ラージの傑作『Speak To Me』
現代のジャズ・シーンにおいては、ギタリスト人材が豊富に感じる。そんな中でも、突出した存在の一人が、ジュリアン・ラージ。数々の有望新人を発掘してきた、ヴァイブのゲイリー・バートンが新たに発掘した天才ギタリストである。
音の志向は、現代のコンテンポラリーなジャズ・ギターで、パット・メセニーの様な「ネイチャーな響き」もあり、ジョンスコに「くすんで捻れる」ところもあり、過去のレジェンド級のコンテンポラリーなジャズ・ギタリストのスタイルを踏襲しつつ、他のジャンルのエレギの音も積極的に融合して、ワン・アンド・オンリーな個性を確立している。
Julian Lage『Speak To Me』(写真左)。2024年3月、ブルーノート・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Julian Lage (g), Levon Henry (ts, cl, alto-cl), Patrick Warren (p, key), Kris Davis (p), Jorge Roede (b, vib), David King (ds)。ジュリアン・ラージのブルーノート・レコードからの4作目。
前作の『The Layers』は、全6曲のEPだったのだが、今回は、しっかり、全13曲のフル・アルバム。今回も、ホルヘ・ローダー (b)とデイヴ・キング (ds)とのレギュラー・トリオを中心に、適材適所のゲストを招聘している。プロデューサーは、アメリカーナ・ブームの立役者、ジョー・ヘンリー。
今回は、ラージがエレギよりもアコギの方を多く弾いている。郷愁を誘う様な、フォーキーなアコギの音が良い。これまでの「アメリカーナ路線」のジャズ・インプロビゼーションの音志向が、より濃厚になっている。ジョー・ヘンリーがプロデュースの効果なのか、どこか、サザン・ロック的な響きが色濃く漂っているのが良い。
加えて、エレギの音やフレーズの弾き回しに、ロック・ギターの雰囲気が漂う。そう、ジェフ・ベックのギターの弾き回しとか、ブリティッシュ・ロックの中のブルース・ロックの様な雰囲気。
ジャズが「演奏のど真ん中」にいるが、そこに、ロック、ブルース、カントリー、そして、フォーク、ゴスペル、オールド・タイムなどの米国ルーツ・ミュージックの音要素が引用〜融合されていて、「演奏のど真ん中」のジャズと絶妙のバランスを醸し出しつつ、レージ独特の「アメリカーナ」な音世界を展開している。
現代コンテンポラリー・ジャズの「アメリカーナ」なインスト・パフォーマンス。純ジャズな雰囲気は薄まって、少しポップで、米国ルーツ・ミュージックの音作り。それでも、ジャジーな雰囲気はしっかり演奏の底を流れていて、アメリカーナ・ジャズとでも形容できそうな、レージ独特の音世界。
フォーキーで、どこか懐かしい感じ、哀愁感漂う米国ルーツ・ミュージックの音要素を融合して、ジャズのフォーマットに乗せる。エレギの音はブルース・ロックやサザン・ロックの響きを湛えていて、「アメリカーナ」な雰囲気をより濃厚にさせる。この盤の「アメリカーナ」でジャジーな音世界、僕は好きやなあ。傑作です。
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