成熟&極上の Fourplay 『4』
フュージョン・ジャズの世界では、伝説的な人気グループが多くある。パッと頭に浮かんだだけでも、「スタッフ」「ジェントル・ソウツ」「クルセイダーズ」「ブレッカー・ブラザーズ」「ステップス・アヘッド」「スパイロ・ジャイラ」「イエロージャケッツ」など、個性溢れるバカテク集団がずらり。そして、僕が愛してやまないのが「フォープレイ」。
Fourplay『4』(写真左)。1998年の作品。ちなみにパーソネルは、Bob James (p, key, program), Larry Carlton (g), Nathan East (b, vo), Harvey Mason (ds)。ギター担当がリー・リトナーから、ラリー・カールトンの代わった最初のアルバム。フォープレイとしては、通算4枚目のスタジオ録音盤。
この「フォープレイ」は、フュージョン・シーンのレジェンド級の名うてのトップ・プレイヤー4人が集結したスーパー・グループ。管楽器は無く、ギター、キーボード、ベース、ドラムの「ギター・カルテット」。
フロントはギター、キーボードが担当する。メンバー4人とも、実績十分、貫禄十分、人気十分、テクニック十分。そんな4人がガッチリとグループを組んで奏でる、極上のソフト&メロウなフュージョン・ミュージック。
この盤は、ギターがリトナーからカールトンに代わった最初の盤。カールトンのギターがソウルフルでブルージーな分、大人のフュージョンというイメージがより強くなっている。カールトンのギターの個性に合わせているのか、全体的には、ミドルからスローなテンポがメイン。これが、極上のソフト&メロウでブルージーなグルーヴを醸し出している。
このカールトンのギターが良い。バンド・サウンドの中にしっかり溶け込むカールトンのギター。カールトン入りのフォープレイの音の雰囲気をしっかりと決定づけている。
ボブ・ジェームスのキーボードが良い。カールトンに寄り添う様に鼓舞する様にソフト&メロウに、時に切れ味よくシャープに乱舞する。ボブ・ジェームスはアコピにエレピに八面六臂の大活躍。マイルドでメロウなキーボード・ワークだが、押さえるべきところは、しっかりとメリハリあるフレーズで押さえているところはさすが。
ネイザン・イーストのエレベが良い。ゴリっと鋼質な粘りのあるベース音。ソフト&メロウな雰囲気の演奏全体を引き締めている。特に、演奏のビートの底をしっかりと支えているベース・ワークは極上の職人芸。
そして、ハービー・メイソンのドラムが良い。バンド全体のリズム&ビートの要。演奏全体の調子、雰囲気を柔軟にコントロールする。抑制の効いた、変幻自在、硬軟自在なドラミングは「大人のドラミング」。叩きまくるだけがドラムでは無い。味のある小粋なドラミングはメイソンならでは、である。
とりわけ、3曲目のマーヴィン・ゲイの名曲「Sexual Healing」は、R&Bっぽい、黒いソウルフルなサウンドが特徴的。カールトンのギターの個性にぴったりの雰囲気で、仄かにファンクネス漂うボブ・ジェームスのキーボードがこの曲のアレンジにバッチリ合う。この演奏はカールトンの参加ならではの選曲&演奏だろう。
全体に淡い霞がかかった様な、淡く広がる様な、奥行きのあるサウンド。それでいて、リズム&ビートはしっかりと効いていて、ブルージーなグルーヴ感が濃厚、ゆったりとしたオフビートが「立って」いる。
よりマイルドな、よりソフト&メロウな「成熟した大人のフュージョン」な作品に仕上がっている。フュージョン・ジャズの最高峰に位置する、極上のパフォーマンス。好盤です。
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