エヴァンスの『Blue in Green』
ビル・エヴァンスのマイルストーン・レコードからのリーダー作を聴き直している。リーダー作とは言っても、リヴァーサイド時代に録音して、お蔵入りになっていた音源を、ビルの逝去後、ヘレン・キーンが再聴、とりまとめて、マイルストーンからリリースしたもの。
厳密に言うと、ビル本人がOKを出した音源では無いのだが、ビルの生前の演奏の音源はどれもが貴重なので、発掘して出してくれる分には文句は無い。
Bill Evans『Blue in Green: The Concert in Canada』(写真左)。1974年8月、カナダ・オタワ郊外の「Camp Fortune」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Marty Morell (ds)。1968年あたりから続いた「ゴメス-モレル」のトリオでの最後の演奏の音源の一つ。1991年のリリースになる。
録音場所の「Camp Fortune」とは、オタワ近郊のスキー場で、夏はアウトドアを楽しめる観光地らしい。そんな開放的な環境下、野外コンサートでのライヴ音源。と言って、開放感溢れるという訳でも無く、それでも、カナダ放送主催のコンサートなので、音響環境は良かったらしく、録音状態は良好。
6年ほど続いたトリオである。演奏の一体感は素晴らしい。疾走感・叙情性ともに円熟の域に達して、ビル・エヴァンス・トリオの個性的がしっかりと捉えられている。ビルの耽美的でリリカルな面とアグレッシヴなバップな弾き回しという「二面性」もふんだんに楽しめるし、モレルの味のあるドラミングも良い感じ。ゴメスのブンブン・ベースもダイナミックで良い。
6年ほど続いたトリオの集大成、成熟し切ったトリオ演奏。耳新しい部分は無いが、安心安定のトリオ演奏はそれはそれで楽しい。「One for Helen」「So What」「Blue in Green」と聴き応えのある演奏曲も良い。
ただ、ゴメスのブンブン・ベースの音がかなり大きく録音されている部分があって、特に「Very Early」での長尺のソロはちょっと勘弁して欲しい。このゴメスの音が大きく録音されている部分だけが、このライヴ盤のマイナス部分。ここだけ、我慢すれば、このライヴ盤、なかなかの内容だと思う。
ジャケットのビル・エヴァンスのイラストは、歌手トニー・ベネットの手になるもの。なんと、ベネットは画家としても一流の存在だそうで、「Antonio Benedetto」の名で知られているそうです。意外や意外、びっくり、です。
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