中間派の名演『Walking Down』
トロンボーンのホンワカした丸いフレーズと力感のある低音のブリリアントな響きが好きだ。ビ・バップからハードバップ畑には、J.J.ジョンソン、カーティス・フラーらがいる。また、スイング・ジャズからハードバップ手前まで進化した「中間派」には、ベニー・グリーンがいる。
特に、中間派のベニー・グリーンについては、ホンワカしたトロンボーンならではの音色とスイング・スタイルを踏襲した伝統的なフレーズと味のあるブルージーなプレイが独特の個性。そんな個性をしっかりと表出しつつ、ハードバップには無い、小粋で味のあるスインギーなフレーズを吹きまくる。この朴訥としたスインギーなトロンボーンがとても素敵なのだ。
Bennie Green『Walking Down』(写真左)。1956年6月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Bennie Green (tb), Eric Dixon (ts), Lloyd Mayers (p), Sonny Wellesley (b), Bill English (ds)。ベニー・グリーンのトロンボーンとエリック・ディクソンのテナーがフロント2管のクイテット編成。
ブルーノートでのリーダー作が好盤のベニー・グリーンだが、プレスティッジにも良い内容のリーダー作を残している。この盤はそんな中の一枚。この盤は、中間派のベニー・グリーンのトロンボーンとエリック・ディクソンのテナーを心ゆくまで愛でることの出来る好盤である。
ベニー・グリーンのトロンボーンは、味のあるホンワカ、ほのぼのとして暖かく優しいフレーズが個性なのだが、この盤では、意外にダンディズム溢れる硬派で切れ味の良いトロンボーンを聴かせてくれる。しかし、そのフレーズはハードバップっぽくない。スイングっぽく、ハードバップ一歩手前、いわゆる「中間派」のフレーズ。
ベイシー楽団のエリック・ディクソンがテナーを担当しているが、このディクソンのテナーがとても良い。思う存分、テナーを吹きまくっている様で、彼のテナーはダンディズム溢れ硬派で切れ味の良いテナー。このディクソンのテナーに呼応して、ベニー・グリーンのトロンボーンが、ダンディズム溢れる硬派で切れ味の良いトロンボーンに変身している様なのだ。
と言って、ダンディズム溢れる硬派で切れ味の良いベニー・グリーンのトロンボーンが悪い訳で無い。要所要所では、持ち味の「ホンワカしたトロンボーンならではの音色とスイング・スタイルを踏襲した伝統的なフレーズと味のあるブルージーなプレイ」をしっかり散りばめ、表現の幅を広げている。
リズム隊は無名に近いが、意外と良い音を出している。スイングでもハードバップでも無い、その間の「中間派」のブルージーで小粋なフレーズの数々。ビ・バップでもハードバップでも無い「中間派」の名演。これもジャズ、である。
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