エヴァンスの『Half Moon Bay』
ジャズ・ピアノの伝説のレジェンド、ビル・エヴァンスが生前、リーダー作の録音を残したレーベルは、Riverside、Verve、Fantasy、Warner Bros.、Elektra が主だったところ。Milestoneレーベルからのリリースは「発掘シリーズ」。エヴァンスの逝去後、発掘された音源を、マネージャーだったヘレン・キーンと判断して正式リリースしたもの。
Bill Evans『Half Moon Bay』(写真)。1973年11月4日、カリフォルニア州ハーフムーン・ベイのバッハ・ダンシング・アンド・ダイナマイト・ソサエティでのライヴ録音。1998年、マイルストーン・レーベルからのリリース。ビル・エヴァンス逝去後、Milestoneレーベルからの「発掘シリーズ」の一枚。
ダイナミズム溢れるバップな弾きっぷりのエヴァンスが聴ける。ライヴでの録音なので、その時のエヴァンスの気分、調子がダイレクトに伝わってくる。この時、エヴァンスは「躁状態」だったようだ。とにかく、アドリブ・フレーズは、とりわけダイナミックにドライブするが如く弾(ひ)きまくる。
そんなエヴァンスに引っ張られて、ベースのゴメスも唄うが如く、アドリブ・フレーズを弾(はじ)きまくる。ゴメスはこの頃から、ライヴではピックアップを使用し始めたみたいで、うるさいくらいに「ブンブンブン」とソリッドに力感溢れるベース・ラインを弾(はじ)きまくる。
同じく、そんなエヴァンスに引っ張られて、理知的なドラミングが身上のモレルも、いつになく雄弁でスインギーなビートを叩き出している。モレルって、こんなにダイナミックに力感溢れるドラミングができるんだ、とちょっとビックリする。
そして、そんな「ダイナミックにドライブするが如く、弾(ひ)きまくる」エヴァンスが、「Waltz For Debby」「Autumn Leaves」「Someday My Prince Will Come」といった往年の超人気曲を再演しているのだから堪らない。エヴァンスオリジナルの「Time rememberd」も聴き応え十分。エヴァンスの本質である「バップなピアノ」が心ゆくまで楽しめる。
ビル・エヴァンスのピアノって「耽美的でリリカル」と思っている向きには、このライヴ盤の内容は「驚き」であり、これはエヴァンスではない、という感じになるだろうなあ。でも、この「バップ・ピアノ」な方がエヴァンスの本質なんで、この盤には違和感はありません。エヴァンスってライヴの時は、その時の気分や体調に大きく左右されるみたいですね。
発掘音源だけに、音質、録音バランスについては「やや難あり」。エヴァンス初心者の方々はパスしても良いライヴ盤で、エヴァンスの名盤を聴き続けて、エヴァンスの本質を理解し始めた、エヴァンス中級者の方々にお勧めのライヴ盤だと思います。
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