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2024年4月18日 (木曜日)

ラーズ・ヤンソンの攻めのピアノ

ラーズ・ヤンソンは、1951年、スウェーデン生まれ。1975年、プロとしての活動がスタート。自己のトリオを結成した1979年以後は、北欧ジャズの第一線で活躍している「古参」の存在。1980年代に優れた内容のリーダー作を連発、国際的にも北欧ジャズの担い手なる一流ジャズ・ピアニストとして認知されている。

Lars Jansson Trio 『The Time We Have』(写真左)。1996年3月29日、オスロの「Rainbow Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Lars Jansson (p), Lars Danielsson (b), Anders Kjellberg (ds)。北欧のリリカルなピアノ詩人、ラーズ・ヤンソンの5枚目のリーダー作。ベースのラーシュ・ダニエルソン、ドラムのアンダーシュ・シェルベリと共に、純スウェーデン出身のピアノ・トリオ演奏。

耽美的でリリカルなピアノは相変わらずだが、このリーダー作でのヤンソンは、ロマンチシズムは極小に、バリバリと硬派でストイックなピアノを弾きまくる。北欧ジャズ・ピアノの深淵で豊かな広がりのあるフレーズはそのままだが、速いフレーズは爽快感溢れ、クールな弾き回し。北欧ジャズというよりは、耽美的でリリカルでモーダルな弾き回し。まるで、キース・ジャレットか、と思う瞬間がある。
 

Lars-jansson-trio-the-time-we-have

 
ただ、キースと違うのは、クラシックな弾き回しが殆ど無く、どっぷり耽美的にリリカルに浸り切ることは無いところ。キースの様に仰々しいところは一切無い、シンプルで透明度の高い弾き回しがメインなのが、ラーズ・ヤンソンのピアノ。ただし、アドリブ展開の時に「うなり声」をあげるところまで似ていると、これはこれで困るなあ(笑)。

ラス前の、どスタンダード曲「Autumn Leaves(枯葉)」を聴けば、ヤンソンのピアノの個性と特徴が良く判る。耽美的でリリカルな響きだが、硬派でストイックでシリアスなアドリブ展開、速いフレーズの爽快感溢れるクールな弾き回し、スクエアにブレイクダウンするアブストラクトな展開、どちらかと言えば、欧州の現代音楽、現代クラシックに通じる弾き回しがヤンソンならでは。

ラーシュ・ダニエルソンのベースも、アンダーシュ・シェルベリのドラムも、そんなヤンソンのピアノに呼応する様に、硬派でストイックでシリアスなリズム&ビート叩き出して、ヤンソンを鼓舞し、ガッチリと支える。「Other Side of Lars Jansson」という副題を付けたくなる様な、ヤンソンの「攻めのピアノ」が聴ける好トリオ盤。ジャケも秀逸。良いピアノ・トリオ盤です。
 
 

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