デオダートの『Artistry』を聴く
最近、クロスオーバー&フュージョン・ジャズが聴きたくなってきて、色々、アルバムを物色している。
昔からよく聴く定盤、名盤は「先が読める」ので、それはそれで楽しいのだが、新鮮味に欠ける。クロスオーバー&フュージョン・ジャズを聴いてきて50年。今の耳にも「新しく、楽しく」聴けるジャズマン、アルバムが良いよな〜、と手持ちのカタログを見渡していたら、「Deodato(デオダート)」の名前が目に留まった。で、デオダートのディスコグラフィーを調べ始めた。
デオダートは「クロスオーバー・ジャズの寵児」。ブラジル出身のキーボード奏者&アレンジャー。1973年、デオダート名義としてCTIレーベルから『Prelude』をリリース。クラシック作品「ツァラトゥストラはかく語りき」をエレ・ジャズにアレンジしてヒットを飛ばす。
続く『Deodato 2』では「ラプソディー・イン・ブルー」をエレ・ジャズにアレンジ。これがまた、秀逸なアレンジで未だに、デオダートの代表的演奏として人気が高い。ということで、我が国では、クラシック曲をエレ・ジャズ化するのに長けている「クロスオーバー野郎」という偏った評価が定着している様に思う。
Deodato『Artistry』(写真)。1974年の作品。Mississippi River Festivalでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Eumir Deodato (key), John Tropea (g), John Giulino (b), Nick Remo (ds), Rubens Bassini (perc), John Eckert, Larry Spencer (tp), Sam Burtis (tb), Bob Mintzer (sax, fl)、バックに「セントルイス・シンフォニー・オーケストラ」。
デオダート名義でのリーダー作としては5枚目。オーケストラとの共演が目玉。デオダートのアレンジの才が、溢れんばかりに発揮されている。クロスオーバー・ジャズのオーケストラ・アレンジの最高レベルの部類だろう。彼独特の「デオダート節」も効果的に散りばめられていて楽しめる。
それと、ライヴ音源なので、デオダートのエレクトリックなクロスオーバー・ジャズの「再現性」をしっかり証明している。クラシック曲のエレ・ジャズ化はラベルの「Pavane for Dead Princess(亡き王女のためのパヴァーヌ)」。これがライヴとは思えない、しっかり整った演奏で、当時のデオダートのバンドの演奏力は相当に高いと感じる。
CTIの2枚目のアルバム『Deodato 2』から「Super Strut」と「Pavane for Dead Princess(亡き王女のためのパヴァーヌ)」がピックアップされて演奏されているライヴ盤という見方もあるが、他のジャズ・ファンク曲の方もなかなか。ジャズ・ファンク「Super Strut」は当然、カッコ良いが、「Rio Sangre」「St. Lois Blues」もカッコ良い。
当時のクロスオーバー・ジャズの好盤。我が国では完全に「過去の人」というか、もはや「忘れ去られたクロスオーバー・ジャズの寵児」みたいだが、彼の残したリーダー作をどれも内容は濃い。特に、1970年台のリーダー作は今の耳でも、しっかりと「新しく、楽しく」聴ける。もっと再評価しても良い、クロスオーバー&フュージョン畑のジャズマンの一人だろう。
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