 他。
アレンジはハリー・ウィタカーとレオン・ペンダーヴィス。共にロバータ・フラックのブレーンとして知られる黒人キーボード奏者&アレンジャー。バックを固めるミュージシャンは、NYのフュージョン・シーンを彩る名うての名手たち。上質の、演奏レベルがかなり高い、爽快でキャッチーなフュージョン・ジャズが展開されている。
そんなバックの演奏に乗って、日野皓正がとても気持ち良さそうに、トランペットを、コルネットを、フリューゲルホーンを吹き上げていく。この日野のフュージョン盤を聴いて再認識したんだが、日野のトランペット、コルネット、フリューゲルホーンそれぞれ、かなりのハイレベルの吹奏。歌心溢れ、テクニックも超優秀。改めて、日野皓正の演奏の上手さを、このフュージョン・ジャズ盤で再認識した。
そんな歌心溢れ、テクニックも超優秀なトランペットで、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ志向のフレーズを吹き上げていくのだ。悪かろうはずがない。米国フュージョン、和フュージョンを合わせた中でも、この『City Connection』は上位に位置する名盤だと僕は思う。
冒頭の「Hino's Reggae」から、ソフト&メロウな、しっかりと芯の入ったフリューテルホーンがいかにも「フュージョン」な雰囲気濃厚。2曲目の「Stay in My Walking Heart」は、ボーカル入りでお洒落でソウルフル。3曲目の「City Connection」は、サントリー・ホワイトのCMソングに起用された、キャッチーでライトなジャズ・ファンク。これがまた洒落ている。
LPではB面に入って、「Send Me Your Feelings」は、ボーカル入り、優しいソウルフルでブギーなフュージョン。続く「High Tide-Manhattan Ecstasy」は日野のフリューゲルホーンがリリカルで爽快、ちょっとライトなジャズ・ファンク。
ラス前の「Samba De-la Cruz」はハンドクラップが印象的な高速サンバ。これもCMソングに起用されたのではなかったか。そして、ラストの「Blue Smiles」は、このアルバムを制作した年に亡くなったトランぺッター「ブルー・ミッチェル」の追悼曲。日野のフルーゲルホーンをはじめ、静謐で寂寞感溢れる演奏が切ない。
久しぶりに全編聴き直してみて、確かにこの『City Connection』は、フュージョン・ジャズの名盤だろう。フュージョン・ジャズの個性と特徴をしっかりと日野皓正の才能でリコンパイルして、「日野の考えるフュージョン・ジャズ」を確立している。
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