名手ブレイドの初リーダー作です
現代のファースト・コール・ドラマーの一人、アントニオ・サンチェスのリーダー作を聴いていて、他のファースト・コール・ドラマーのリーダー作を聴き直してみたくなった。まずは「ブライアン・ブレイド(Brian Blade)」。1970年生まれだから、今年54歳。ジャズ界では引っ張りだこのドラマーの一人である。
ブレイドのドラムは、多彩かつ大胆かつ繊細。非常に味のあるドラミングを披露してくれる。聴いていて惚れ惚れするくらい耳に心地良い、小粋なドラミング。シンバルをパルシヴに小刻みに刻んで、ビートの波を叩き出すのが最大の特徴。このブレイドのシンバル・ワークが秀逸。このシンバル・ワークをベースに、硬軟自在、緩急自在、変幻自在のドラミングを披露する。
『Brian Blade Fellowship』(写真左)。1998年の作品。ブルーノート・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Brian Blade (ds), Melvin Butler (sax), Jon Cowherd (ac-p, el-p), Dave Easley (pedal steel g), Daniel Lanois (mando-g), Jeff Parker (ac-g, el-g), Christopher Thomas (ac-b), Myron Walden (as)。ブライアン・ブレイドの初リーダー作になる。
ブライアン・ブレイド・フェローシップ(以降、BBF)、1997年、ブライアン・ブレイドをリーダーとして結成されたバンド。楽器構成がユニークで、ペダル・スチール・ギターやマンドギター、ウーリッツァー・エレクトロニック・ピアノなどのジャズには珍しいエレ楽器も入れての8人編成。言い換えると「ブライアン・ブレイド・オクテット」である。
出てくる音は、コンテンポラリー・ジャズ、いわゆる「ニュー・ジャズ」である。即興演奏をメインに、それぞれの楽器がモーダルにフリーにスピリチュアルにインタープレイを展開しつつ、フュージョン、フォーク、ゴスペルな音要素をも包含して、21世紀に通じる「ニュー・ジャズ」を展開。様々な表現を反映して楽曲がバリエーション豊かに収録されている。
そんなバリエーション豊かな内容の楽曲の中で、ブライアン・ブレイドのドラミングは白眉の出来。「シンバルをパルシヴに小刻みに刻んで、ビートの波を叩き出し、このシンバル・ワークをベースに、硬軟自在、緩急自在、変幻自在のドラミング」というブレイドのドラミングの個性がこの盤の中に溢れている。
ブレイドの多彩なドラミングが推進エンジンとなって、様々なニュアンスの即興演奏&インタープレイが展開される。どの楽器も音は好調。4ビート・ジャズとは全く正反対の、エモーショナルでクールな「ニュー・ジャズ」志向のパフォーマンスは、このBBFの最大の個性。エレ楽器を包含しているが、このバンドの音はあくまで「純ジャズ」の範疇に軸足がしっかりある。
ジャズの世界で「初リーダー作」は、そのリーダーのジャズマンの個性が明確に出る、というが、このブレイドの初リーダー作はその例に漏れない。ブレイドのドラミングを理解する上で、必聴のリーダー作だと言える。21世紀の「ニュー・ジャズ」としても聴き応え十分。好盤です。
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