ドラマー、サンチェスの力量
現代の一流ドラマーの一人、アントニオ・サンチェス(Antonio Sanchez)。1971年11月1日生まれ。今年で53歳、バリバリの中堅ドラマー。2002年の作品『Speaking of Now』にて、パット・メセニー・グループ(PMG)に参加。初リーダー作は、2007年の『Migration』。これまで9枚のリーダー作をリリース。現在では、押しも押されぬ、現代のジャズ・ドラマーの代表格の一人になっている。
Antonio Sanchez 『Three Times Three』(写真左)。2013年10-12月の録音。トリオというフォーマットにこだわって制作した企画盤。CD2枚組の大作で、3種類のトリオ編成は、1)スタンダードなピアノ・トリオ、2)ギター入りのピアノレス・トリオ、3)テナー入りのピアノレス・トリオ の3種類。
スタンダードなピアノ・トリオのパーソネルは、Antonio Sánchez (ds), Matt Brewer (b), Brad Mehldau (p)。担当する楽曲は、1枚目の1曲目「Nar-this」、2曲目「Constellations」、3曲目「Big Dream」。
ギター入りのピアノレス・トリオのパーソネルは、Antonio Sánchez (ds), Christian McBride (b), John Scofield (g)。担当する楽曲は、2枚目の1曲目「Fall」、2曲目「Nook And Crannies」、3曲目「Rooney And Vinski」。
テナー入りのピアノレス・トリオのパーソネルは、Antonio Sánchez (ds), John Patitucci (b), Joe Lovano (ts)。担当する楽曲は、2枚目の4曲目「Leviathan」、5曲目「Firenze」、6曲目「Firenze」。
スタンダードなピアノ・トリオのピアノ担当は、ブラッド・メルドー。ベースがマット・ブルーワー。メルドーのピアノとサンチェスのドラム、さすが、超一流の演奏家同士、素晴らしいインタープレイを聴かせてくれる。そこに一回り若いブルーワーのベースが入るのだが、このブルーワーのベースが現代のネオ・ハードバップ、ネオ・モードを牽引するかの如き、柔軟で新しい感覚のベースで、インタープレイの底をガッチリと支えている。
ギター入りのピアノレス・トリオのギター担当は、ジョン・スコフィールド。ピアノレスが効いていて、ジョンスコのギターとサンチェスのドラムとが、ダイレクトにインタープレイの交歓をするところがスリリング。そこにダイレクトに絡むハイ・テクニックで骨太なマクブライドのベースが、これまたスリリング。
テナー入りのピアノレス・トリオのテナー担当は、ジョー・ロバーノ。こちらもピアノレスが効いていて、ロバーノが自由奔放にテナーを吹き上げる。そこに効果的にリズム&ビートを絡ませるサンチェスのドラミングは見事。そんな柔軟自在なインタープレイを整え前へ進める推進役のパティトゥッチのベー氏がこれまた見事。
3種類のトリオ演奏の中で、明らかにドラミングの内容を変えて、それぞれのトリオでの楽器、共演者の個性に対して、一番、効果的でバンド・メンバーそれぞれの個性が一番はえるドラミングをするサンチェスは素晴らしいの一言。
演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもドラマー次第、というが、このサンチェスの企画盤を聴いていて思わず納得。この企画盤、ドラマー、サンチェスの力量をしっかり確認できる好盤だと思います。ジャズ・ドラマーのリーダー作として白眉の出来です。
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