耽美的&内省的なエヴァンス。
ピアニストの中で一番のお気に入りが「ビル・エヴァンス」。今を去ること50年前、NHKのFMで聴いた曲が「枯葉」。ジャズ・ピアノをしっかり、ジャズ・ピアノとして認識して聴いたのは、このビル・エヴァンスの「枯葉」が最初。初めて、ジャズ・ピアノとして構えて聴いたビル・エヴァンスのピアノに強烈に惹かれたことを記憶している。
当ブログでは以前から、ビル・エヴァンスのリーダー作についての記事をアップしてきた。ビルのリーダー作の8割程度を網羅したと思っているのだが、まだ、当ブログで記事としてアップしていないリーダー作がある。それを機会を見つけては、せっせと「落穂拾い」している。記事にするには、該当のリーダー作を再聴する必要がある。久々に聴く名盤もある。実はこれがまた楽しい。
Bill Evans『You Must Believe in Spring』(写真左)。1977年8月23–25日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (ac-p, el-p), Eddie Gómez (b), Eliot Zigmund (ds)。エヴァンス・トリオが、Warner Bros.レコードへ移籍して最初の録音。しかし、録音当時はお蔵入り。1981年9月、ビル・エヴァンスの逝去後、リリースされた。なお、このアルバムは、エヴァンスがベースのゴメスと行った最後のレコーディング・セッションになる。
録音当時、お蔵入りになった理由については諸説あって、ネットにそれぞれ情報としてアップされているみたいなので、興味のある方はそちらを参照していただくとして、この『You Must Believe in Spring』は、エヴァンスの耽美的なピアノを久しぶりに聴くことの出来る盤である。エヴァンス独特の「抑制された内省的なバップ・ピアノ」で埋め尽くされている。
もともと、ビル・エヴァンスは「バップなピアニスト」で、意外とバリバリ弾きまくるタイプ。それでも、音の重ね方、ボイシングが独特で、ジャジー&ブルージーな哀愁感&寂寞感を濃厚に醸し出す。これが他に無いビル・エヴァンスの独特の個性であり、これがビル・エヴァンスのピアノの真骨頂。
しかし、このジャジー&ブルージーな哀愁感&寂寞感を濃厚に醸し出すピアノで、耽美的&内省的な弾き回しをする時がある。例えば『Waltz for Debby』『Moon Beams』『The Solo Sessions, Vol. 1&2』などで、その「耽美的&内省的」なビル・エヴァンスを堪能することができる。このエヴァンスの個性の一面を切り取って、我が国では、ビル・エヴァンスは耽美的&内省的なピアノに優れる、と一部では解釈されている。
この『You Must Believe in Spring』は、そんな耽美的&内省的なビル・エヴァンスを聴くことができる内容なのだ。つまり、ジャジー&ブルージーな哀愁感&寂寞感を濃厚に醸し出すピアノで、耽美的&内省的な弾き回しをする、ミッド・テンポからスロー・テンポの名演が詰まった、耽美的&内省的なビル・エヴァンスを愛でることができる格好のアルバムになっている。
耽美的&内省的なビル・エヴァンスを聴くことができるリーダー作として、名盤と評価されるアルバム。エヴァンス独特の「抑制された内省的なバップ・ピアノ」を聴くには格好のアルバム。しかし、ビル・エヴァンスの本質は「バップなピアニスト」。この耽美的&内省的な弾き回しは、ビル・エヴァンスの戦略であり裏技であることは、しっかりと押さえておきたい。
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