« ハービーの謎『Dis Is da Drum』 | トップページ | 『Eastern Rebellion 3』を聴け »

2024年2月 2日 (金曜日)

エレ・ハンコックの最終成果物 『Future 2 Future』

エレクトリックなハービー・ハンコック(エレ・ハンコック)の活動期は、1969年から1984年辺り。以降『Perfect Machine』(1988年録音)、『Dis Is Da Drum』(1993-94年録音) と、4〜5年に1枚のタイミングでアルバムをリリースしている。そして、今回、ご紹介するアルバムで、エレ・ハンコックは打ち止めである。

Herbie Hancock『Future 2 Future』(写真左)。2001年の作品。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock (key), Wayne Shorter (sax), Charnett Moffett (ac-b), Bill Laswell (el-b, produce), Jack DeJohnette, Tony Williams (ds, 故人), Karsh Kale (ds, program beats)。他、ゲストが多数。

ビル・ラズウェルのプロデュースによる「21世紀のエレ・ハンコック」。ビル・ラズウェルが、ハービーのの過去の音源を使用してリミックス盤を作成することを提案したところ、ハービーが、それなら新しいアルバムを作る、と言って実現したアルバムらしい。

エレ・ハービーの総決算的内容。初期の「プログレッシブ・エレ・ファンク」な響き、全盛期の「Q(クインシー・ジョーンズ)流のエレ・ファンク」、そして、1980年代の「スクラッチ」、「アフリカン・ネイティヴなビート」「ヒップホップのビート」、エレ・ハンコックの個性の全てが、この『Future 2 Future』に盛り込まれている。

恐らく、過去を振り返って、ハービーが思うところの最高のメンバーを集めて、最高のエレ・ハービーの最終到達点の演奏を残したかったのだろうか。なんだか、ほとんど、マイルス1960年代黄金のカルテット以降の同窓会的メンバーである。
 

Herbie-hancockfuture-2-future 

 
パーソネルを見渡すと、サックスにウェイン・ショーター、ドラムにトニー・ウイリアムス(録音時点では故人。生前の録音音源を編集収録)、そして、初期エレ・マイルスの要、ジャック・デジョネット。

さすがに、ベースにはロン・カーターとはいかなかったらしく(ロンのベースはさすがにヒップホップのビートには向かないなあ)、エレベ感覚でアコベを弾くことができるチャーネット・モフェットと、スクラッチ&エレ・ヒップホップの盟友、ビル・ラズウェルがベースを担当している。

エレ・ハービーの総決算的内容なので、新しい響き、新しいトレンドは見当たらない。過去の成果を熟練・熟成した、ハイレベルで、明らかにハービーのエレ・ファンクである。音の響き、フレーズ、リズム&ビート、どこから聴いても「成熟したエレ・ハンコック」。

1969年の『Fat Albert Rotunda』から、ずっとエレ・ハンコックを聴き親しんできた「ハービー者」には感じる、この盤はエレ・ハンコックの「最終成果物」である。

発売当時、『ビルボード』のコンテンポラリー・ジャズ・アルバム・チャートでは2位。我が国でも、4週オリコンチャート入りし、最高45位を記録。エレ・ハービーの人気はまだまだ衰え知らずだったことが窺い知れる。

しかし、以降、現在まで、エレ・ハンコックの「次なるアルバム」は発表されていない。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« ハービーの謎『Dis Is da Drum』 | トップページ | 『Eastern Rebellion 3』を聴け »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ハービーの謎『Dis Is da Drum』 | トップページ | 『Eastern Rebellion 3』を聴け »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー