最高の「92年ブルーノート東京」
チックが主宰する「ストレッチ・レーベル」からリリースされた(当時は日本だけでの発売だったと記憶している)、自主制作盤っぽいリーダー作は秀作ばかり。なぜ正式盤としてリリースしなかったのか不思議。大手レーベルは、チックの昔の録音はリリースしても売れない、とでも思っていたのだろうか。今ではどの盤も廃盤状態なので、中古を探すしかない。勿体ないことである。
Chick Corea Akoustic Band『Live From The Blue Note Tokyo』(写真左)。1992年11月、ブルーノート東京でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), John Patitucci (b), Vinnie Colaiuta (ds)。アコースティック・バンド名義だが、ドラムはデイヴ・ウェックルではなく、ロック、フュージョン畑のヴィニー・カリウタを日本に連れてきている。
もともと、チックのアコースティック・バンドは、当時の先端を行く、メインストリーム志向のトリオである。特にリズム隊、パティトゥッチのベース、ウェックルのドラムが素晴らしい。正確無比、超絶技巧、ダイナミズム&疾走感溢れる縦ノリのスインギーなリズム&ビート。その極上のリズム隊に乗って、これまた当時の先端を行く、チックのメインストリーム志向のアコピ&エレピ。
しかし、このブルーノート東京でのライヴでは、ヴィニー・カリウタが、ウェックルの代役でドラムを担当している。このカリウタが凄い。野生児のごとく、バッシバッシとラフにポリリズムを叩きまくる。荒々しいだけかと思いきや、硬軟自在、緩急自在に、柔軟にダイナミックに縦ノリのスインギーなリズム&ビートを叩き出す。これが、まず、パティトゥッチのベースに「化学反応」を起こしている。
いつになく、アグレッシヴに流麗に唄うがごとく、踊るがごとく、ウォーキング・ベースをブンブンに弾きまくる。これが、カリウタの野生児ポリリズムと共鳴して、うねるような縦ノリ・グルーヴを生み出している。そして、そこにチックのアコピ&エレピが入ってくる。極上のチックのパフォーマンスが繰り広げられる。
この1992年のブルーノート東京でのライヴ・パフォーマンスは、ウェックルがドラムのアコースティック・トリオと合わせて、チックのトリオの最高の部類だと思う。明らかに、チックのピアノ・トリオは進化している。このライヴ盤には、1990年代チックのピアノ・トリオの代表的名演が詰まっている。
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