Genius of Modern Music Vol.1
セロニアス・モンク(Thelonious Monk)。モダン・ジャズの最高の才能、最高の奇才。モンクのピアノは強烈な個性。スクエアにスイングし、フレーズは幾何学的に飛ぶ。クラシック・ピアノの正反対の「音」。クラシック・ピアノの影響は微塵も無い。ジャズから生まれた、ジャズの最高の個性。
Thelonious Monk 『Genius of Modern Music Vol.1』(写真左)。録音日とパーソネル、演奏曲は以下の通り。
1947年10月15日は、Thelonious Monk (p), Idrees Sulieman (tp), Danny Quebec West (as), Billy Smith (ts), Gene Ramey (b), Art Blakey (ds)。演奏曲は、7曲目「Thelonious」、12曲目 「Humph」。
1947年10月24日は、Thelonious Monk (p), Gene Ramey (b), Art Blakey (ds)。演奏曲は、2曲目「Off Minor」、3曲目「Ruby My Dear」、5曲目「April In Paris」、10曲目「Well You Needn't」、11曲目「Introspection」。
1947年11月21日は、Thelonious Monk (p), George Taitt (tp), Sahib Shihab (as), Bob Paige (b), Art Blakey (ds)。演奏曲は、1曲目「 'Round About Midnight」、6曲目「 In Walked Bud」。
1948年7月2日は、Milt Jackson (vib), Thelonious Monk (p), John Simmons (b), Shadow Wilson (ds)。演奏曲は、4曲目「I Mean You」、8曲目「Epistrophy」、9曲目「Misterioso」。
何だか、4つのセッションからの曲の寄せ集めで、統一感とかトーンの整合性とか、全く無視している様に見えるが、聴いてみると判るが、アルバム全体に統一感がバッチリ、演奏のトーンや内容も違和感は全く無い。
モンクのピアノの個性が突出していて、このモンクの強烈個性のピアノだけが、アルバム全体の統一感、演奏のトーンや内容を決定づけている。フロント楽器やベースやドラムのリズム隊の音や個性に、アルバム全体の統一感、演奏のトーンや内容が影響されることが全く無い。
加えて、収録曲はモンクの自作曲で統一され、モンク独特のアレンジで統一されていて、アルバム全体の統一感、演奏のトーンや内容を決定づけている重要な要素になっている。収録された自作曲を見渡すと、後のミュージシャンズ・チューンとなって、最終的にはスタンダード曲化する、モンクの自作曲の中でも特に有名となる曲が軒並みチョイスされている。
演奏の形態は、1曲の収録時間が3分前後の「ビ・バップ」ライクなもの。モンクのちょっと不思議なフレーズを持つ自作曲で「ビ・バップ」が出来るのか、と懸念を抱くのだが、意外とモンクの曲は、ジャズマンにとってアドリブを取りやすい、アドリブを取ると楽しいみたいで、モンクのちょっと不思議なフレーズを持つ自作曲を皆、嬉々として演奏している。そう、演奏全体の内容はどの曲も充実しているのが凄い。
ブルーノートの1510番。モンク・ミュージックのショーケースの様な内容のアルバム。このモダン・ジャズの最高の才能、最高の奇才を見出し、アルバムを制作させた、ブルーノート・レーベルの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの慧眼の凄さに敬服する。この盤はモダン・ジャズの「永遠の名盤」である。
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