意外とイケる新鮮な『Jazz Lab』
ジャズ・トランペットのプロフェッサー & レジェンド、ドナルド・バードの落穂拾いをしている。
FMから流れてくるモダン・ジャズ、マイルス・デイヴィスのトランペットに触れて、ジャズを意識して聴き始めて早50年。ドナルド・バードのリーダー作については一通り聴き終えてはいるが、当ブログに記事でアップしていないリーダー作はまだまだある。追々記事にしていっているのだが、その記事にする時、おさらいに対象盤を聴き直している。
Donald Byrd & Gigi Gryce『Jazz Lab』(写真)。1957年2月4–5日と3月13日の録音。アルト・サックスの職人ジジ・グライスとトランペットのドナルド・バードが組んで立ち上げたユニット「Jazz Lab」のデビュー盤。
ちなみにパーソネルは、Gigi Gryce (as), Donald Byrd (tp), Jimmy Cleveland (tb, tracks 5 & 7), Benny Powell (tb, tracks 1 & 3), Julius Watkins (French horn, tracks 1, 3, 5 & 7), Don Butterfield (tuba, tracks 1, 3, 5 & 7), Sahib Shihab -(bs, tracks 1, 3, 5 & 7), Tommy Flanagan (p, tracks 1-3 & 6), Wade Legge (p, tracks 4, 5 & 7), Wendell Marshall (b), Art Taylor (ds)。
ユニット名の「Jazz Lab」。訳すと「ジャズ実験室」。どんな実験をやるんだ、と思って聴き始めると、意外と真っ当なハードバップ。なんだハードバップやん、と思って聴き進めると、アレンジやアドリブの取り方に色々と工夫があって、それまでにない響きとフレーズの「新鮮なハードバップ」になっていて、「手垢が付いた」感が無くて感心する。
この盤でも、1曲目「Speculation」、3曲目「Nica's Tempo」、5曲目「Little Niles」、7曲目「I Remember Clifford」では、トロンボーン、チューバ、フレンチ・ホルン、バリトン・サックスを入れた、分厚いブラス・セクションを前提とした、捻りの効いたアレンジで、それぞれの曲をまるで新曲の様に聴かせる。「ジャズ実験室」の面目躍如である。
そして、聴き直して、ちょっとビックリしたのが、ジジ・グライスのアルト・サックス。ちょっと小難しい施策的なアルトを吹く人だと思っていたのだが違った。力感溢れるテクニック確かな、正統派アルト・サックス。これが、アレンジやアドリブの取り方に色々と工夫がある楽曲をスイスイ吹き進めるのだからビックリ。
相棒のドナルド・バードのトランペットはやはり「上手い」。テクニックも上々、フレーズは流麗で力感溢れ歌心も抜群。グライスのアルト・サックスとの相性は抜群。さすがパーマネントなユニットを組もうと思ったのも頷ける。このフロント2管の存在感が抜群なのが、この「ジャズ実験室」の最大の「ウリ」。
そうそう、1曲目〜3曲目、そして6曲目にピアノを担当しているトミー・フラナガンも実に良い。力感溢れるテクニック上々で歌心溢れるフロント2管のバックで、これは相手に不足無し、ってな感じで、トミフラ節全開のバップ・ピアノをガンガン弾いている。アドリブ・フレーズもイマージネーション豊かに様々な展開を弾きまくる。
久しぶりのこの盤で、アグレッシヴなジジ・グライスのアルト・サックスを聴いて、グライスのアルト・サックスを見直した。というか、完全に誤解していた。ドナルド・バードとトミー・フラナガンは好調を維持。聴き直してみて、意外と「イケる」ハードバップ盤。ジャズ盤って、時を経ての聴き直しって必要やな、と改めて感じた。
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