北欧らしい Swedish Standards
北欧ジャズの国単位の範疇は「ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク」。北欧ジャズには独特のフレーズと響きがある。耽美的でリリカルでメロディアス。静的で決して暑くはならないクールなインプロ。クラシックの影響とそれぞれの国のフォーク・ソングのフレーズが垣間見える。
Jan Lundgren Trio『Swedish Standards』(写真)。1997年5月10−11日、コペンハーゲンのサン・スタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Jan Lundgren (p), Mattias Svensson (b), Rasmus Kihlberg (ds)。
ピアノのヤン・ラングレンがリーダーのピアノ・トリオ。トリオの3人ともスウェーデン出身。この「純スウェーデン人トリオ」の母国、スウェーデンの古謡を取り上げ、ジャズ化した秀作。
米国にも日本にも馴染みの無い、不思議なメロディとモチーフとしたフォーキーなフレーズがいかにも「スウェーデンの古謡」らしい。そんな「スウェーデンの古謡」を北欧ジャズの雰囲気濃厚なアレンジと録音で「トリオ・ジャズ」化している。独特な雰囲気が魅力のトリオ演奏。
この「スウェーデンの古謡」の北欧ジャズ化を聴くと、北欧ジャズの個性と特徴がとてもよく判る。とてもシンプルで地味目の「古謡フレーズ」なので、ダイナミックでドラスティックな米国ジャズを良しとする向きには「単調で退屈」だろう。
しかし、欧州ジャズ者、ECMジャズ者の方々なら、すんなり受け入れて、その優れた内容を理解することができるだろう。欧州ジャズを理解できないと北欧ジャズを理解することは難しい。
古謡をベースにしながら、そのジャズ化に無理が無い。古謡の持つ不思議なメロディとモチーフが、北欧ジャズの個性と特徴に合致するのだろう。
そして、ラングレンの、美しいタッチ、歌心に溢れたフレージング、端正で流麗なリズム感、3拍子揃った、北欧ジャズ仕様のバップ・ピアノが的確に古謡のフレーズをジャズ化している。
加えて、スヴェンソンの間合いの効いたリリカルなベース、フォーキーにリズム&ビートを刻むシェールベリのドラムが、そんなラングレンの北欧ジャズ仕様のバップ・ピアノをガッチリ支え鼓舞する。
こういう、その国や地域に密着したジャズはどれもが美しい。米国ジャズだって、和ジャズだって同じ「その国や地域に密着したジャズ」。優劣は無い。
改めて、この『Swedish Standards』は、実に北欧ジャズらしいピアノ・トリオの優れたパフォーマンスである。
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