ガーランド5 の 『Soul Junction』
1950年代「ハードバップ・マイルス」の良き相棒、レッド・ガーランド。ガーランドのピアノはシンプルでバップでブルージー。バックに回れば伴奏上手。フロント管を引き立て鼓舞する、合いの手を打つような、シンプルなピアノ。そんなガーランド。意外とハードバップ時代のコルトレーンのバッキングにも、上質の「伴奏上手の妙」を発揮する。
Red Garland『Soul Junction』(写真左)。1957年11月15日の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), John Coltrane (ts), Donald Byrd (tp), George Joyner (b), Art Taylor (ds)。ピアノのガーランドがリーダー。コルトレーンのテナーとドナルド・バードのトランペットがフロント2管のクインテット編成。
コルトレーンとガーランドの共演はたくさんある。録音年1957年としては、例えば、『John Coltrane with the Red Garland Trio』=『Traneing In』がある。ただ、この盤はパーソネルが雑然としていて、あまり「パーソネルは関係無し」な盤で、初期の「シーツ・オブ・サウンド」だけを体感できる、少し偏った盤であった。
だが、この『Soul Junction』は違う。ガーランドがリーダーの盤なので、コルトレーンはあくまでサイドマンとして振る舞っている。しかも、フロントの相手が大先輩のドナルド・バード。『Traneing In』はコルトレーンはバックをおいて吹きまくるのだが、この盤では違う。しっかり、グループ・サウンドの中で、周りの音を聴きながら、サックスを吹き回す。ところどころ、「シーツ・オブ・サウンド」を控えめに吹きまくるのはご愛嬌。
冒頭のタイトル・ナンバー「Soul Junction」は絶品のスロー・ブルース。冒頭、絶妙なガーランドのピアノ。コルトレーンとバードのソロは中盤。リラックスした雰囲気で悠々と流れていく、絶品のスロー・ブルース。続く有名スターダードの「Woody’N You」は小粋で絶品のハードバップ。コルトレーンとバードのフロントのパフォーマンスも申し分ない。
しかし、このコルトレーンの「我慢」がガーランドにも伝わったのか、ラストの「Hallelujah」は熱いバップ・パフォーマンス。この曲だけは、コルトレーンは存分に「シーツ・オブ・サウンド」を吹き回す。
演奏の形式がモードではないので、ガーランドもバードもコルトレーンに付き合って、「シーツ・オブ・サウンド」のパフォーマンスを披露する。ドラムのテイラーもバッシバッシとバップなドラミングで応戦する。微笑ましいバンド・パフォーマンスである。
さすが、人気のガーランドのリーダー作。パーソネルの人選も良く、ガーランドのピアノが一番に映える内容になっている。コルトレーンはさすがに、ガーランドを差し置いて好き勝手に吹くことはしない。この辺のバランスがとても良い、ガーランドがリーダーのクインテット盤。コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」も五月蝿くなく聴けます。
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