D・バードの活動前期の名盤です
ドナルド・バードは、ジャズ・トランペットのレジェンド。バードのトランペットは、端正で流麗でブリリアント、ピッチやフレーズにブレは無く、アドリブ・フレーズのイマージネーション豊か、ジャズ・トランペットの教科書の様なパフォーマンスが個性。
この端正で流麗で「教科書の様なパフォーマンス」が良くないらしく、我が国では、ドナルド・バードの人気はイマイチ。綺麗すぎる、うますぎる、破綻がなくて面白くない、と、何だか、ピアノのピーターソンが、我が国で人気がイマイチな理由と同じ。
しかし、僕は、この偏った評価は以前から「疑問」である。ブラウニーもそうじゃないか、と思うのだが、ブラウニーは早逝した悲劇のトランペッターだから良いのだそうだ。偏った評価も甚だしい(笑)。
Donald Byrd 『Free Form』(写真左)。1961年12月11日の録音。ブルーノートの4118番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)。リーダーのドナルド・バードのトランペットとウェイン・ショーターのテナーが2管フロントのクインテット編成。バックのリズム隊は、ハービー・ハンコックをピアノに、新主流派志向。
この盤は、ジャズロックなファンキー・チューンから、静的でジャジーなバラードから、バリバリ硬派なハードバップから、新主流派モード・ジャズから、ライトなフリー・ジャズまで、それまでのメインストリームなジャズの演奏スタイルを網羅した、バラエティーに富んだ内容になっている。
そんなバラエティーに富んだ演奏スタイルを、ドナルド・バードは、いともたやすく、しっかりと吹き分けていく。しかも、どのスタイルでも「端正で流麗でブリリアント、ピッチやフレーズにブレは無く、アドリブ・フレーズのイマージネーション豊か、ジャズ・トランペットの教科書の様なパフォーマンス」は変わらない。ドナルド・バードのトランペットの力量とテクニックの高さがよく判る。
バックの新主流派志向のメンバーは、といえば、このドナルド・バードのリーダー作の「それまでのメインストリームなジャズの演奏スタイルを網羅した、バラエティーに富んだ内容」にしっかりと追従している。
感心するのは、新主流派志向のメンバーなので、ジャズロックだろうが、硬派なハードバップだろうが、どの演奏のアドリブ部では、モーダルな演奏に走りそうなものだが、そんな無粋なことは絶対にしない。どの演奏スタイルでも、その演奏スタイルならではのパフォーマンスで、リーダーのドナルド・バードのトランペットに追従している。さすが、若手の中でも一流の「選りすぐり」のメンバーである。
特に、フロント管の相棒、若きウェイン・ショーターのテナーが絶好調。どの演奏スタイルでも吹きこなす適応力はさすが。得手不得手の差は全く感じられない。そして、どの演奏スタイルでも、統一の個性で演奏スタイルを弾き分ける、伴奏ピアノの達人の面目躍如、ハービー・ハンコックのバッキングが素晴らしい。どの演奏スタイルでも、的確で、フロントを引き立てる、絶妙のバッキングを供給している。見事である。
我が国では、謂れのない理由で、人気イマイチのドナルド・バードであるが、この盤を聴けば、ジャズ・トランペッターとして一流であり、一目置かれる存在であることが良く判る。
この盤は、飛び立つ鳩をあしらったジャケがジャズっぽくなくて損をしているけど(笑)、これまでのD・バードの、トランペッターとしてのパフォーマンスの集大成の様な構成で、彼の活動前期の名盤としても良い内容である。
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