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2023年12月 3日 (日曜日)

マリーン・ウィズ・シーウインド

クロスオーバー&フュージョン・ジャズについては、1970年代から1980年代前半までが流行期。特に1970年代後半から1980年代前半までがピークで、クロスオーバー&フュージョン・ジャズ専門の月刊誌までが発刊されていた。

そんな、クロスオーバー&フュージョン・ジャズについては、現在までに相当数のクロスオーバー&フュージョン盤がリイシューされてきた。しかし、「あれはどこへ行った」と探し回る位の「クロスオーバー&フュージョンの好盤」でも、今までリイシューされないもの多数存在する。まあ、セールスにならないリスクはあるから仕方ないことではあるが...。

Marlene with Seawind『Summer Night』(写真)。1982年の作品。ちなみにパーソネルは、Marlene (vo), Kim Hutchcroft (sax), Lew McCreary (tb, tracks: A3), Flugelhorn – Gary Grant, Jerry Hey (tp, flh), Larry Williams (key), Bud Nuanez (g), Ken Wild (b), Bob Wilson (ds, perc), Ron Kalina (harmonica, tracks: A4)。

ハワイアン・クロスオーバー&フュージョンの大御所バンド・シーウインドをバックに、フィリピン出身の天才歌姫マリーンが唄いまくった、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの秀作。 CBS/Sonyレコードからのリリース。和フュージョン・ジャズ盤の名盤の一枚。主な録音はハリウッドで行われている。当時、アルバム制作については、気合が入っていたんやろうなあ。
 

Marlene-with-seawindsummer-night

 
シーウインドの爽やかファンキーで躍動感溢れる、切れ味の良いブリリアントなホーン・セクションに乗って、マリーンが若々しく、パンチのあるボーカルを披露する。バックがシーウインドなんで、クロスオーバー&フュージョンの範疇で語られることが多いが、マリーンのボーカルは素直でポップなもので、ボーカルから聴くと、AORの秀作と評価しても良い内容。

リリースは1982年で、クロスオーバー&フュージョンやAORのブームは下降線に転じた時期で、新作はマンネリ基調の退屈なアルバムがリリースされがちな環境だったが、この盤は違った。まず、バックのシーウインドが素晴らしく内容のある演奏を繰り広げている。これが最大の聴きもので、シーウインドの演奏だけを切り出しても秀作として評価できるパフォーマンスである。

そんなシーウインドをバックに唄うのだ。マリーンは気合が入っているし、実に気持ちよさそうに唄っている様がこの盤から伝わってくる。特に、アップテンポで始まる冒頭のタイトル曲「Summer Night」が秀逸な出来。ブルー・アイド・ソウル系バンド曲のカヴァーだが、これが実に良い。この冒頭の一曲がこの盤全体の雰囲気を代表する名演、名唱。

リリース当時は、貸しレコード屋で借りてカセットにダビングして所有していた盤で、カセット・デッキが壊れた後、長らく聴くことの出来なかったアルバム。最近、サブスク・サイトにアップされているのを見つけて、思わず再聴。良いクロスオーバー&フュージョン盤に再会できました。
 
 

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